序章 ようこそ世界へ
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苦しい
もぞもぞと蠢く
押される様な
う、う、う!
「ほんぎゃあ! ほんぎゃあ!」
大きな声が響く
「産まれた! 産まれたぞクラン!」
「ええ、産まれた……貴方、この子の名前は?」
「もう決めている! イズル! イズル·アーキマンだ!」
············
ーーーイズルーーー
イズル·アーキマン
それが、俺の名前だ
アスラ王国、フィットア領ブエナ村に産まれた子供だ
父はボルト·アーキマン
北神流って言う剣術の北聖って呼ばれる達人らしい
仕事は村の警備……魔物が出た時に狩りに行ったりしている
母はクラン·アーキマン
ブエナ村で農業をやってる
強気な女性で、父をよく尻に引いている
そんな2人の間に産まれた俺は今は3歳をむかえた
「イズルも3歳か、そろそろ鍛え始めるべきか?」
「まだ早くないかい?」
「パウロの所の子供もそろそろ鍛えるって話だ、こういうのは早いほうがいいんだよ」
夕食の席で、両親が話す
「イズル、お前も剣術覚えたいよな?」
「?」
父はそう言って俺を見る
よく理解してないけど……
「やる!」
「ほら、やる気だ!」
「全く……大怪我させたら許さないからね?」
「わかってる!」
こうして、俺の剣術の訓練が始まった
ーーーーー
まあ、いきなり無茶はさせてはこなかった
「先ずは身体を鍛えるところからだ! 家からグルリと村を周るんだ! 走って……ってのは流石にまだ難しいな、歩いて周ってこい、足腰をそれで鍛えていくぞ」
そう言われて、村の中を歩く事になった
両親が仕事の間、雨の日以外はずっと歩いていた
数日ほど続けてたある日
「んっ? お前ボルトの所の?」
茶髪にホクロのある大人が話しかけてきた
「イズルです! こんにちは!」
「ああ、こんにちは」
少し話をしていたら、この大人が以前ボルトが言っていたパウロって人らしい
半裸で木剣を持っていたから、剣の訓練中だったのだろう
「ボルトから頼まれていてな、ある程度経ったら家のルディと一緒に剣を教えてやるよ」
「よろしくお願いします!」
ボルトは北神流北聖だ、北神流は教えられるが、剣神流と水神流はわからないそうだ
パウロは北神流は上級とボルトより下の級だが
剣神流と水神流も上級まで習得しており
実際に2人が戦ったら互角な展開になるらしい
「冒険者の頃は、俺もボルトもよく試合してな」
そんな風に話していたら
ドカーン!!
『!?』
パウロの家の2階が爆発した
いや、何か中から飛んでいった?
水?
「な、なんだ!? ゼニス! ルディ! リーリャ!」
パウロが家の中に駆け込む
「…………」
俺も気になったけど、他人の家に勝手に入ってはいけない
クランからそう教わってるから入らない
「…………」
でも壁が思いっきり壊れるって……
············
2日後、ボルト経由で聞いたが、あの爆発はパウロの息子
ルディ……ルーデウスっていう子が水属性の中級魔術を発動したらしい
中級であの威力……魔術って凄いなぁ
「それで、魔術の才能があるからってゼニスが張り切ってるらしい……家庭教師を雇うんだとさ」
「へぇ、ルーデウスって3歳だったよね? その歳で独学で中級だっていうならゼニスの言う事もわかるね」
3歳……俺と同い年
それで中級……凄いなぁ、俺まだ初級も取れてない
てか始まったばかり……
「がんばる!」
「イズル! よし、明日から剣振るか!」
「ふる!」
俺のやる気は大きく刺激された
翌日から木剣を振るようになった
振るっていうか振り回されてるけど……
「先ずはマトモに素振りが出来るようになってからだな」
ボルトがそう言って笑うのだった