ミスラの娘のはなし
Name Cange
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「おい…どうすんだよ、これ」
「どうって、連れてきたのブラッドリーだろ。僕は関係ない」
「はあ?…つか、これバレたらミスラに殺されるぞ」
「知らないよ」
「ったく…しょーがねぇガキだな…」
北の魔法使いであるブラッドリーとオーエンは、暇潰しにオズの城へイタズラをしに行くという目的で北の国に出向いていた。
はずだったのだが、途中である異変に気づき、足を止め今に至る。
ブラッドリーの抱える鞄の中に、穏やかな寝息を立てて寝ている子供の姿があった。
ミスラの娘である、娘。
驚かす為に、ブラッドリーの鞄へ忍び込んでしまったのだろう。
しかし、今は安心しきった表情でぐっすり眠っている。
「はぁ、つか俺様が入れてた食料全部出してから入りやがってるしよー。最悪だ」
「怒り狂ったミスラにオズの城破壊させたら面白そう」
「てめえは何傍観しようとしてんだ。何とかしねーと俺らだって消し炭にされちまうぞ」
「ブラッドリーがいつも勝てないからって、ミスラへの仕返しに娘を勝手に誘拐したってことで。僕は悪くない」
「上等だコラ…ミスラが来る前にぶっ殺してやるよ」
ブラッドリーとオーエンが今にも喧嘩を始じめようとしたその時、鞄の中からひょこっと小さな体が飛び出した。
「こら、喧嘩しちゃダメだよ!」
「「…」」
殺気立っていた二人だが、娘の可愛らしい喝を素直に聞き入れ、溜息を漏らしながら魔道具を収めた。
その様子を見て、娘はふわっと笑顔を向ける。
「へーへー。ったく、調子狂うぜ」
「大丈夫だよ、パパには二人は悪くないよって言うから。娘が勝手に付いてきちゃったもん」
「ほら、ブラッドリーなんかよりこの子の方がずっと賢い。酷いよね、ブラッドリーはこの状況を揉み消す事しか考えてなかったんだよ。自分が助かる為なら、君のことを置き去りにしてたかもね」
「ばっ、か…!んな事ねーし、怖がらせるなよ!つか、てめえだって自分は一切関係ありませんって全責任を俺様に押し付けようとしたくせによく言うぜ!都合が悪くなったらお前も同じ事するだろうがよ!」
再び口喧嘩が始まり、収拾がつかなくなってきた時。
大きな瞳を潤ませながら、娘は二人の裾を掴んだ。
「ブラッドリーとオーエンは、娘のこときらい?」
子猫のような眼差しで見上げる娘。
「……んな訳ねーだろ」
「……別に」
生まれて数年しか経っていない娘は、500年以上生きている二人にとっては、生まれたての赤子同然。
普段は恐れられている北の魔法使いたちも、赤子に対しては甘かった。
「えへへ、わたしもだーい好き!」
「「…」」
満面の笑みで二人に飛び付く娘に、すっかり毒気を抜かれた魔法使いたち。
ブラッドリーは頭を掻き、オーエンは視線を逸らす。
存外ミスラよりも手強いかもしれない、小さな手を取りながら、そんなことを思うのだった。
おわり
「どうって、連れてきたのブラッドリーだろ。僕は関係ない」
「はあ?…つか、これバレたらミスラに殺されるぞ」
「知らないよ」
「ったく…しょーがねぇガキだな…」
北の魔法使いであるブラッドリーとオーエンは、暇潰しにオズの城へイタズラをしに行くという目的で北の国に出向いていた。
はずだったのだが、途中である異変に気づき、足を止め今に至る。
ブラッドリーの抱える鞄の中に、穏やかな寝息を立てて寝ている子供の姿があった。
ミスラの娘である、娘。
驚かす為に、ブラッドリーの鞄へ忍び込んでしまったのだろう。
しかし、今は安心しきった表情でぐっすり眠っている。
「はぁ、つか俺様が入れてた食料全部出してから入りやがってるしよー。最悪だ」
「怒り狂ったミスラにオズの城破壊させたら面白そう」
「てめえは何傍観しようとしてんだ。何とかしねーと俺らだって消し炭にされちまうぞ」
「ブラッドリーがいつも勝てないからって、ミスラへの仕返しに娘を勝手に誘拐したってことで。僕は悪くない」
「上等だコラ…ミスラが来る前にぶっ殺してやるよ」
ブラッドリーとオーエンが今にも喧嘩を始じめようとしたその時、鞄の中からひょこっと小さな体が飛び出した。
「こら、喧嘩しちゃダメだよ!」
「「…」」
殺気立っていた二人だが、娘の可愛らしい喝を素直に聞き入れ、溜息を漏らしながら魔道具を収めた。
その様子を見て、娘はふわっと笑顔を向ける。
「へーへー。ったく、調子狂うぜ」
「大丈夫だよ、パパには二人は悪くないよって言うから。娘が勝手に付いてきちゃったもん」
「ほら、ブラッドリーなんかよりこの子の方がずっと賢い。酷いよね、ブラッドリーはこの状況を揉み消す事しか考えてなかったんだよ。自分が助かる為なら、君のことを置き去りにしてたかもね」
「ばっ、か…!んな事ねーし、怖がらせるなよ!つか、てめえだって自分は一切関係ありませんって全責任を俺様に押し付けようとしたくせによく言うぜ!都合が悪くなったらお前も同じ事するだろうがよ!」
再び口喧嘩が始まり、収拾がつかなくなってきた時。
大きな瞳を潤ませながら、娘は二人の裾を掴んだ。
「ブラッドリーとオーエンは、娘のこときらい?」
子猫のような眼差しで見上げる娘。
「……んな訳ねーだろ」
「……別に」
生まれて数年しか経っていない娘は、500年以上生きている二人にとっては、生まれたての赤子同然。
普段は恐れられている北の魔法使いたちも、赤子に対しては甘かった。
「えへへ、わたしもだーい好き!」
「「…」」
満面の笑みで二人に飛び付く娘に、すっかり毒気を抜かれた魔法使いたち。
ブラッドリーは頭を掻き、オーエンは視線を逸らす。
存外ミスラよりも手強いかもしれない、小さな手を取りながら、そんなことを思うのだった。
おわり