山田家での生活
指名変更
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朝の空気はまだ少し冷たい。
けれど、咲の足取りは昨日より確かだった。
廊下をゆっくり歩いて、湯呑を手に乗せて運ぶ。
湯の揺れる音が小さく響き、それが妙に心地よかった。
けれど、縁側の一歩手前。
ふいに足元がふらついた。
「っ……」
思わずバランスを崩しかけたその瞬間、
背後から伸びた手が、彼女の腰をそっと支えた。
「大丈夫ですか」
低い声。
すぐ耳元で、息を呑むほど近かった。
手に持った湯呑はこぼれなかった。
けれど、咲の心臓は、ぐっと音を立てた気がした。
「っ……だ、大丈夫……」
支えられた感触が残る腰に、指先のぬくもりがうっすらと染みついている。
それを気づかれまいと、咲はそっと身を引こうとした。
けれど、その動きより少しだけ早く――
「手、貸します」
利吉の手が、湯呑の下にそっと添えられた。
手と手が重なった。
皮膚が、確かにふれた。
その一瞬が、妙に長く感じた。
「……ありがとう」
「私が初めから持っていればよかったのに。すみません」
「……別に、謝ることじゃ……」
言いながらも、心の中でひとつ、深く息をついた。
⸻
縁側に湯呑を置き、利吉が隣に座った。
けれど、さっきの距離が頭から離れない。
横顔を見ないようにしても、
さっき近くで感じた体温や気配が、どうしても思い出される。
自分をたしなめるように、唇をきゅっと結んだ。
けれど、頬がほんのり熱を帯びているのは、どうしようもなかった。