ヒソカはリルにぶつかった男の両腕を消してしまった。
正確には切断した腕を彼の念能力の伸縮自在の愛（バンジーガム）で天井に貼り付けたのだが、周りの人間も、切断された本人ですら消されたと錯覚するほどの素早い動き。
ヒソカの残忍な奇行に辺りの受験者が騒めき、響めき、奇怪な目で見ていると、リルがチョンチョンとヒソカの脇腹をつついた。

ヒソカがリルの方を見ると、リルはスッと人差し指で天井を指した。

「おや♦️見えていたのかい？❤️」

コクリとリルが頷く。
それを見てヒソカはにんまりと笑った。

「う〜ん❤️いいねぇ〜❤️」

リルが自身の奇術を見破ったことでヒソカはリルに俄然興味が湧いた。
ムクムクと自身の中に湧き上がる殺意を抑えようと、ヒソカは震える自身の腕を抑えた。
そんなヒソカをリルは不思議そうに見つめていた。


ーージリリリリリリ！！

けたたましく目覚まし時計の様なベルの音が鳴り響く。
全受験者がその音の方へ注目した。