「ほら、こっちに来なさい。」

そう言って奥の部屋にリルを連れて行く。
パタンとドアが閉まり、数十秒の沈黙の後、メンチが叫んだ。

「あんた！！下着も履いてないの？！」

その叫びにサトツは紅茶を吹き出しそうになり、ブハラは頬が赤くなった。
なんてことを大声で叫ぶんだと、バツの悪そうな顔をしながら2人は目を伏せた。

バタンと勢いよくドアが開いたかと思うと、メンチがブハラに詰め寄ってきた。
何を言われるのだろうと、ブハラが身構える。

「全っ然ダメ！サイズが違いすぎて話にならないわ！ブハラ、あんたのTシャツ貸しなさいよ。」

プロポーションの良いメンチの体系と、リルの幼児体型。下着から何から全てがサイズアウト。
メンチが苛立ちながらブハラにさっさと出しなさいよと言った風に手を出す。

「え？！で、でもオレの服の方が合わないんじゃ…」

「あんたのTシャツのサイズならワンピースみたいになるでしょ！」

そう言いながら、ブハラからTシャツを受け取りまた奥の部屋への扉をバタンと開け、メンチが入っていった。と思ったらすぐにまた出てきた。

「襟首からすっぽ抜けたわ！！サトツ！あんたのワイシャツは？」

ブハラのTシャツではリルには大きすぎて、裾から襟首まで一直線にストンとすり抜けてしまった。
どうぞ。とサトツはピシッと綺麗に折りたたまれたワイシャツをメンチに手渡す。
綺麗に折りたたまれている事などお構い無しにメンチはバサッとワイシャツを広げ、サイズを確認する。

「これならいけるかしら？」

最後の望みのサトツのワイシャツを手にメンチが3度目の扉を開けた。
パタリと閉じた後、先ほどよりも長い時間扉が開かないので、なんとか着れたのだろうと思い、サトツとブハラは紅茶を再度啜った。

「なんとか形にはなったわね。」

扉が開かれメンチが満足げな顔をして出てきた。
後にリルも続く。