山田家での生活
指名変更
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朝の光は柔らかく、山田家の居間を静かに照らしていた。
廊下を歩く足音に合わせて、床がきしむ。
その音に続いて、利吉が茶器を持って現れた。
「……おはようございます、咲さん」
「……おはよう」
顔を合わせた瞬間、空気が少し張った。
昨日の“あの話”が頭をよぎる。
母の冗談のような一言、伝蔵の追い打ち。
そして何より——箸を落とした、彼の動揺。
「お茶、淹れますね」
「あ……うん。ありがとう」
咲が座敷に膝をつき、茶碗を並べる。
利吉も正面に座って、急須を持ち上げた。
そのときだった。
同時に伸ばした手が、茶碗の縁で重なった。
指と指が一瞬だけ触れる。
はっとして、咲が手を引いた。
「……ごめん」
「いえ、こちらこそ……っ」
わずかな沈黙。
触れた部分が妙に熱を帯びている気がして、咲は目を伏せた。
利吉も、いつもの穏やかさを保とうとしながらどこかぎこちない。
(なにこの空気……)
何でもないはずなのに、どこか噛み合わない。
湯呑に注がれるお茶の音だけが、静かに流れていた。
「……昨日のことは気にしないでお互い忘れよ」
咲がぽつりとこぼした。
しばらくの沈黙のあと——
「……忘れません」
小さな声だった。
でも、はっきりとした意志がそこにはあった。
咲は思わず息を呑み
返す言葉を探せずにいた。
窓の外、鳥のさえずりだけが、朝の静けさに響いていた。