花を知らぬ者
指名変更
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夜の山道を、ひたすら走った。
どこへ向かっているのかもわからない。
ただ、追手が来る前に、少しでも遠くへ。
それだけを考えていた。
音を立てないよう、足元を選んで進む。
でも心臓の音がうるさくて、息も思うように整わなかった。
⸻
初日は、ほとんど眠らなかった。
木の根元に身を隠して、闇が明けるのをじっと待った。
風の音にも、小さな枝の折れる音にも、体が勝手に反応してしまう。
蒼蓮の顔が浮かんだ。
あの冷たい目。
何も言わなくても、逃げる理由など見抜かれている気がした。
(捕まれば、私は殺される)
それは当然だった。
でも、それ以上に怖かったのは――
また、誰かを斬らなければならなくなることだった。
⸻
水を見つけると、喉が勝手に動いた。
湿った苔の匂いさえ、生きている実感に変わる。
けれど、体はすでに限界に近かった。
足の裏は擦りむけて、膝も何度も地面にぶつけた。
右手には細かい切り傷がいくつもあった。
それでも、止まることができなかった。
止まれば、終わる。
それしか考えられなかった。
⸻
6日目の夕方。
ほとんど寝ずに過ごした、まともな食事もしていなかった。できるだけ遠くへ、一歩でも遠くへ、それだけが大事だった。
34個目の山を越えようとしたとき、足がもつれて倒れた。
手をついて起き上がろうとしたが、体が言うことを聞かない。視界がぼやけて、空の色だけがやけに白く見えた。
「……くっ‥」
小さく声が漏れた。
誰にも届かない声。
そして、そのまま意識が遠のいていった。