師範の愛が重すぎる
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師範に景信山に連れていかれてから約半月が経った
師範は無事全快し、今日はまた景信山を訪れている
それは、師範の御家族のお墓参りの為だ
師範は御家族に私を紹介したいとのことで、私も一緒に来ている
私と師範はお墓の前に立つ
そして手を合わせて目を閉じた
私は心の中で師範の御家族に挨拶をする
(師範の御家族の皆様、お初にお目にかかります。師範の恋人の鉄穴森楓と申します)
そしてここからは自分の思いを伝えることにした
(師範のお父様、お母様、師範を育ててくれてありがとうございます。そして師範の弟さん、師範の命を守ってくれてありがとうございます。貴方のおかげで師範と私はこうして出会うことが出来ました)
心の中で師範の御家族に感謝の気持ちを述べる
その後は安らかにお眠りくださいと伝えて、私は合わせていた手を離し、目を開ける
ちらりと隣の師範を一瞥する
彼は手を合わせたままだった
それも当然だろう
先日景信山を訪れた時はお墓参りには行けなかった
なので師範がこうして御家族のお墓参りに来るのは数年ぶりのはずだ
何しろ、これまでの師範は記憶を失っていたのだから
私は師範を待つことにした
彼は姿勢を崩さず手を合わせたままだ
きっと御家族に伝えたいことがたくさんあるのだろう
待ち始めて半刻程経っただろうか
師範は合わせていた手を離して目を開ける
どうやら御家族に伝えたいことは伝えきったようだ
師範の表情は少し悲しげだが、晴れ晴れとしている
そして師範は私に声を掛ける
「楓、帰ろうか」
『はい、師範』
私達はそのまま手を繋いで山を下りていく
最初は危ないから横抱きしていくと言われたのだが、私がそれを拒否したのだ
……そう、恥ずかしいから
それに私は鬼殺隊員なので山を登るくらいへっちゃらなのだ
実は前回景信山を訪れる時も横抱きしていくと言われたのだが、それも拒否した
理由は今回と同じだ
その結果、手を繋ぐのは良いでしょ?と師範に言われて、私が折れたのだ
あの顔は反則だった
師範に上目遣い(師範は私より背が低いので)で頼まれて、断れる女性は少ないと思う
よく過去の私は耐えられたな、と思う
そう考えながら歩いていると、いつの間にか別の場所に来ていた
どうやら私はぼーっとしていたらしく、師範に手を引かれていたらしい
そこは先日、師範に告白をした、銀杏が多く自生している場所だった
師範は足を止めて、私の方に向き直る
そしてその場で片膝をついた
「ねぇ、楓。この前のデートで僕がリボンを贈ったことを覚えてる?」
師範の言葉に、私はこくりと頷く
師範の瞳と同じ色をしたリボンは私の宝物で、毎日髪を結うのに使っている
勿論今日も身に着けている
「今日はそれとは別の物を贈りたいんだ」
師範はそう言うと、小さな箱を取り出した
中に何が入っているのだろう
その箱を師範はぱかりと開ける
仲には──────櫛が入っていた
その櫛には私が身に着けているリボンと同じ色……要するに師範の瞳と同じ色の宝石が埋め込まれている
上品だが華やかなデザインの櫛だ
そして、男性が女性に櫛を贈るのは求婚の意味がある
師範が私に伝えたいのは──────
「楓。僕達は鬼殺隊員だ。明日、自分の命があるかも分からない。それでも後悔はしたくないから伝える。……楓、僕の婚約者になってほしい」
ああ、本当にこの人は……
私をどこまで幸せにすれば気が済むのだろう
私の頬に一筋の涙が伝う
当然これはうれし涙だ
『はい、勿論です……!』
私は師範から櫛を受け取る
彼は穏やかな笑みを浮かべると、片膝をついた姿勢をやめて立ち上がった
「楓、これからは〝婚約者〟として……改めてよろしく」
『はい!とても嬉しいです。こちらこそよろしくお願いします……!』
私達の間には幸せな時間が流れていく
そんな中師範はぽつりと呟いた
「本当なら今すぐ結婚したいくらいだけど……年齢が足りないんだよな……」
かなり不満そうにしている師範
確かに結婚が可能なのは女性が15歳、男性が17歳だから、結婚は早くても後3年後だろう
そうして未だに何かぶつぶつ呟いて言える師範に向かって、私は言った
『……心配しなくても、今も、3年後も、その先もずーっと師範の傍にいますよ』
そんな私の言葉を聞いた師範は天を仰いで、「僕の恋人がかわいすぎる……!」と言っている
3年後、私達は生きているか分からない
鬼殺隊というのは明日命があるかも分からないのだから
それでも……私は師範との未来を願いたい
私がこの先を共に歩みたいと思うのは、愛が重すぎる師範だけだから──────
終
師範は無事全快し、今日はまた景信山を訪れている
それは、師範の御家族のお墓参りの為だ
師範は御家族に私を紹介したいとのことで、私も一緒に来ている
私と師範はお墓の前に立つ
そして手を合わせて目を閉じた
私は心の中で師範の御家族に挨拶をする
(師範の御家族の皆様、お初にお目にかかります。師範の恋人の鉄穴森楓と申します)
そしてここからは自分の思いを伝えることにした
(師範のお父様、お母様、師範を育ててくれてありがとうございます。そして師範の弟さん、師範の命を守ってくれてありがとうございます。貴方のおかげで師範と私はこうして出会うことが出来ました)
心の中で師範の御家族に感謝の気持ちを述べる
その後は安らかにお眠りくださいと伝えて、私は合わせていた手を離し、目を開ける
ちらりと隣の師範を一瞥する
彼は手を合わせたままだった
それも当然だろう
先日景信山を訪れた時はお墓参りには行けなかった
なので師範がこうして御家族のお墓参りに来るのは数年ぶりのはずだ
何しろ、これまでの師範は記憶を失っていたのだから
私は師範を待つことにした
彼は姿勢を崩さず手を合わせたままだ
きっと御家族に伝えたいことがたくさんあるのだろう
待ち始めて半刻程経っただろうか
師範は合わせていた手を離して目を開ける
どうやら御家族に伝えたいことは伝えきったようだ
師範の表情は少し悲しげだが、晴れ晴れとしている
そして師範は私に声を掛ける
「楓、帰ろうか」
『はい、師範』
私達はそのまま手を繋いで山を下りていく
最初は危ないから横抱きしていくと言われたのだが、私がそれを拒否したのだ
……そう、恥ずかしいから
それに私は鬼殺隊員なので山を登るくらいへっちゃらなのだ
実は前回景信山を訪れる時も横抱きしていくと言われたのだが、それも拒否した
理由は今回と同じだ
その結果、手を繋ぐのは良いでしょ?と師範に言われて、私が折れたのだ
あの顔は反則だった
師範に上目遣い(師範は私より背が低いので)で頼まれて、断れる女性は少ないと思う
よく過去の私は耐えられたな、と思う
そう考えながら歩いていると、いつの間にか別の場所に来ていた
どうやら私はぼーっとしていたらしく、師範に手を引かれていたらしい
そこは先日、師範に告白をした、銀杏が多く自生している場所だった
師範は足を止めて、私の方に向き直る
そしてその場で片膝をついた
「ねぇ、楓。この前のデートで僕がリボンを贈ったことを覚えてる?」
師範の言葉に、私はこくりと頷く
師範の瞳と同じ色をしたリボンは私の宝物で、毎日髪を結うのに使っている
勿論今日も身に着けている
「今日はそれとは別の物を贈りたいんだ」
師範はそう言うと、小さな箱を取り出した
中に何が入っているのだろう
その箱を師範はぱかりと開ける
仲には──────櫛が入っていた
その櫛には私が身に着けているリボンと同じ色……要するに師範の瞳と同じ色の宝石が埋め込まれている
上品だが華やかなデザインの櫛だ
そして、男性が女性に櫛を贈るのは求婚の意味がある
師範が私に伝えたいのは──────
「楓。僕達は鬼殺隊員だ。明日、自分の命があるかも分からない。それでも後悔はしたくないから伝える。……楓、僕の婚約者になってほしい」
ああ、本当にこの人は……
私をどこまで幸せにすれば気が済むのだろう
私の頬に一筋の涙が伝う
当然これはうれし涙だ
『はい、勿論です……!』
私は師範から櫛を受け取る
彼は穏やかな笑みを浮かべると、片膝をついた姿勢をやめて立ち上がった
「楓、これからは〝婚約者〟として……改めてよろしく」
『はい!とても嬉しいです。こちらこそよろしくお願いします……!』
私達の間には幸せな時間が流れていく
そんな中師範はぽつりと呟いた
「本当なら今すぐ結婚したいくらいだけど……年齢が足りないんだよな……」
かなり不満そうにしている師範
確かに結婚が可能なのは女性が15歳、男性が17歳だから、結婚は早くても後3年後だろう
そうして未だに何かぶつぶつ呟いて言える師範に向かって、私は言った
『……心配しなくても、今も、3年後も、その先もずーっと師範の傍にいますよ』
そんな私の言葉を聞いた師範は天を仰いで、「僕の恋人がかわいすぎる……!」と言っている
3年後、私達は生きているか分からない
鬼殺隊というのは明日命があるかも分からないのだから
それでも……私は師範との未来を願いたい
私がこの先を共に歩みたいと思うのは、愛が重すぎる師範だけだから──────
終