師範の愛が重すぎる
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『ありがとうございました~!』
私は隠の人にお礼を言って別れる
私が今いる場所は故郷である刀鍛冶の里だ
ここには私の家族……従兄とその奥さんがいる
私の両親は既にいない
母は私を産んですぐに亡くなったようだ
そして父は私が物心つく前に亡くなったらしい
父は刀鍛冶だったが、私ではなく従兄の兄さんがいたので、家の仕事を継ぐ必要はなかった
だから私はのびのびと自由に育てられたと思う
そんな私の幼い頃からの夢は鬼殺隊に入ることだった
幼い頃から刀鍛冶の里の人々の活躍を見続けてきたからこそ、刀を振るって人々を助けたいと思ったのだ
最初は周囲の人々に反対されたものの、今ではみんな私の意思を尊重してくれている
そう思い出に浸っていたが、すぐに思考を切り替える
まずは里長の鉄珍様に挨拶をしなければ
そうして私は里長の所へ向かい始めた
──────
鉄珍様の所にはすぐに着いた
「コンニチハ、楓ちゃん。久しぶりやね。また大きくなったの~」
お面をつけているので表情は分からないが、私が里に来たのを喜んでくれているのが分かる
私はいつも通り畳に軽くおでこをつけるくらい頭を下げる
『はい、お久しぶりでございます、鉄珍様』
私がそう返すと、鉄珍様は懐かしむように話を始めた
「いや~楓ちゃんは本当にしっかり者になったの。ワシ嬉しいわ」
しっかり者……そうだろうか?
自分ではドジばかりしているような気がするのでそう褒められるのは何だか新鮮な感じがする
『ありがとうございます、鉄珍様!』
私が明るい声色でそう返すと、鉄珍様はますます嬉しそうになり、私にかりんとうを手渡す
私はそれをありがたくいただきながら近況報告を始める
鉄珍様はこくこく頷きながら私の話を穏やかに聞いてくれている
近況報告を終えると、鉄珍様とは別れた
そして私は従兄の兄さんの所へと向かい始めた
──────
『楓です。ただいま戻りました~』
私は実家の扉を軽く叩く
すると奥の方からパタパタと足音が聞こえてきた
その足音は少しずつ近くなり、やがて扉が開かれた
「楓ちゃん!おかえりなさい」
扉を開けてくれたのは兄さんの奥方、鉛さんだ
私は義姉さんと呼んでいる
『義姉さん、久しぶり!元気だった?』
私がそう声を掛けると、義姉さんは穏やかな笑顔を返してくれる
「ええ、私は元気よ。鋼蔵さんはお仕事をしているからそれまでは私とお話でもしましょう」
鋼蔵さんとは義姉さんの夫であり、私の従兄である鉄穴森鋼蔵のことだ
私の父の跡を継いで、素晴らしい腕前を持つ刀鍛冶として活躍している
玄関先で話を続けず中で話そうという事で、私は早速実家に上がり、居間へと向かう
机にはお茶とお菓子が置いてある
「ふふ、楓ちゃんが帰ってくるから、良いお茶とお菓子を用意したのよ。お口に会うと良いのだけれど」
それはとてもありがたい
『義姉さん……!ありがとう。いただきます』
私は湯呑を手に取り、お茶を口に含む
すると義姉さんから衝撃の発言が飛び出した
「そういえば楓ちゃんは良い人はいないの?」
!?
その言葉を聞いて私は思わずお茶を吹き出しそうになった
良い人……イイヒト……
要するに男女の仲ってことでしょ!?
真っ先に顔が思いついたのは……師範だ
いや、何で!?
心の中で自分に突っ込む
私の顔にどんどん熱が集まっていく
私は思わず顔を赤らめながら答えを返す
『い、いないよ……そんな、人……』
私らしくもなくぼそぼそと小さな声だ
恥ずかしさのあまり湯呑を机に置いて顔を両手で隠す
そんな私を見て義姉さんはニコニコしている
そして彼女は上品にお茶を口に含むと、コトリと湯呑を置いた
「ふふ、その様子だと良い人がいるみたいね。良かったわ」
いや、いませんが
そう否定したいのに、私の口からその言葉が出ることはなかった
それは恥ずかしさからなのか、それとも師範のことが本当に好きなのかはまだ分からない
そう考えていると、義姉さんがポツリと呟き始めた
「鬼殺隊は明日命があるかも分からないでしょう。だから……楓ちゃんが普通の女の子みたいに恋をしている姿を見られて嬉しいの」
ああ、そうか……
義姉さんは私のことをいつでも思ってくれているんだ……
良い人がいるか聞かれた瞬間はかなり驚いたけれど、それが義姉の気遣いから来たものだと分かって胸が熱くなる
私は思わず一筋の涙を零した
『っ、ありがとう。義姉さん……』
するとその時、ちょうど兄さんが帰って来た
「ただいま……!楓じゃないか!それにしても何で泣いてるんだ?」
兄さんは基本敬語だが私達家族とは砕けた口調で話している
『ああ、ただいま。兄さん。私が泣いている理由は……女同士の秘密ってことで』
私は義姉さんの方に視線をやると、笑顔を返してくれた
その後は兄さんとも話し込み、刀鍛冶の里で過ごす日々は終わりが近づき始めていった
──────
刀鍛冶の里を出発する日
里のみんなが総出で見送ってくれることになった
そこには小鉄くんの姿もある
……そう、実は私は小鉄くんと仲が良いのだ
「楓さん~会えなくって寂しかったです……今度来たときはもっと話しましょうね」
今回、小鉄くんのところにはあまり行かないようにしていた
彼が忙しそうだったからだ
私も次はもっと話したい
『うん、約束だよ。里のみんなも元気でね!』
そうして長いようで短かった里への帰郷が終わり、私は師範が待つ屋敷へ帰ることになった
久しぶりに師範に会えると思うと、何だか嬉しい
でも、絶対に口には出さないもんね!
私は隠の人にお礼を言って別れる
私が今いる場所は故郷である刀鍛冶の里だ
ここには私の家族……従兄とその奥さんがいる
私の両親は既にいない
母は私を産んですぐに亡くなったようだ
そして父は私が物心つく前に亡くなったらしい
父は刀鍛冶だったが、私ではなく従兄の兄さんがいたので、家の仕事を継ぐ必要はなかった
だから私はのびのびと自由に育てられたと思う
そんな私の幼い頃からの夢は鬼殺隊に入ることだった
幼い頃から刀鍛冶の里の人々の活躍を見続けてきたからこそ、刀を振るって人々を助けたいと思ったのだ
最初は周囲の人々に反対されたものの、今ではみんな私の意思を尊重してくれている
そう思い出に浸っていたが、すぐに思考を切り替える
まずは里長の鉄珍様に挨拶をしなければ
そうして私は里長の所へ向かい始めた
──────
鉄珍様の所にはすぐに着いた
「コンニチハ、楓ちゃん。久しぶりやね。また大きくなったの~」
お面をつけているので表情は分からないが、私が里に来たのを喜んでくれているのが分かる
私はいつも通り畳に軽くおでこをつけるくらい頭を下げる
『はい、お久しぶりでございます、鉄珍様』
私がそう返すと、鉄珍様は懐かしむように話を始めた
「いや~楓ちゃんは本当にしっかり者になったの。ワシ嬉しいわ」
しっかり者……そうだろうか?
自分ではドジばかりしているような気がするのでそう褒められるのは何だか新鮮な感じがする
『ありがとうございます、鉄珍様!』
私が明るい声色でそう返すと、鉄珍様はますます嬉しそうになり、私にかりんとうを手渡す
私はそれをありがたくいただきながら近況報告を始める
鉄珍様はこくこく頷きながら私の話を穏やかに聞いてくれている
近況報告を終えると、鉄珍様とは別れた
そして私は従兄の兄さんの所へと向かい始めた
──────
『楓です。ただいま戻りました~』
私は実家の扉を軽く叩く
すると奥の方からパタパタと足音が聞こえてきた
その足音は少しずつ近くなり、やがて扉が開かれた
「楓ちゃん!おかえりなさい」
扉を開けてくれたのは兄さんの奥方、鉛さんだ
私は義姉さんと呼んでいる
『義姉さん、久しぶり!元気だった?』
私がそう声を掛けると、義姉さんは穏やかな笑顔を返してくれる
「ええ、私は元気よ。鋼蔵さんはお仕事をしているからそれまでは私とお話でもしましょう」
鋼蔵さんとは義姉さんの夫であり、私の従兄である鉄穴森鋼蔵のことだ
私の父の跡を継いで、素晴らしい腕前を持つ刀鍛冶として活躍している
玄関先で話を続けず中で話そうという事で、私は早速実家に上がり、居間へと向かう
机にはお茶とお菓子が置いてある
「ふふ、楓ちゃんが帰ってくるから、良いお茶とお菓子を用意したのよ。お口に会うと良いのだけれど」
それはとてもありがたい
『義姉さん……!ありがとう。いただきます』
私は湯呑を手に取り、お茶を口に含む
すると義姉さんから衝撃の発言が飛び出した
「そういえば楓ちゃんは良い人はいないの?」
!?
その言葉を聞いて私は思わずお茶を吹き出しそうになった
良い人……イイヒト……
要するに男女の仲ってことでしょ!?
真っ先に顔が思いついたのは……師範だ
いや、何で!?
心の中で自分に突っ込む
私の顔にどんどん熱が集まっていく
私は思わず顔を赤らめながら答えを返す
『い、いないよ……そんな、人……』
私らしくもなくぼそぼそと小さな声だ
恥ずかしさのあまり湯呑を机に置いて顔を両手で隠す
そんな私を見て義姉さんはニコニコしている
そして彼女は上品にお茶を口に含むと、コトリと湯呑を置いた
「ふふ、その様子だと良い人がいるみたいね。良かったわ」
いや、いませんが
そう否定したいのに、私の口からその言葉が出ることはなかった
それは恥ずかしさからなのか、それとも師範のことが本当に好きなのかはまだ分からない
そう考えていると、義姉さんがポツリと呟き始めた
「鬼殺隊は明日命があるかも分からないでしょう。だから……楓ちゃんが普通の女の子みたいに恋をしている姿を見られて嬉しいの」
ああ、そうか……
義姉さんは私のことをいつでも思ってくれているんだ……
良い人がいるか聞かれた瞬間はかなり驚いたけれど、それが義姉の気遣いから来たものだと分かって胸が熱くなる
私は思わず一筋の涙を零した
『っ、ありがとう。義姉さん……』
するとその時、ちょうど兄さんが帰って来た
「ただいま……!楓じゃないか!それにしても何で泣いてるんだ?」
兄さんは基本敬語だが私達家族とは砕けた口調で話している
『ああ、ただいま。兄さん。私が泣いている理由は……女同士の秘密ってことで』
私は義姉さんの方に視線をやると、笑顔を返してくれた
その後は兄さんとも話し込み、刀鍛冶の里で過ごす日々は終わりが近づき始めていった
──────
刀鍛冶の里を出発する日
里のみんなが総出で見送ってくれることになった
そこには小鉄くんの姿もある
……そう、実は私は小鉄くんと仲が良いのだ
「楓さん~会えなくって寂しかったです……今度来たときはもっと話しましょうね」
今回、小鉄くんのところにはあまり行かないようにしていた
彼が忙しそうだったからだ
私も次はもっと話したい
『うん、約束だよ。里のみんなも元気でね!』
そうして長いようで短かった里への帰郷が終わり、私は師範が待つ屋敷へ帰ることになった
久しぶりに師範に会えると思うと、何だか嬉しい
でも、絶対に口には出さないもんね!