「リル！魚だって！取りに行こう」

ゴンがリルの手を取り、他の受験者達に続いて走り出した。
ゴンは釣竿、キルアとリルは素手で魚を獲得し、調理場へと戻ってきた。

ニギリズシという名前から、生のまま魚をライスで包むというおぞましい料理が並び、メンチが味見の対象にもならない！と審査をしていく中、キルアが他とは違った料理を出した。

「小エビのカクテル、マスのマリネ辛子ソース和えとライス、スシのブリュゴーニュ風…」

他のとはクオリティが明らかに違うが、スシとは程遠いその料理をメンチが気色悪い！と放り投げると、審査の列に並んでいたヒソカが皿を持って列から離れて行った。

リルの生魚おにぎりも、レオリオと同じレベルと放り投げられ、もう一回作りに戻ろうとした時、会場から離れていくヒソカが目に入った。



リルがヒソカの後を追っていくと、川辺で石を投げているヒソカを見つけた。

「ヒソカ？シケン、する、ない？」

「ん〜…僕にはスシが何かわからないからね♠️別の機会を待つことにするよ♣️」

「これ、何？」

ヒソカの傍に置かれた皿の中には先程投げ捨てられたキルアの寿司のブリュゴーニュ風に似たものが入っていた。

「…僕が作ったものだけど、ダメらしいよ♠️」

「リル、食べる。いい？」

「別にいいよ♣️」

皿に盛られている小エビを１つ摘んで口に入れ、もぐもぐと咀嚼すると、今度はガツガツと食べ出した。

「ヒソカ！これ、オイシイ！」

「そう…それは良かった❤️」

夢中になって自分の料理を食べるリルをヒソカは嬉しそうに見つめていた。
ふと、リルの纏っているオーラが気になった。
大きなスライムのように纏っているオーラは、洗練された様子はないが、きちんと纒の形にはなっている。

「…ねぇ、リル、念の使い方を教えてあげようか？♠️」

「ネン？シケン、するない？」

「あの様子じゃ合格者は出ないよ♣️それよりもリルに早く念の使い方を覚えて欲しいんだけど♠️」

リルは少し考えた後了承した。
自分もスシが何かわからないし、ゴン達もおおよそ見当もついてない様子。
なにより、ヒソカがわからないものを自分が作れるわけもない。それならヒソカの言う念を使えるようになった方がよっぽど良いと思い、ヒソカに念を教わることにした。