リルが窓の外を見ていると、煌びやかな光が眼下に広がっている。
初めてみる人工的な輝きに、リルの瞳も輝きを増す。
窓ガラスにぴったりと額を付け、その輝きに夢中になっているとキルアが戻ってきた。

「ほら、汚すなよな。」

「アリガト。」

そう言ってズボンを投げてよこすと、キルアはリルの隣に座った。
リルはキルアの履いているズボンを見ながら、見よう見まねでズボンに足を通す。

「なぁ、リル…」

「なに？」

「リルってさ、ヒソカと一緒にいて嫌な感じしねぇの？」

「イヤ？しない。」

「マジで？！あいつ俺と同じ匂いがするぜ？現にヌメーレで結構な人数殺してたんだろ？」

同じ匂い？とリルがスンスンとキルアに鼻を寄せる。

「キルア、ヒソカ、匂い、違う。」

「そーじゃなくて！人殺しが怖くないのかって聞いてんの！」

う〜ん、とリルが考え込むような表情をした後、口を開いた。

「怖い、なに？」

「怖いってわかんないのか…こう、身体が縛られてるみたいに硬直したり、一緒に居たくないって思わないのかってこと。」

「ヒソカ、怖い、ない。キルア、ひとごろし？怖い、ない。みんな、優しい。怖い、ない。」

人殺しだろうとなんであろうと、自分は皆に良くしてもらっている。
だから、キルアの言う怖い事はないのだとリルは言った。
その答えにキルアは少し嬉しくなった。
ゴンと同じで自分を怖がらない同年代の奴は初めてだとキルアは笑った。

「俺さー、暗殺一家って言っただろ？」

「うん。」

「その中でもすげー、期待されててさ、家族の中でもいかに暗殺者として優秀なのかとかずっと言われてたんだよ。でもさ、俺、そうゆうの嫌なんだよね。自分の人生は自分で決めたいっていうの？人だって本当はあんまり殺したくないし、友達とか？作って、遊んで暮らしたいんだよね。」

リルが言葉を理解できないことを知ってか知らずか、キルアは語り続ける。
返答を求めるというよりは、ただ聞いてほしいといったキルアの意図を汲んでか、リルはただ黙って聞いていた。