このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

その他

よし、じゃあ今から話を聞いてくれ
長い話になるけど、これっきりだからさ。
頼むよ。



……ありがとう。


さて、俺は君が嫌いで嫌いで仕方がない。もうどっか見てないとこで勝手に死んでくれ。
ヤクザ相手にドジ踏んでくれないかなあ。
そんな事を考えるわけだ。



ちょっと、待って待って。
これは公然の事実なんだよ。今更すぎる真実だ。
その証拠に、君だって俺が嫌いだろ?



ん、まあ、わかってたよ。はいはい。
ついでにさあ、もうこのさいノミ蟲って呼ぶの止めてくれない?
俺には折原臨也って立派な名前があるんだからさ。
……そーですね。所詮俺はノミ蟲ですよ。
話がずれちゃったな。戻そうか。時間もないし。



別にいいよ。新羅に連絡しなくて。
自分の引き際位、自分が一番よくわかってるからさ。
だから君を呼んだんだ。
新羅でもドタチンでもない、俺が愛する人間達でもない。
君だ。


俺は君が嫌いで、君は俺が嫌い。
これはもうお互い嫌と言うほどわかってる。
何時からそうなったか。
そう、忘れもしない入学式だ。
あの時すごく礼儀正しく自己紹介した俺を、君は耳も貸さず感情的になりその力を振るったわけだ。
あの当時ただの高校生に過ぎなかった俺は



えー、いいじゃん。思い出話しても。
脚色じゃない、本当のことじゃないか。
はいはいはい。本題に入らせて頂きますよ。

あの時から俺達の関係は決まったわけだ。
第一印象が肝心だって言うけど、あれほど当てはまる出来事もないよねえ。
俺は最初で最後の行動をミスしたせいで、三年間心穏やかに過ごせる日が無かった。



君は強いじゃん。それくらい体育の延長上として素直に受け止めなよ。



まあまあ、落ち着いて。

……例えば、あの日の自己紹介を間違えなかったら。
万が一、いや、億が一、の確率かな。
俺と君が馬鹿やってつるんでる高校時代、なんてものがあったのかもしれない。



……あり得ないって俺も思うよ。だけど、鼻で笑うのは良くない。実に良くない。
普段から悪い人相がもっと悪くなるからさ。
ま、人相の悪さはもう直らないから良いとして。

もし違っていたら、まあ、間違いなく今とは違う人生を歩んでいたんだろう。




うん、もう用は無いよ。
仕事忙しいんでしょ。ろくでもない仕事なのにねえ。
あはは、俺が言えた義理じゃないか。




…あのさ、もし暇だったらで良いんだけど。
君大抵池袋うろうろしてるだろ?
セルティに会うついでにさ、新羅に適当に説明しといて。あと、ドタチンにも。

それだけ。
もう行って良いよ。



……俺としては、大好きな人間に関われなくなるのはすごく悲しい。
まあ、自業自得なんだけどさ。
俺が居なくても、この街は変わらないだろうし。
いや違うか。
俺を置いて変化し続けるだろうし。

変わっていく姿を見れなくなるのは、とても、かなしい。


……あのさ、もう行って良いよ?
君はきっと、これから名前の通り平和で静かな生活を送るんだろうね。

でも、そう言う生活には飽きが来る。
結局人間は、
いや、俺たちは。
刺激がなくちゃ生きていけないんだ。






引き留めて悪かったね。
せいぜい仕事がんばって。



じゃあ、いつか、またどこかで。

平凡に出会えることを願ってるよ。


ばいばい、シズちゃん。
1/4ページ
スキ