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ヴィルケイss

堂々とデート出来る日が少ない。学内では四六時中一緒に居ても咎める者などいないが、一歩学園の外に出ればアタシにパパラッチが付き纏う。それは存外面倒なもので、賢者の島や輝石の国で外をデートしたことがないけれど、可愛いケイトをひっつき虫のようにしぶといパパラッチの餌食にしたくはない。ならば海外へ行けば少しはマシになるだろう。珍しく学園のホリデーに仕事が休みになって丸々休日を得られたから、喜々としてケイトを海外旅行デートに誘ったら「購買部のバイト申し込んじゃったー」とあっさり断られてしまった。
そりゃ言うのが遅かったかもしれないけれど、アタシを選んでくれても良いじゃない?だって本気で付き合ってる恋人なのだし。
何か欲しい物があるならアタシがプレゼントすると伝えたら「ヴィルくんのそういうところが駄目」ですって。
わかってよ。一緒に居たいだけだって。
それで悔しくてアタシもバイトに応募したら受かったってわけ。抽選なのかしら、適正でも見られてるのかしら?もし働く人の相性なんてものを見られてるのだとしたら、サムさんって食えない奴ね。でも見る目はあるし、アタシにとっては幸運だわ。
アタシも一緒に働くことを知ったケイトは心底吃驚していたわね。
「ねぇ、ヴィルくん。何でバイトなんか……」
「アンタが居るから」
「!?オレと一緒にいたかったの?なにそれ〜可愛いんだけどー」
「アンタは違うみたいね」
刺々しい言い方になっちゃったかもしれない。ケイトが目を丸くしてまじまじとアタシを見るから内心冷冷している。まさか喧嘩になったりしないわよね。
「オレも一緒にいたいし、旅行だってしたかったけどさ……どうしてもお金が入用で」
「何に使うのよ」
「……4月に控えた大好きな人の誕生日のプレゼント代。こつこつ貯めてるんだ」
「!それって……」
期待の眼差しを向けるとケイトははにかんでそっぽを向いた。耳が赤く色付くのが愛らしくて、アタシは堪らず彼を抱き締める。するとこの日の為に新調された衣装の帽子の飾りがケイトに刺さったようだ。
「いたっ!一瞬顔に刺さった」
「ごめんなさい!もう痛くないかしら?傷になってない?」
「大丈夫。でもバイト終わるまでハグ禁止」
「そんな!」
「その代わり、終わったら部屋でいっぱいいちゃいちゃしよ。ホリデー中ずっと」
誘うように腰をくねらせ上目遣いにそう言われればアタシはもう何も言うことはない。
今日の労働を滞りなく終わらせて、ケイトと二人きりの時間を出来るだけ多く確保しなければ。そう固く決意したの。

さぁ、ハゴイタバトルを頑張りましょうか。
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