ヴィルケイss
待ち合わせって不思議なもので、期待とか不安とかが入り混じった感情に支配される。小さな丸い手鏡とにらめっこして、この髪形変じゃないかな?とか、歯に食べかすついてたりしないかな?とかチェックしたり、まさか服が似合ってないなんて……あんまり考えたくないな、ってお土産物屋さんのショーウィンドウをチラ見した。だって今日はヴィルくんとの初デート!初デートが遊園地なのはまぁ良いとして、待ち合わせが園内の一番奥のエリアだなんて一体どういう了見かと思ったら、これってヴィルくんにとっては常識らしい。駅の改札とか目印になるオブジェの前での待ち合わせって、自分の待ち人がいるか顔を確認するでしょ?だからヴィル・シェーンハイトが居るって気付かれやすいみたい。人が多くて、尚且つ待ち合わせとしてはまず使われない場所で、おまけにヴィルくんのイメージとはかけ離れたおもちゃみたいなカラフルなアトラクションが並ぶエリアだからこそ、待ち合わせには持ってこいだと。オレには存在しない種類の悩みだなぁ……って気の毒に思ったところで、待ち人来たる。サングラスを掛けた真っ黒の髪の恋人が目の前に立っていた。
「待たせたわね」
「どうしたの、その髪!?」
艷やかな黒い短髪とおまけにサングラスをずらして見えた眼は真っ青で、どこをどう見てもヴィル・シェーンハイトの最たる特徴がない。背格好こそヴィルくんのままだけど、似た体格の別人かもしれないって意識が働く。声も一緒のはずなんだけど、あれ、ヴィルくんって本当にこんな声だったかな……?
「普段のアタシって特徴がはっきりしてるでしょう?すぐアタシだってバレちゃうのよね。魔法士なんだもの、見た目を少し変えるのなんて容易いんだからこのくらいの工夫をしないと。せっかくのデートが台無しになっちゃう」
「こんなに見た目が違うならわざわざ園内で待ち合わせなくても良かったんじゃない?」
「念には念をよ」
すかさずオレの肩を抱くヴィルくんの顔を見上げる。いつもより距離が近い。ヒール履いてないんだ。綺麗な顔に少し背伸びをしただけでぶつかりそう。睫毛なっが……横顔整いすぎてない?彫刻?陶器かってくらい肌がつるってしてるし。
「……そんなにこの見た目がダメ?」
「え?何で?」
「さっきから見過ぎよ」
全然見てる自覚なかった。普段と違うヴィルくんだけど、やっぱりいつもと変わらない美しさでオレは心奪われてるんだ。短い髪も青い眼もかっこよくて大好きで、いつかヴィルくんはこんなキャラクターを演じる日が来るかもしれないって思いを馳せてる。不安げに見下ろす視線も、オレの肩を包む指先も、なんだか弱々しくて愛しい。学園では寮生にビシバシ指示して皆から頼られてて、かっこよく肩で風切ってる姿からは想像もできないよ。
この人の隣に居る権利をオレは手に入れちゃったんだって、多少の優越感と大きな焦燥感に苛まれてた。果たしてオレはヴィルくんと釣り合う人間になれるんだろうか?そう思ってこのデートにも余念がなかった。失敗は許されない。だからずっとそわそわしてたけど、それってヴィルくんもなの?ヴィルくんは姿を変えたことが失敗だったってへこんでるの?あの、ヴィル・シェーンハイトが!?
「逆だよ。いつも通りかっこいい。それに言うほど違わないし」
「え?アタシだってわかる?」
「わかるよ、オレはね。きっと君がどんな姿だってわかる」
馬鹿にしてもらっちゃ困るよ。見た目だけを好きになったわけじゃない。生き様が見た目に表れてるだけ。ヴィルくんの良さは芯の強さなんだし、魔法で何でもかんでもやらないことの証明に見た目を強化してアピールしてるだけ。
オレもヴィルくんに負けない強さを示していかなきゃ。だって君にもオレを大好きになってもらいたい。手始めにオレの反応を待ってる恋人の手に自分の手を重ねて、いつもより近い君の肩に頭でもあずけてみちゃおうかな♪
「待たせたわね」
「どうしたの、その髪!?」
艷やかな黒い短髪とおまけにサングラスをずらして見えた眼は真っ青で、どこをどう見てもヴィル・シェーンハイトの最たる特徴がない。背格好こそヴィルくんのままだけど、似た体格の別人かもしれないって意識が働く。声も一緒のはずなんだけど、あれ、ヴィルくんって本当にこんな声だったかな……?
「普段のアタシって特徴がはっきりしてるでしょう?すぐアタシだってバレちゃうのよね。魔法士なんだもの、見た目を少し変えるのなんて容易いんだからこのくらいの工夫をしないと。せっかくのデートが台無しになっちゃう」
「こんなに見た目が違うならわざわざ園内で待ち合わせなくても良かったんじゃない?」
「念には念をよ」
すかさずオレの肩を抱くヴィルくんの顔を見上げる。いつもより距離が近い。ヒール履いてないんだ。綺麗な顔に少し背伸びをしただけでぶつかりそう。睫毛なっが……横顔整いすぎてない?彫刻?陶器かってくらい肌がつるってしてるし。
「……そんなにこの見た目がダメ?」
「え?何で?」
「さっきから見過ぎよ」
全然見てる自覚なかった。普段と違うヴィルくんだけど、やっぱりいつもと変わらない美しさでオレは心奪われてるんだ。短い髪も青い眼もかっこよくて大好きで、いつかヴィルくんはこんなキャラクターを演じる日が来るかもしれないって思いを馳せてる。不安げに見下ろす視線も、オレの肩を包む指先も、なんだか弱々しくて愛しい。学園では寮生にビシバシ指示して皆から頼られてて、かっこよく肩で風切ってる姿からは想像もできないよ。
この人の隣に居る権利をオレは手に入れちゃったんだって、多少の優越感と大きな焦燥感に苛まれてた。果たしてオレはヴィルくんと釣り合う人間になれるんだろうか?そう思ってこのデートにも余念がなかった。失敗は許されない。だからずっとそわそわしてたけど、それってヴィルくんもなの?ヴィルくんは姿を変えたことが失敗だったってへこんでるの?あの、ヴィル・シェーンハイトが!?
「逆だよ。いつも通りかっこいい。それに言うほど違わないし」
「え?アタシだってわかる?」
「わかるよ、オレはね。きっと君がどんな姿だってわかる」
馬鹿にしてもらっちゃ困るよ。見た目だけを好きになったわけじゃない。生き様が見た目に表れてるだけ。ヴィルくんの良さは芯の強さなんだし、魔法で何でもかんでもやらないことの証明に見た目を強化してアピールしてるだけ。
オレもヴィルくんに負けない強さを示していかなきゃ。だって君にもオレを大好きになってもらいたい。手始めにオレの反応を待ってる恋人の手に自分の手を重ねて、いつもより近い君の肩に頭でもあずけてみちゃおうかな♪
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