山田家での生活
指名変更
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朝の光が障子の隙間から差し込み、部屋の中をやわらかく照らしていた。
目を覚ました咲は、しばらく天井を見つめていた。
胸の奥に、昨夜の言葉がまだ残っている。
——向いてるかどうかなんてのは、始めてみてから決めればいい
——どう生きて見せるか、だ
静かな声だった。
でも、その重みは確かに届いていた。
咲は身支度を整え、手のひらを見つめる。
(この手で……今度は、何かを守れるだろうか)
問いの答えはまだ出ない。
けれど昨日の少女のぬくもりが、確かに残っていた。
迷いなく、縁側へ向かう。
—
庭を掃いていた利吉が、咲に気づいて振り返る。
「おはようございます。……よく眠れましたか?」
「うん。ちゃんと寝た。……それと、話がある」
「……はい」
「私、やってみようと思う」
「やってみる、とは……」
「忍術学園の教師くノ一の子たちに教えるってこと。
伝蔵さんが言ってた、“どう生きて見せるか”って……それなら、私にもできるかもしれないって思った」
一瞬の沈黙。利吉はゆっくりと、深く頷いた。
「……その言葉を、聞けて嬉しいです」
「でも、私は……完璧な刃として育てられて、たくさんの命を奪って……
まだ、何かを守れる自信なんて、全然ない」
「それでも、守りたいと思うようになった。その想いが、何より大切です」
咲の目が少しだけ潤み、やがて静かに笑った。
—
そこへ、縁側の奥から咳払いがひとつ。
「ごほっ、ごほっ……朝からずいぶん熱心なやりとりだな」
振り向けば、羽織をかけた伝蔵が立っていた。
湯呑を手に、どこか愉快そうにふたりを見つめている。
「踏み出した者にしか、見えない景色もある。
あやつだって、最初は渋っていたもんだ」
咲は、誰のことか首を傾げる。
伝蔵は湯をすすりながら、淡く笑った。
「ま、教える道を選ぶのもいい。
……それに、利吉の嫁になるって手も悪くないぞ?」
「父上っ……!」
利吉の声が、少し裏返る。
「はは、冗談だ。冗談」
けれどその目は、ふたりの未来を静かに信じているようだった。