第1話
Name Cange
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それは突然のことだった。
普段よりも大きな足音を立てながら階段をのぼる音が聞こえ、数秒後に私の部屋の扉が勢いよく開かれた。
ベッドに横になりながら寛いでいた私は顔だけ扉の方に向けると、そこには機嫌の悪そうな兄、万里の姿があった。
『おかえり』
「おう」
『…帰ったらまず自分部屋いきなよ』
「はあ?別にいいだろ」
制服から着替えもせずに私が寝ているベッドに腰かける万里。
そのまま大きなタメ息を吐きながら、うつぶせで寝ている私に寄りかかってきた。
『ちょっと、重いんだけど』
「んー」
『おい、どいてってば』
「俺さー、来週の土曜にこの家出てくから」
『…ふーん。そうなんだ』
「お前さあ、俺に興味なさすぎじゃね?」
そう言って万里は更に体重をかけてきた。
興味がない、というのは全くの検討違いだ。
衝撃的すぎていまいちどんな反応をしていいのか分からなかっただけだ。
というより、そろそろ窒息死しそうなんだけど。
背中に手を伸ばして万里の肩あたりをバシバシと叩いたらやっと起き上がってくれた。
私も起きて、なんとなく寂しそうな万里の顔を覗き込んだ。
『出ていくってどこに?』
「気になんの?」
『そりゃあ一応』
「はは、素直じゃねーな。…俺、MANKAIカンパニーっつう劇団に入ることになったんだよ」
『劇団?』
MANKAIカンパニー。
そういえば、クラスの女子がそんな単語を口にしていたような気もする。
あまり覚えていないけど。
「なんつーか、成り行きでオーディション受けることになってさ。そんでそこの寮に入ることになったってわけ」
『へぇ…なんか意外』
「だろ?ま、どーせ毎日つまんねーし、暇潰しにはなんだろ」
『暇潰しって…本気でやってる人に失礼』
「…なんかムカつく」
何が、と言おうとしたけど、その前に万里の左手によってほっぺたを掴まれた。
「兵頭の肩持ってるみたいじゃねーか」
と万里が呟いた。
その表情はどこか複雑そうで、いつもの余裕そうな万里はどこにもいなかった。
結局、ご飯を食べてお風呂に入った後も、今日も万里は自室に戻ることはなかった。
つづく
普段よりも大きな足音を立てながら階段をのぼる音が聞こえ、数秒後に私の部屋の扉が勢いよく開かれた。
ベッドに横になりながら寛いでいた私は顔だけ扉の方に向けると、そこには機嫌の悪そうな兄、万里の姿があった。
『おかえり』
「おう」
『…帰ったらまず自分部屋いきなよ』
「はあ?別にいいだろ」
制服から着替えもせずに私が寝ているベッドに腰かける万里。
そのまま大きなタメ息を吐きながら、うつぶせで寝ている私に寄りかかってきた。
『ちょっと、重いんだけど』
「んー」
『おい、どいてってば』
「俺さー、来週の土曜にこの家出てくから」
『…ふーん。そうなんだ』
「お前さあ、俺に興味なさすぎじゃね?」
そう言って万里は更に体重をかけてきた。
興味がない、というのは全くの検討違いだ。
衝撃的すぎていまいちどんな反応をしていいのか分からなかっただけだ。
というより、そろそろ窒息死しそうなんだけど。
背中に手を伸ばして万里の肩あたりをバシバシと叩いたらやっと起き上がってくれた。
私も起きて、なんとなく寂しそうな万里の顔を覗き込んだ。
『出ていくってどこに?』
「気になんの?」
『そりゃあ一応』
「はは、素直じゃねーな。…俺、MANKAIカンパニーっつう劇団に入ることになったんだよ」
『劇団?』
MANKAIカンパニー。
そういえば、クラスの女子がそんな単語を口にしていたような気もする。
あまり覚えていないけど。
「なんつーか、成り行きでオーディション受けることになってさ。そんでそこの寮に入ることになったってわけ」
『へぇ…なんか意外』
「だろ?ま、どーせ毎日つまんねーし、暇潰しにはなんだろ」
『暇潰しって…本気でやってる人に失礼』
「…なんかムカつく」
何が、と言おうとしたけど、その前に万里の左手によってほっぺたを掴まれた。
「兵頭の肩持ってるみたいじゃねーか」
と万里が呟いた。
その表情はどこか複雑そうで、いつもの余裕そうな万里はどこにもいなかった。
結局、ご飯を食べてお風呂に入った後も、今日も万里は自室に戻ることはなかった。
つづく