第2話
Name Cange
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土曜日。
今日から万里は劇団の寮に住むことになっている。
あれから着々と私の部屋にある万里の私物を片付けていたから、今ではすっかり殺風景となっていた。
綺麗な自室を見て、本当に出ていってしまうんだと実感した。
「なまえ、そろそろ行くわ」
『…ん、気をつけて』
「寂しいとか思ってる?」
『うん』
「マジか。突然のデレとか反則だろ」
万里は嬉しそうに笑い、軽く頭を撫でてきた。
そりゃあ、毎日のように部屋に押しかけて来て、毎日のように一緒に寝ていた万里がいなくなるのは寂しい。
学校でしか会えなくなるのか、と落胆してるくらいにはブラコンなんだと思う。
「そんな寂しいなら毎日電話してやるよ」
『いや…さすがにそれはうざい』
可愛くないやつ、なんて言いながら、今度は髪の毛をぐしゃっとかき乱された。
乱暴な手つきを止めようとしながら、私はふと気になったことを聞いてみた。
『ねえ、何で急に劇団に入ろうと思ったの?』
「成り行きだって言っただろー」
『成り行きっていっても、なんかあるでしょ』
「…」
急に無言になったと思ったら、ぽつぽつと経緯を話始めた。
兵頭十座というO高の同級生にケンカで負けたこと。
彼との勝負に勝つために後をつけていたら、無理矢理劇団のオーディションを受けることになったという。
万里が最近ずっとイライラしていた理由も、なぜ急に劇団に入ったのかも分かった。
だけど、本当にこのまま入団しても大丈夫なのだろうか。
今の万里を見る限り、演劇がやりたいという気持ちは全く感じられない。
「兵頭に負けた時、正直すげー興奮したんだ」
『…え、変態』
「そういう意味じゃねーよ!とにかく、まだ分かんねーけどとりあえず兵頭に勝つ。それだけだよ」
『そっか。熱くなれるもの、見つかるといいね』
こうして、一つ上の兄と離れ離れの生活が始まった。
つづく
今日から万里は劇団の寮に住むことになっている。
あれから着々と私の部屋にある万里の私物を片付けていたから、今ではすっかり殺風景となっていた。
綺麗な自室を見て、本当に出ていってしまうんだと実感した。
「なまえ、そろそろ行くわ」
『…ん、気をつけて』
「寂しいとか思ってる?」
『うん』
「マジか。突然のデレとか反則だろ」
万里は嬉しそうに笑い、軽く頭を撫でてきた。
そりゃあ、毎日のように部屋に押しかけて来て、毎日のように一緒に寝ていた万里がいなくなるのは寂しい。
学校でしか会えなくなるのか、と落胆してるくらいにはブラコンなんだと思う。
「そんな寂しいなら毎日電話してやるよ」
『いや…さすがにそれはうざい』
可愛くないやつ、なんて言いながら、今度は髪の毛をぐしゃっとかき乱された。
乱暴な手つきを止めようとしながら、私はふと気になったことを聞いてみた。
『ねえ、何で急に劇団に入ろうと思ったの?』
「成り行きだって言っただろー」
『成り行きっていっても、なんかあるでしょ』
「…」
急に無言になったと思ったら、ぽつぽつと経緯を話始めた。
兵頭十座というO高の同級生にケンカで負けたこと。
彼との勝負に勝つために後をつけていたら、無理矢理劇団のオーディションを受けることになったという。
万里が最近ずっとイライラしていた理由も、なぜ急に劇団に入ったのかも分かった。
だけど、本当にこのまま入団しても大丈夫なのだろうか。
今の万里を見る限り、演劇がやりたいという気持ちは全く感じられない。
「兵頭に負けた時、正直すげー興奮したんだ」
『…え、変態』
「そういう意味じゃねーよ!とにかく、まだ分かんねーけどとりあえず兵頭に勝つ。それだけだよ」
『そっか。熱くなれるもの、見つかるといいね』
こうして、一つ上の兄と離れ離れの生活が始まった。
つづく