守る場所
指名変更
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「よーし始めるぞ。―今日は“蛍火の術”について、少し復習だ」
土井の声が教室に響いた瞬間
ざわざわとした空気が広がる。
「蛍? 虫の話っすか?」
「綺麗だよね!」
「帆立焼きの術!おいしそ〜…」
「…………しんべヱ、それは違う」
「えっ??」
「「「あっ!わかった!!まだ習ってないんだ!!」」」
「お前たち……昨日…教えたはずだ……
教えたはずだあああ!!!!」
(騒がしいな……)
教室の隅で、咲は静かにその様子を見つめていた。
(でも、これがこのクラスの日常……)
土井が頭を抱えて天を仰ぐ。
庄左ヱ門がノートをめくりながら静かに口を開いた。
「蛍火の術とは、敵地に自らの存在を知らしめ、偽情報を流すことで内部を攪乱する術です。単独での判断力、臨機応変な対応力が求められます」
土井の目が潤む。
「うっうっ…さすが学級委員長……! 庄左ヱ門、お前は私の光だ……!」
「泣く様なことかな?」
「さぁ〜な〜」
教室がわっと沸く。
「さて……“蛍火の術”とは、味方と敵の陣地を行き来し、敵に発見された場合にはあえて偽情報を流して混乱を引き起こす術だ」
黒板に陣形を描きながら、土井が説明を続ける。
「この術はな、敵に“見つかっていい”術なんだ。見つかったうえで、どう動くか。そこに意味がある」
「はい!はーい!見つかってもいいならオレたちもできるかも!」
と、きり丸が胸を張った。
「ぼくもぼくも!」
しんべヱも元気に手を上げる
「しんべヱはホタテが食べたいだけでしょ!」
乱太郎の鋭いツッコミに教室が笑いに包まれる。
――そんな笑い声を聞きながら、咲は目を伏せた。
(……この術で、たくさんの人を失った)
敵に捕まり、口を割らされた者。
偽情報を信じ込ませきれず、命を絶たれた者。戻らなかった者。
血の匂いが焼きついた手紙。
あえて敵に捕まるよう逃がされる子供。
仲間のために自ら危険を犯す者。
この術の残忍さをこの子たちは、まだ知らない
無邪気に笑う声。
教室に広がるあたたかな空気。
咲は、そっと胸に手を置いた。
(知らないままで、いい)
それは“平和”の音だ。誰かを騙すためではなく、守るための術。そんな未来があってもいい。
そう思えた瞬間、自分の胸の奥に、小さな“火”が灯った気がした。