花を知らぬ者
指名変更
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灯を消さずに部屋を出た。
机の上に置いた刀が、まだそこにある気がしたが、振り返ることはしなかった。
手元に何もない。
それだけで、自分がもう“忍”ではないような気がした。
足音を立てずに廊を渡る。
いつものように。
何も変わらないように。
でも、心だけは静かに変わっていた。
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最後の任務。
誰も言わないがこれは“試されている”と分かった。
蒼蓮の目。
利吉の言葉。
そして、自分の中に芽生えた“何か”。
感じてしまった以上、もう元には戻れなかった。
命を奪うことに痛みを覚えた瞬間、
私はもう、刃ではいられなくなった。
⸻
門の前に立ち、ひと呼吸だけ置いた。
風が頬を撫でる。
懐かしくもないし、優しくもない。
ただ、そこにある風だった。
“戻るな”とも、“行け”とも誰も言わない。
だからこそ、自分で決められる。
あの夜の言葉が、心の底にまだ残っている。
「私は、その生き方を信じたいと思います」
その声を思い出すたびに、足元がほんの少しだけ温かくなった気がした。
今は一人で歩く。
誰にも見送られず、誰にも止められず、
音もなく、夜に沈んでいくように。
⸻
命令のない場所へ。
刃ではなく、人として、生きるために。
緋華は城を出た。
名を捨てるでもなく、過去を手放すでもなく、
これからの“自分”を選ぶために。