師範の愛が重すぎる
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師範は目覚めてからなんと3日でほぼ全快した
……私の師範、恐るべし
凄まじい肉体の持ち主だなぁと感心している自分と、早く回復してくれて嬉しいと思う自分がいる
ちなみに、私の気持ちはまだ伝えられていない
伝える時機を完全に見失ってしまったのだ
さっさと伝えてしまえば良いのだろうが、まだ本調子ではない師範にこの気持ちを伝えて良いのだろうかと悩んでいるのだ
どうしたものかと考えていると、師範に声を掛けられる
「楓、今日非番だよね。外出許可が出たから、良かったら僕に付き合ってくれない?」
私はこくりと頷く
『その……何処に行くんですか?』
私がそう尋ねると、師範は少し意地悪な笑みを浮かべて、「……秘密」とだけ答えた
私は首を傾げつつも、大人しく師範についていくことにした
──────
師範が連れてきたのは、景信山だった
銀杏が多く自生しており、銀杏の落葉が絨毯の様になっていて美しい
まだ歩くようで、その道中、師範は話を始めた
「……実はね、僕、記憶が戻ったんだ」
『!!』
私は手を口に当てる
遂に師範の記憶が戻ったのか
とても喜ばしいことだ
そして師範は取り戻した記憶について話してくれた
自分はこの景信山で育ったこと
自分の故郷であるこの場所で記憶について話したかったこと
父は杣人だったこと
優しい母と、双子の兄に囲まれて過ごしていたこと
しかし母が病気になり、その病気を治すために薬草を取りに行ったことで父が亡くなったこと
そして後を追うように母も病気で亡くなったこと
それからしばらくは兄と2人で暮らしていたが、仲は良好とは言えなかったこと
そして夏の夜、鬼に襲われて兄が重傷を負ったこと
自分はいつの間にか兄を襲った鬼を瀕死の状態に追い込んだこと
鬼が消滅した後、自分は兄に嫌われていたわけではないことを知ったこと
その後あまね様とその御息女に助けられて自分は今ここにいるということ
そうして自分の過去について一通り話し終えた師範
ああ、師範は……こんなにも重い過去を背負っていたんだ
私は思わず拳を握る
そして自分が思ったことをぽつりと零した
『師範の御家族って、とても優しい方々だったんですね。お互いがお互いを思っているからこそできた行動だと思います』
重い過去だと感じた以上に、師範の御家族は綺麗な心の持ち主だったのだと感じた
師範のお母様が病気を隠していたのは、家族に心配を掛けたくなかったから
師範のお父様が薬草を取りに行ったのは、師範のお母様を助けたかったから
師範のお兄様が師範を庇ったのは、弟である師範を守りたかったから
そうして師範の命を守り繋いでくれたのだ
私の想像でしかないが、きっとそうなのだろう
そう考えた後、私は言葉を続ける
『だから、私は……師範にとっての御家族のような存在になりたいんです』
思わずそう口にしていた
……あれ?
これって最早告白では……?
どんどん顔に熱が集まる
何という事をしてしまったんだ、私は……!
私はちらりと師範の方を見る
すると師範は形の整った目を大きく見開いていた
「……それ、本当?僕、自惚れても良いの?」
私はこくりと頷く
まさかこんな形で伝えることになるとは思わなかったが、師範の話を聞いて言わずにはいられなかった
その瞬間、師範が私を抱きしめる
「僕から改めて伝えるつもりだったのに……先越されちゃった。僕、かっこ悪いなぁ……」
『なっ!そんなことありません!師範は、その……か、かっこいい、ですよ……』
また上手く言えなかった
この素直じゃない性格を何とかできないだろうか
そして私の言葉を聞いた師範は笑みを浮かべる
そして私の背中に回していた腕を離すと、その場に膝をついた
「楓、改めて……僕の恋人になってくれる?」
そんなの……返事は決まっている
ざあ、と穏やかな風が吹き、一面に銀杏の葉が舞う
私の返事は、風に乗って舞っていった──────
……私の師範、恐るべし
凄まじい肉体の持ち主だなぁと感心している自分と、早く回復してくれて嬉しいと思う自分がいる
ちなみに、私の気持ちはまだ伝えられていない
伝える時機を完全に見失ってしまったのだ
さっさと伝えてしまえば良いのだろうが、まだ本調子ではない師範にこの気持ちを伝えて良いのだろうかと悩んでいるのだ
どうしたものかと考えていると、師範に声を掛けられる
「楓、今日非番だよね。外出許可が出たから、良かったら僕に付き合ってくれない?」
私はこくりと頷く
『その……何処に行くんですか?』
私がそう尋ねると、師範は少し意地悪な笑みを浮かべて、「……秘密」とだけ答えた
私は首を傾げつつも、大人しく師範についていくことにした
──────
師範が連れてきたのは、景信山だった
銀杏が多く自生しており、銀杏の落葉が絨毯の様になっていて美しい
まだ歩くようで、その道中、師範は話を始めた
「……実はね、僕、記憶が戻ったんだ」
『!!』
私は手を口に当てる
遂に師範の記憶が戻ったのか
とても喜ばしいことだ
そして師範は取り戻した記憶について話してくれた
自分はこの景信山で育ったこと
自分の故郷であるこの場所で記憶について話したかったこと
父は杣人だったこと
優しい母と、双子の兄に囲まれて過ごしていたこと
しかし母が病気になり、その病気を治すために薬草を取りに行ったことで父が亡くなったこと
そして後を追うように母も病気で亡くなったこと
それからしばらくは兄と2人で暮らしていたが、仲は良好とは言えなかったこと
そして夏の夜、鬼に襲われて兄が重傷を負ったこと
自分はいつの間にか兄を襲った鬼を瀕死の状態に追い込んだこと
鬼が消滅した後、自分は兄に嫌われていたわけではないことを知ったこと
その後あまね様とその御息女に助けられて自分は今ここにいるということ
そうして自分の過去について一通り話し終えた師範
ああ、師範は……こんなにも重い過去を背負っていたんだ
私は思わず拳を握る
そして自分が思ったことをぽつりと零した
『師範の御家族って、とても優しい方々だったんですね。お互いがお互いを思っているからこそできた行動だと思います』
重い過去だと感じた以上に、師範の御家族は綺麗な心の持ち主だったのだと感じた
師範のお母様が病気を隠していたのは、家族に心配を掛けたくなかったから
師範のお父様が薬草を取りに行ったのは、師範のお母様を助けたかったから
師範のお兄様が師範を庇ったのは、弟である師範を守りたかったから
そうして師範の命を守り繋いでくれたのだ
私の想像でしかないが、きっとそうなのだろう
そう考えた後、私は言葉を続ける
『だから、私は……師範にとっての御家族のような存在になりたいんです』
思わずそう口にしていた
……あれ?
これって最早告白では……?
どんどん顔に熱が集まる
何という事をしてしまったんだ、私は……!
私はちらりと師範の方を見る
すると師範は形の整った目を大きく見開いていた
「……それ、本当?僕、自惚れても良いの?」
私はこくりと頷く
まさかこんな形で伝えることになるとは思わなかったが、師範の話を聞いて言わずにはいられなかった
その瞬間、師範が私を抱きしめる
「僕から改めて伝えるつもりだったのに……先越されちゃった。僕、かっこ悪いなぁ……」
『なっ!そんなことありません!師範は、その……か、かっこいい、ですよ……』
また上手く言えなかった
この素直じゃない性格を何とかできないだろうか
そして私の言葉を聞いた師範は笑みを浮かべる
そして私の背中に回していた腕を離すと、その場に膝をついた
「楓、改めて……僕の恋人になってくれる?」
そんなの……返事は決まっている
ざあ、と穏やかな風が吹き、一面に銀杏の葉が舞う
私の返事は、風に乗って舞っていった──────