山田家での生活
指名変更
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夜の帳が落ちるのは、思っていたよりも早かった。
山田家の奥の部屋は静かで、灯された行灯の明かりが淡く揺れている。
利吉の母が用意してくれた寝具の上に身を沈めながら、咲はただ、天井を見つめていた。
昼間に聞いた言葉が、何度も頭の中をめぐる。
——忍術学園
——くノ一の実技を教える人材
——守る側に回るのも、悪くない
伝蔵の声。利吉の視線。
そして、自分の胸の奥に生まれた、わずかな揺れ。
(……私が、誰かを守る?)
信じられなかった。
これまで誰かに何かを伝えるなんて、考えたこともなかった。
任務をこなす。命令に従う。誰より速く、誰より正確に——
そうやって、刃として生きてきたのに。
(守る……か)
目を閉じると、風に揺れる子どもの笑顔が浮かぶ。
過去に一度だけ、本当に「守りたい」と思った小さな命。
その温もりも、泣き声も、もう手の中にはない。
(……私は、守れなかった)
手のひらを見つめる。
この手は、何度も命を奪った。
そして、一度守れなかっただけで、全てを手放したくなった。
(そんな私が、“守る側”なんて……)
けれど。
「……あなたがどんな選択をしても、支えます」
利吉のあの声が、胸に染み込むように蘇る。
誰も、自分を責めなかった。
責められて当然だったはずなのに
あの家でも、この家でも、
誰も、自分の過去を否定しなかった。
守ることは、贖いではない。
けれど、守りたいと思えるものが、まだ心の中にあることは——
もしかしたら、何かの始まりかもしれない。
夜風が障子を揺らす音がした。
そっと目を閉じると、心の奥で何かが、ゆっくりと動いた気がした。