「いってぇーー！！」

突然のレオリオの叫び声に、リルとクラピカは足を止めた。
見るとレオリオの二の腕にトランプが深く刺さっている。
濃かった霧が少しだけ晴れると、そこにはトランプで口元を隠したヒソカが立っていた。
その足元には十数人の受験者の屍が転がっている。

「てめぇ！何のつもりだ！？」

左腕に刺さったトランプを引き抜き、それを投げたであろうヒソカに向かってレオリオが吠えた。

「ククク…試験官ごっこさ♣️二次試験まではおとなしくしていようと思ったんだけど、あまりに退屈なんでね…審査委員会の仕事を手伝ってあげようかなって思って♠️僕が審査してあげるよ。君たちがハンターにふさわしいかどうか…もちろんここに倒れている奴らは全員不合格♠️」

そう言ってヒソカがゆっくりと足元の屍を跨ぎながら3人に近づく。
それに応えるように、クラピカとレオリオは自身の武器を構える。
リルは？を浮かべながら、二人とヒソカを交互に見ていた。


「ヒソカ、レオ、ピカ、痛いする。ダメ。」

ヒソカが2人に対して痛いことをしようとしている。
そう思ったリルはヒソカを静止した。が、ヒソカはトランプを手に、妖しく笑い歩みを止めることはなかった。


「私が合図したら、3人バラバラの方向に逃げろ。」

「なにぃ？！このまま黙って引き下がれってのかよ！」

「冷静になれ！今の私達に勝ち目があると思うのか？！」

クラピカの判断は最もだった。
恐らく、2人が束になってかかってもヒソカに殺されるだけだろう。
それならば逃げに転じた方が生き残れる可能性は十分に高い。
少し考え、渋々だがレオリオもそれに了承した。


「3.2.1.今だ！」

クラピカの合図で駆け出したのは2人。
リルはその場から動かず、歩み寄ってくるヒソカをじっと見ていた。