第1章 決意と旅立ち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
考え事をする前に、まずは家の中を片付けることにした
……両親の遺体に目を向ける
本当に死んでしまったんだ
胸が締め付けられるように苦しい
二人の遺体を運び、家の庭に埋葬する
こんな気持ちになったのは、伯母を見送った時以来だ
家は鬼と両親の血で汚れている
両親が庇ってくれたおかげで私は無傷だ
私が鬼に傷をつけられていないのは不幸中の幸いと考えるべきか……
考えることを放棄し、無心で家を掃除する
さすがに畳と障子は替えなければいけないが、そこそこ綺麗にはなった
そんな時、火が消えた香炉を見つけた
私の家では毎晩藤の花の香炉を焚いていた
まさか、香炉が消えたせいで鬼が……
自然に消えたのか、人為的なものなのか……
いや、今はそれよりもこれからのことだ
……私はこれからどうするべきなのだろうか
身寄りはない
両親、伯母、父方の祖父母は鬼に殺された
母方の祖父母は両親が結婚した頃に亡くなってしまったらしい
他に親しくしている親戚はいないし、ほぼ赤の他人の子供を引き取ろうとは思わないだろう
まして今は大正時代
仮に引き取ってもらえたとしても、私は里親の役に立てるか分からない
もし役立たずだったら穀潰しとして扱われるだろう
穀潰しになるのは申し訳ない
考え込んでいると、ふと思った
……鬼はどうしよう
この世界が鬼滅の刃の世界かどうかは置いておいて、この世界に鬼が存在するのは事実
きっと鬼への被害は私が思っているよりも多い
……ならば、この力を生かして鬼を狩ろうか
そう思った
母の嫁入り道具である鏡台で胸元の〝痣〟を確認する
この痣は生まれつきのものだ
気味悪がらずに育ててくれた両親には頭が上がらない
……もしこれが鬼滅の刃の世界の痣と同じものならば、私はきっと強い
鬼の頸を斬れたことも納得できる
そして鬼との闘いを振り返ろうとしたが、あの時は頭に血が上っていて詳しいことは覚えていない
今の私は鬼への怒りと家族を殺された悲しみがある
だからこそ昨日のように鬼に恐怖を抱くことは無い気がする
原作の記憶を辿る
まず呼吸が使えるようになると良さそうだ
そして全集中の常中も練習しよう
……これで〝透き通る世界〟が見えていたら尚良かったのだが
と考えながら家を出る支度をする
武器は伯母の形見の日輪刀にしよう
私は子供でも鬼についての知識はある
……少しでも鬼の犠牲になる人を減らしつつ、今の状況と登場人物を把握しよう
そうすればここがどんな世界で私はどう行動すべきかが見えてくるはずだ
手持ちのお金が少ないからしばらくは野宿になるかもしれない
私は体が丈夫だし知識もあるから昼はお金を稼いで夜は鬼を狩ろう
三徹くらいは恐らく平気だ
食べ物も持っていこう
眠らないのは平気だが何も食べられないのは厳しい
そんなことを考えながら荷物をまとめて握り飯を作る
今日一日は家を出る準備をし、明日出発することにした
そうだ、余った食料はご近所の方々に差し上げよう
この家とも明日でお別れか……
またいつか絶対に戻ってこよう
準備をしているうちに、段々と一日が更けていった……
──────
そして翌朝
今は土の中で眠る両親に挨拶をする
『おはよう。今日は良い天気だよ。お父さん、お母さん』
返事は当然返ってこない
二人が遠くへ行ったことを実感させられて切ない気分になる
『私ね、鬼を狩ることにしたんだ。伯母さんと同じだよ。……鬼殺隊に入るかはまだわからないけど、私達みたいな人を少しでも減らせたら良いな』
『伯母さんもきっと、こんな気持ちだったんだね。それと、伯母さんの形見の日輪刀を使わせてもらうことにしたんだ。形見の羽織は大きすぎるから、まだ着られないんだけどね』
形見の羽織とは昨日掃除をしている際に偶然見つけたものだ
その羽織には見覚えがあった
生前の伯母が愛用していたものだ
袖を通してみたが、やはりまだ子供の自分が着てもぶかぶかで羽織を着るのは諦めた
『私ね、二人に育ててもらえて幸せだったよ。毎日が穏やかであたたかい日々だった』
話していくうちに目頭が熱くなる
私の瞳から涙がこぼれた
『私、お父さんとお母さんの娘に生まれてこれて良かった……今までありがとう。ゆっくり眠ってね』
前世、家族がいなかった私
そんな私が今世では短い間だったが、両親や伯母……〝家族〟と過ごすことができた
家族を愛し愛されることができた私は幸福だ
……そんな私の日常は壊れてしまった
だからこそ、他の人達の……その尊い幸せを守ろう
『……さようなら、行ってきます』
最後に別れの挨拶をし、家から離れていく
決して振り向かない
振り向いたら二人を埋葬した場所で泣き崩れてしまうかもしれないから
……私は、守るために強くなるんだ
夜明けだ
──────新しい朝が始まる
……両親の遺体に目を向ける
本当に死んでしまったんだ
胸が締め付けられるように苦しい
二人の遺体を運び、家の庭に埋葬する
こんな気持ちになったのは、伯母を見送った時以来だ
家は鬼と両親の血で汚れている
両親が庇ってくれたおかげで私は無傷だ
私が鬼に傷をつけられていないのは不幸中の幸いと考えるべきか……
考えることを放棄し、無心で家を掃除する
さすがに畳と障子は替えなければいけないが、そこそこ綺麗にはなった
そんな時、火が消えた香炉を見つけた
私の家では毎晩藤の花の香炉を焚いていた
まさか、香炉が消えたせいで鬼が……
自然に消えたのか、人為的なものなのか……
いや、今はそれよりもこれからのことだ
……私はこれからどうするべきなのだろうか
身寄りはない
両親、伯母、父方の祖父母は鬼に殺された
母方の祖父母は両親が結婚した頃に亡くなってしまったらしい
他に親しくしている親戚はいないし、ほぼ赤の他人の子供を引き取ろうとは思わないだろう
まして今は大正時代
仮に引き取ってもらえたとしても、私は里親の役に立てるか分からない
もし役立たずだったら穀潰しとして扱われるだろう
穀潰しになるのは申し訳ない
考え込んでいると、ふと思った
……鬼はどうしよう
この世界が鬼滅の刃の世界かどうかは置いておいて、この世界に鬼が存在するのは事実
きっと鬼への被害は私が思っているよりも多い
……ならば、この力を生かして鬼を狩ろうか
そう思った
母の嫁入り道具である鏡台で胸元の〝痣〟を確認する
この痣は生まれつきのものだ
気味悪がらずに育ててくれた両親には頭が上がらない
……もしこれが鬼滅の刃の世界の痣と同じものならば、私はきっと強い
鬼の頸を斬れたことも納得できる
そして鬼との闘いを振り返ろうとしたが、あの時は頭に血が上っていて詳しいことは覚えていない
今の私は鬼への怒りと家族を殺された悲しみがある
だからこそ昨日のように鬼に恐怖を抱くことは無い気がする
原作の記憶を辿る
まず呼吸が使えるようになると良さそうだ
そして全集中の常中も練習しよう
……これで〝透き通る世界〟が見えていたら尚良かったのだが
と考えながら家を出る支度をする
武器は伯母の形見の日輪刀にしよう
私は子供でも鬼についての知識はある
……少しでも鬼の犠牲になる人を減らしつつ、今の状況と登場人物を把握しよう
そうすればここがどんな世界で私はどう行動すべきかが見えてくるはずだ
手持ちのお金が少ないからしばらくは野宿になるかもしれない
私は体が丈夫だし知識もあるから昼はお金を稼いで夜は鬼を狩ろう
三徹くらいは恐らく平気だ
食べ物も持っていこう
眠らないのは平気だが何も食べられないのは厳しい
そんなことを考えながら荷物をまとめて握り飯を作る
今日一日は家を出る準備をし、明日出発することにした
そうだ、余った食料はご近所の方々に差し上げよう
この家とも明日でお別れか……
またいつか絶対に戻ってこよう
準備をしているうちに、段々と一日が更けていった……
──────
そして翌朝
今は土の中で眠る両親に挨拶をする
『おはよう。今日は良い天気だよ。お父さん、お母さん』
返事は当然返ってこない
二人が遠くへ行ったことを実感させられて切ない気分になる
『私ね、鬼を狩ることにしたんだ。伯母さんと同じだよ。……鬼殺隊に入るかはまだわからないけど、私達みたいな人を少しでも減らせたら良いな』
『伯母さんもきっと、こんな気持ちだったんだね。それと、伯母さんの形見の日輪刀を使わせてもらうことにしたんだ。形見の羽織は大きすぎるから、まだ着られないんだけどね』
形見の羽織とは昨日掃除をしている際に偶然見つけたものだ
その羽織には見覚えがあった
生前の伯母が愛用していたものだ
袖を通してみたが、やはりまだ子供の自分が着てもぶかぶかで羽織を着るのは諦めた
『私ね、二人に育ててもらえて幸せだったよ。毎日が穏やかであたたかい日々だった』
話していくうちに目頭が熱くなる
私の瞳から涙がこぼれた
『私、お父さんとお母さんの娘に生まれてこれて良かった……今までありがとう。ゆっくり眠ってね』
前世、家族がいなかった私
そんな私が今世では短い間だったが、両親や伯母……〝家族〟と過ごすことができた
家族を愛し愛されることができた私は幸福だ
……そんな私の日常は壊れてしまった
だからこそ、他の人達の……その尊い幸せを守ろう
『……さようなら、行ってきます』
最後に別れの挨拶をし、家から離れていく
決して振り向かない
振り向いたら二人を埋葬した場所で泣き崩れてしまうかもしれないから
……私は、守るために強くなるんだ
夜明けだ
──────新しい朝が始まる