花を知らぬ者
指名変更
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----利吉視点----
最初に任務を共にしたとき、
彼女は完璧だった。
隙もなく、迷いもなく、命令通りに刃を振るう。
誰とも言葉を交わさず、必要以上に何も背負わず。
まさに“仕事のできる忍”だった。
けれど――あのとき、私は思った。
これは、生まれつきのものじゃない。
誰かの手で“そう仕立てられた刃”なんだ、と。
感情を排除して、痛みも迷いも許されず、
ただ命令のために動くように、徹底して育てられた目をしていた。
任務中、敵の目を見て立ち止まった彼女を見たとき、私はそれを確信した。
本来なら、そんなことは起きない。
少なくとも、彼女のような“完成された刃”なら――なおさら。
あれが“人間としての綻び”だとしたら、
私はなぜか、その瞬間を見逃せなかった。
あの村での子どもとのやり取りも、焚き火の夜に漏らした「怖い」という一言も、きっと彼女にとっては想定外の自分だったはずだ。
だが、私はそれを“異変”とは思わなかった。
むしろ……
やっと、あの人自身が見えた気がした。
そのあとに与えられた任務。
蒼蓮の「鈍っていないな」という言葉。
あれは、ただの確認だった。
彼女がまだ命令通り動けるかどうか、刃として使えるか。それだけを見ていた。
……正直、腹が立った。
いや、違う
苛立ちというより、痛みだった。
自分が見た“迷い”も“声”も
なかったことにされていくような感覚がした。
私は、彼女の変化を“揺らぎ”だと思ってる。
それは弱さでも過ちでもなくて、
ようやく、刃の奥にあったものが顔を出しただけのことだ。
彼女がどんなふうにこの先を選ぶのか、
このまま刃で在ることを選ぶのか
それとも――。
その過程を、目を逸らさずに見ていたい。
そう思った。