守る場所
指名変更
この小説の夢小説設定1章はくノ一「緋華」で統一しています。
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次の日。
昼下がりの縁側には、のんびりとした空気が流れていた。
午前中の訓練を終えたくノ一教室の生徒たちと咲が、涼をとるように腰を下ろしている。
「先生、今日ちょっと厳しくなかったですか~?」
ユキがうだるように手を振って言えば、
「それでも最後はちゃんと褒めたじゃない」
咲がお茶を飲みながら、少し微笑んで返す。
「……あれは、嬉しかったです」
トモミが小さく頷いて、素直にそう言った。
そんな穏やかな時間の中で――ふいに、ユキが何気なく首をかしげる。
「先生って最近、ちょっと変わりましたよね?」
「私が? 変わった?」
「なんか……たまに遠く見てたり、ぼーっとしてること多い気がする」
「うん、あるある」
「……あ、もしかして“好きな人”とか?」
いきなり投げられた言葉に、咲はお茶を飲む手を止めた。
「……は?」
「え、あたった?」
「ちょっと、何言って……」
「それに、たまに土井先生が通ると、先生そっち見てたよね?」
「え!?」
「「見てたー!」」
無邪気な声が重なって、咲の背筋にじわりと汗がにじむ。
「先生、それって……恋じゃないでしゅか?」
おシゲが小首をかしげて、真っ直ぐに言った。
(……そんなつもり、なかったのに)
思わず、昨夜の土井先生との会話がよみがえる。
(“好き”って……言葉にするのは難しいですね。
理由なんかなくても、その人のことが気になってしまったり。
言葉を交わしたわけじゃなくても、目で追ってしまったり……)
(――それじゃあ、私は……)
「っ……ち、違うわよ」
そう否定したつもりなのに、声が裏返りそうになる。
「えー? 本当ですかー?」
ユキが笑いながら首をかしげた、そのとき――
「え、でも先生って……利吉さんじゃないんですか?」
ぽつんと呟いたトモミの言葉が、妙に胸に響いた。
「……え?」
「だって、先生と利吉さんって、ずっと一緒に任務してたんですよね!?
なんかお似合いっていうか……あんな素敵な人と一緒にいたら、好きになっちゃうよねー?」
「「なるなる!」」
その言葉に、他のくノ一たちも元気に頷く。
「二人とも強くて、信頼し合ってるって感じあるし」
「「「うん、うん!!」」」
「……」
咲は、何も言えなかった。
(利吉……)
確かに、そう思われてもおかしくない距離だった。
何度も一緒に戦った。支え合った。命を預けた。
そして、何より――過去を知っている、唯一の人。
(でも……)
どうして今、自分の中で“土井先生”という名前が、こんなにも強く残っているのか。
どうして、“恋じゃない?”という言葉に、こんなにも動揺しているのか。
「先生、顔赤いですよ?」
「……そ、そんなことないわよ! ほら、もう鐘鳴るわよ。準備しなさい」
「はーい!」
くノ一たちが元気に走り出していくのを見送りながら、
咲はひとり、縁側に座ったまま胸元にそっと手を当てた。
(……わたし…は…)
自分でも、まだよくわからない。
でも、胸の奥がこんなにもざわつくのは――
名前のない感情が、確かにそこにあるからだった。