守る場所
指名変更
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訓練を終えた咲は、片付けを終えた器具を背負いながら、裏手の小道を歩いていた。まだ朝の風は涼しく、額の汗に心地よい。
(今日は、いい日だった)
生徒たちはよく動き、よく笑った。
何より――咲自身が、誰かと目を合わせ、言葉を交わすことを、少しも怖がらずにいられた。
「おや、先生の顔が柔らかい」
不意にかかった声に、咲はぴたりと足を止めた。
「……利吉?」
振り返ると、木陰のあいだから、見慣れた姿が現れる。
深い青の装束に、揺れる前髪。
利吉が、肩に包みを抱えたまま歩いてきていた。
「おはようございます、ちょうど近くまで寄っていたので、様子を見に」
「……久しぶり。現れるタイミングも相変わらず」
「偶然を装うの、少しは上達したと思ったんですが」
利吉は冗談めかして笑う。
咲も思わず小さく笑ってしまう。
「よく馴染んできてますね。……あなたの顔が全然違う」
「そう?」
「はい。前は、“失わないように”ってずっと構えてる目をしていた。でも今は……そうですね。“守る”顔に見えました」
その言葉に、咲は一瞬だけ目を伏せた。
「……失いたく無いのよ。…私なんかが…」
「“私なんか”なんて言わないでください。
あなたを信じた子たちのまっすぐさを、否定することになりますよ」
咲はふっと目を細めた。
利吉の言葉は、時に鋭くて、時にまっすぐで――そして、どこまでも優しかった。
「……あなた、昔からそういうところ、変わらないわね」
「何も考えてないだけかもしれませんよ。……でも、あなたがここにいると決めたのなら、私も手伝いますよ。」
不意に、言葉が静まる。
風が、すっとふたりの間を通り抜けた。
「ねえ、利吉」
「はい」
「……ありがとう。」
咲がそう言うと、利吉は一瞬だけ目を丸くして――それから、微笑んだ。
「どういたしまして、私はあなたの味方ですから。さっ、……その荷物、持ちますよ」
「自分で持てるわ。」
「人を頼ることも覚えた方が良いかもしれませんね。」
利吉はそう言って、自然に包みを奪うように持ってしまう。
(変わらないな、本当に)
でも、今はその変わらなさが、嬉しかった。
二人は並んで、学園の建物へとゆっくり歩き出した。