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その他

「ユーリスさん、しゃがんでください」
言われるがままにしゃがみ込んだ。ちなみに彼女はユーリスの後ろに位置しているため、なにをしているかはわからない。
一度、二度。そよ風のような感覚が頭をなでていく。
「はい。取れましたよ」
その声に背筋を伸ばして向き直った。
「葉っぱがついていたんです……どうかしました?」
「……いいや。俺もお前も、ずいぶんと変わったなと思ってな」
顎に手を当てて首を傾げる。頭には盛大にはてなが浮かんでいることが容易にわかる表情だった。
なにを考えているかわからないと言われる己とは違う。

「出会ったときのころは、俺が何も言わず佇んでいたら怯えていただろう」
「お、怯えては……いたかもしれませんね」
がくりと肩を落としたかと思うと、でも、と前置きをしてぐっと顔をあげた。
「ユーリスさんだって、素直に頭を触らせてくれなかったじゃないですか」
「……それも、そうだな」


せっかくだから、とアーシャは自前に持ってきていたらしい敷物を地面に引き、かごからパンと紅茶を取り出す。
ユーリスも同じように隣に腰を下ろしてカップを受け取った。
焼きたてのパンを切り分け、バターを塗る手を止めずに彼女は話を続ける。
「アーニーさん以外の男性と、こうしてご飯を食べることも想像してませんでした」
「ああ……俺もナナカ以外と旅をするとは思わなかったな」
そう呟くと、ふふ、と笑い声が聞こえた。
「私達、同じですね。……できました。はいどうぞ」
渡されたパンを頬張る。
錬金術のレシピを応用して作っているのだというそれは、フィルツベルクののパン屋と比べると味は落ちるものの、不思議と気力がわいてくる気がした。

その後はお互い座った状態のまま、成果の処理をしていく。
「猟師さんってナイフさばきもすごいですね……」
ちらりと目を向ける。思わず呟いてしまったという音で、彼女は手元の作業を止めないままだった。
「俺からすれば、量りもない状態でぴったりとわけられるのがすごいと思うが」
「それはお互いでしょう?」
と、均等にわけて置いてあった肉と毛皮を指さし、笑ってみせる。
「……出会った頃とくらべると、口も達者になったな」
「……それ、ユーリスさんが言いますか……?」
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