守る場所
指名変更
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忍術学園の門をくぐった瞬間、咲はようやく肩の力を抜いた。
すぐそばではユキが「いたた……」と小さく呟きながら膝をさすっており、トモミとおシゲもそれぞれ無傷ではないが、無事に歩ける状態だった。訓練用の装束は所々泥に染まっているが、命に関わる傷はない。それだけが救いだった。
「もうすぐ医務室だから」
咲が静かに声をかけると、三人はこくりと頷いた。
――そのすぐ後ろで、無言のまま歩いていた土井半助が足を止めた。
「……私が運びましょうか?」
その問いに、咲は小さく首を振った。
「大丈夫です。私が支えます」
「……そうですね」
土井の返事は短く、それ以上は何も言わなかった。
⸻
医務室での応急手当が終わり、子どもたちは休むよう指示され、咲も抜け殻のようにその場を離れた。
誰もいない廊下を歩く足音が、やけに響く。
(……怖がらせた)
(私は、子どもたちに恐怖を教えてしまった)
彼女の心に刺さったのは、自分の傷ではなかった。目の前で震えていたユキの指先、声を出さずに涙をこらえていたトモミの目元――それらが、何よりも重かった。
気づいたら咲は立ち止まっていた。
背後から近づいてきた足音が、やがて隣に並ぶ。
「……咲先生」
優しく呼びかける声に、咲は顔を上げた。
「土井先生……」
「子どもたちをよく守られましたね」
その一言に、咲は目を伏せた。
「守りきれませんでした。怖い思いを、させてしまいました……」
「でも、命は守った。十分です」
その言葉が、少しだけ咲の胸に染みた。
けれど――
「……あの子たちの前で、私は刃でした。刃でしか、動けなかったんです。あの瞬間、私の顔はきっと、“先生”じゃなかった」
土井は黙って聞いていた。
そして、ふと、いつもの優しい声で言った。
「それでも、あなたは戻ってきた。“先生”として」
それがどれほど難しいことか、土井にはきっとわかっていた。
だからこそ、彼のその一言は、咲の心の奥を揺らした。
「……子どもたちは、強いですよ。先生が傷ついてまで守ったこと、ちゃんと見てます」
咲は小さく笑って、そして――ふいに、涙が零れた。