山田家での生活
指名変更
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湯呑を拭いていた咲の横に、湯気とともに現れたのは母だった。
「……ねえ、咲さん。さっきの話、そんなに真っ赤にならなくてもよかったのに」
「……あ、あれは……」
「冗談よ、冗談」
母は笑いながら手を動かす。けれどその横顔には、どこか大人の余裕があった。
「でもね、ちょっとだけ本気だったのよ、私」
「……え?」
「くノ一として生きるのも、すばらしい道よ。
あなたにはそれができる力も覚悟もある。
でも、“誰かと一緒に生きる”って選択も、同じくらい誇らしいことなの」
湯呑を拭く手が、自然と止まる。
「誰かを守るために刃を持つ強さも、
誰かの隣で日々を積み重ねる強さも、
同じように尊いの」
母の手が、そっと洗い終えた器を布巾の上に置く。
「どちらが正しいとかじゃないのよ。
“どう在ると自分が誇れるか”――それだけ」
「……咲さんがどうしたいか、私は聞いてみたかっただけ。
くノ一としてでも、ひとりの女としてでも――
“自分の意思で選んだ生き方”なら、私は心から応援するわ」
咲は、何も言わなかった。
ただ、両手に抱えた湯呑の温もりを頼りに、目を伏せたまま静かに息をついた。
横で器を拭く母の手の動きが、さらさらと流れる水音のように心地よく続いていた。