初合わせ
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最近我が主君である浅井家に織田包囲網の同盟結束の為、
武田家から参じた齢15になる姫がいた。
名を由諏姫。
武田信玄公の四男・武田勝頼様の御息女であり、
母は織田信長の養女で勝頼様の元御正室である遠山夫人。
尚且つ信長公の養女の娘御という事は、
信長公や信玄公の孫に当たりお市様の又姪(姪の子供)に
当たるという偉人家系の姫である。
(只、御正室は嫡子を産む際に難産で他界していると聞いたが。)
母親似の可憐な容貌に、父親似の艶やかな深い栗毛の髪。
可憐、美しい、麗美、そんな言葉が似合うだろう。
無理もない、母親はあの信長に溺愛されたと名高い養女。
父親は諏訪の美姫と有名であった母を持つ美丈夫。
その二人を相手に珠玉が産まれない筈がない。
そしてそんな姫が今まさに俺の目の前に居る。
俺の主君である長政様と奥方であるお市様は朗らかな微笑みを
浮かべて部屋を後にしようとしていた。
挙げ句の果てには長政様達からの一言。
「高虎、お前は幸せ者だ!こんなに可憐な奥方が出来るなんて!」
「お幸せにね、高虎、由諏。」
「…っ長政様、お市様!」
パタン、
そう自身をからかいながら部屋を後にする主君に少し唸れば、
当の本人達ではなく目の前の姫がびくりと肩を揺らした。
「…すまない、驚かせるつもりは無かったんだが。」
「いえ、私の方こそ失礼致しました…。」
そう言い軽く頭を下げる女…もとい、俺の奥方となる姫は
育ちが良いのであろう。動作ひとつひとつが流れる様で
それを見ていると本当に自身の妻で良いのかと問いたくなる。
…その様な無粋な事を考えていれば、ふと姫が口を開いた。
「…旦那様、不束者では御座いますが、どうかよしなにお願い申し上げまする。」
「いや、此方こそ宜しく頼む。それと…俺の事は高虎と。大名家出の貴女が土豪出の俺なぞを"旦那"等と呼ばずとも良い。」
そう俺が述べれば、姫は いいえ、と頭を振った。
「その様な訳には参りませぬ。それに私は嫁した身、今の私の身分は旦那様と同じで御座います。旦那様も私の事はどうぞ由諏とお呼び下さい。」
もう私は武田家の由諏では御座いません、
そう姫は言葉を発し、俺を真っ直ぐな眼差しで見上げる。
その生半可な気持ちでは嫁いで来ては居ないと言った物言い。
敢えて言わずもがな、この姫の今後の身分は俺次第なのだ。
「…判った、身分を共にと言ってくれるのであればこうしよう。アンタは俺を高虎と呼べ、さすれば俺もアンタの事を由諏と呼ぼう。」
「…ですが、」
「何を悩む、アンタと俺は今後の人生を共に歩む夫婦だろう。それにその他人行儀も止めだ、俺もアンタを女房として扱うからアンタも俺を夫として接してくれ。」
"宜しく頼む"そう伝えれば姫…否、由諏は
硬かった表情を少しだけ柔和な笑みに変えて
控え目に はい高虎様、と一言述べた。
初合わせ
(緊張していただけか、年相応の顔も出来るではないか)
(強面だけれども、怖い方ではなくて良かった…政略結婚なのにきちんと嫁として扱って頂けるなんて)
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