事象の地平線を目指して
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【000:巻き戻しの幽波紋使い】
最初に受けた代償は、背中に走る大きな切り傷だった。
その次は右耳、更に次は右目、その更に次が右腕そして今度は右足。見事に右側ばかりが欠損していった。
段々と重くなっていくそれに、私は今回が最後だろう、と何となく悟った。
「にゃおん」
片耳片目、右前脚と後ろ脚、それに尻尾。それぞれが錆びたような色に変色してしまっている猫が、私のお腹の上で一声鳴いた。
「今度こそ・・・・・・上手く、やるよ」
重たい体に鞭を打って起き上がり、なくなってしまった右足を見た。真っ赤な血が地面へ広がっていく。
「まずは義足が必要だね」
携帯を取り出して慣れた番号にコールしながら止血を施し、もう幾度も繰り返した台詞を脳内で組み立てた。
『プロント、リゾットだ』
「リーダー、私、マヤです」
『どうした、任務失敗か?』
「成功したけど、ヘマしちゃって。怪我しました」
『わかった、迎えに行く。場所は何処だ』
いる場所を伝えると、リーダーのリゾットは端的に『分かった』と言った。
『怪我の度合いは』
「右足がなくなりました」
『はァ!?』
「右足が吹っ飛びました」
『ばっ!おま、このッ!すぐに行く!寝るなよ!このまま繋いでおけ!おい誰か車を回せ!アーヤが死にかけてる!』
「止血したんでそんなにすぐ死にませんよ」
『呑気してる場合か!』
先程までの淡々とした声色から一変、焦燥を滲ませた怒鳴り声が端末から聞こえてくる。更に向こうからギアッチョの怒号や、メローネの悲鳴にイルーゾォの上擦った声が届いた。帰ったら全員から大目玉を喰らうだろう。前回も、その前もそうだった。
ただ、それを覚えているのは私と、私の幽波紋『事象の地平線ーイベント・ホライゾンー』だけだ。
三度目の巻き戻しをした時、チームの皆は右目を失くした私にそれはそれは驚いた。しかし、二度目の巻き戻しで失った右耳には何も言わなかった。私に右耳がない、それは彼らにとって『前から知っていること』になっていたのだ。
四度目では右腕を失くしたことに大騒ぎしていた。でも、耳も目も、元からそうだったかのように、何も言われなかった。今度もそうなんだろう。
右耳が失く、片目を隠し、右腕に義手を付けている姿は彼らにとっていつもの私。
「・・・・・・また手術かぁ〜」
『なんだ?大丈夫か?意識はあるな?』
「大丈夫ですよ、リーダー。ちゃんと聞こえてます。足に付ける義足、注文しないといけないなぁって」
『お前はどうしてそう、怪我に頓着しないんだ!お前の幽波紋ならもっと上手く立ち回れるだろう』
「人生何が起こるか分からないですからねぇ」
『全く、本当に・・・・・・!もうすぐ着くからな』
「はぁい」
どうやら迎えに来てるのはリゾットとプロシュート、ソルベとジェラートのようだ。段々と車の音が大きくなってきた。本当に、いつもすぐ来てくれて、有り難い限りだ。
「マヤ!!!」
「ここでーす」
電話越しじゃない、肉声が左耳に届く。それに片手を挙げて応えると、まだ止まりきっていない車からリゾットが飛び出してきた。危ない。
「お前・・・・・・本当に、足を・・・・・・ッ!」
「すみません、下手を打ってしまいました。でも、ターゲットは始末しましたよ」
「誇るな、こんな大怪我をしておいて・・・・・・!」
「リゾット、兎に角早く病院へ運ぶぞ。話はそれからだ」
「分かってる!」
プロシュートへ噛み付くように返事をして、リゾットは私を抱き上げた。体の左側がリゾットに密着して、ほんのりと体温が伝わって来る。生きてる。ちゃんと、生きてる。
「ぅ・・・・・・!」
「ど、どうした?傷が痛むのか?プロシュート、安全運転だ!でも急げ」
「わぁってんだよ、んなこたァよォ!!」
「マヤ飴食べる?」
「右足の傷口触っていい?」
「呑気か!良い訳ねェだろ!」
急に泣き出した私に、リゾットが動揺している。プロシュートは叫びつつもいつもよりずっと丁寧な運転だし、ソルベは飴を差し出してくるし、ジェラートは傷口をしげしげと観察して、プロシュートはそんな二人へイラついたように怒鳴って。
皆がまだ生きてる。
その事が、どうしようもない程嬉しくて、右足なんかよりずっと、胸が痛かった。
今度こそ、皆を、誰も死なせない。
皆を守って、ボスを、ディアボロを倒す。
その為に私は、戻って来たのだから。
最初に受けた代償は、背中に走る大きな切り傷だった。
その次は右耳、更に次は右目、その更に次が右腕そして今度は右足。見事に右側ばかりが欠損していった。
段々と重くなっていくそれに、私は今回が最後だろう、と何となく悟った。
「にゃおん」
片耳片目、右前脚と後ろ脚、それに尻尾。それぞれが錆びたような色に変色してしまっている猫が、私のお腹の上で一声鳴いた。
「今度こそ・・・・・・上手く、やるよ」
重たい体に鞭を打って起き上がり、なくなってしまった右足を見た。真っ赤な血が地面へ広がっていく。
「まずは義足が必要だね」
携帯を取り出して慣れた番号にコールしながら止血を施し、もう幾度も繰り返した台詞を脳内で組み立てた。
『プロント、リゾットだ』
「リーダー、私、マヤです」
『どうした、任務失敗か?』
「成功したけど、ヘマしちゃって。怪我しました」
『わかった、迎えに行く。場所は何処だ』
いる場所を伝えると、リーダーのリゾットは端的に『分かった』と言った。
『怪我の度合いは』
「右足がなくなりました」
『はァ!?』
「右足が吹っ飛びました」
『ばっ!おま、このッ!すぐに行く!寝るなよ!このまま繋いでおけ!おい誰か車を回せ!アーヤが死にかけてる!』
「止血したんでそんなにすぐ死にませんよ」
『呑気してる場合か!』
先程までの淡々とした声色から一変、焦燥を滲ませた怒鳴り声が端末から聞こえてくる。更に向こうからギアッチョの怒号や、メローネの悲鳴にイルーゾォの上擦った声が届いた。帰ったら全員から大目玉を喰らうだろう。前回も、その前もそうだった。
ただ、それを覚えているのは私と、私の幽波紋『事象の地平線ーイベント・ホライゾンー』だけだ。
三度目の巻き戻しをした時、チームの皆は右目を失くした私にそれはそれは驚いた。しかし、二度目の巻き戻しで失った右耳には何も言わなかった。私に右耳がない、それは彼らにとって『前から知っていること』になっていたのだ。
四度目では右腕を失くしたことに大騒ぎしていた。でも、耳も目も、元からそうだったかのように、何も言われなかった。今度もそうなんだろう。
右耳が失く、片目を隠し、右腕に義手を付けている姿は彼らにとっていつもの私。
「・・・・・・また手術かぁ〜」
『なんだ?大丈夫か?意識はあるな?』
「大丈夫ですよ、リーダー。ちゃんと聞こえてます。足に付ける義足、注文しないといけないなぁって」
『お前はどうしてそう、怪我に頓着しないんだ!お前の幽波紋ならもっと上手く立ち回れるだろう』
「人生何が起こるか分からないですからねぇ」
『全く、本当に・・・・・・!もうすぐ着くからな』
「はぁい」
どうやら迎えに来てるのはリゾットとプロシュート、ソルベとジェラートのようだ。段々と車の音が大きくなってきた。本当に、いつもすぐ来てくれて、有り難い限りだ。
「マヤ!!!」
「ここでーす」
電話越しじゃない、肉声が左耳に届く。それに片手を挙げて応えると、まだ止まりきっていない車からリゾットが飛び出してきた。危ない。
「お前・・・・・・本当に、足を・・・・・・ッ!」
「すみません、下手を打ってしまいました。でも、ターゲットは始末しましたよ」
「誇るな、こんな大怪我をしておいて・・・・・・!」
「リゾット、兎に角早く病院へ運ぶぞ。話はそれからだ」
「分かってる!」
プロシュートへ噛み付くように返事をして、リゾットは私を抱き上げた。体の左側がリゾットに密着して、ほんのりと体温が伝わって来る。生きてる。ちゃんと、生きてる。
「ぅ・・・・・・!」
「ど、どうした?傷が痛むのか?プロシュート、安全運転だ!でも急げ」
「わぁってんだよ、んなこたァよォ!!」
「マヤ飴食べる?」
「右足の傷口触っていい?」
「呑気か!良い訳ねェだろ!」
急に泣き出した私に、リゾットが動揺している。プロシュートは叫びつつもいつもよりずっと丁寧な運転だし、ソルベは飴を差し出してくるし、ジェラートは傷口をしげしげと観察して、プロシュートはそんな二人へイラついたように怒鳴って。
皆がまだ生きてる。
その事が、どうしようもない程嬉しくて、右足なんかよりずっと、胸が痛かった。
今度こそ、皆を、誰も死なせない。
皆を守って、ボスを、ディアボロを倒す。
その為に私は、戻って来たのだから。
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