TOS
「行って来まーす」
家の門をかしゃんと閉め、振り返り挨拶する。
みんみんと煩わしい蝉の声を聞きながら、まだ人も少ない住宅地をコレットは一人学園へと歩いていく。
「コレットー!」
その時、静寂に包まれた住宅地の雰囲気を壊すような大きな呼び声が響いた。
その呼び声に、コレットは足を止めて振り返る。
そんなコレットの隣に並ぶように、赤い自転車が耳障りなブレーキの音を響かせて止まった。
「おはよう、ロイド」
「……おは、おはよコレット」
にっこりと笑うコレットとは別に、ロイドはどこかぐったりした様子で返事を返す。
しばらくロイドは荒い息を吐き、それから持ち直すように深呼吸する。
「コレットは今日も早いな」
「私は徒歩だから、早くに出ないと間に合わないかなって」
「それにしたって、こんな時間」
「私ね、今日日直だから」
その言葉に、ロイドは合点が言ったようにああ、と相槌を打った。
が、直ぐに首を傾げる。
「……日直に、朝の仕事なんかあったか?」
「えっとね、私が早く行って掃除したりしたら、皆綺麗に過ごせるかなあって」
少し照れながらそう言うコレットに、ロイドはへー、と感嘆の声を出した。
そして、自転車の荷台をぽんと叩いた。
「そう言うことなら、乗ってけよ!」
「ええっ、良いよお。ロイド、部活があるんでしょう?早く行かなきゃ」
「コレットだって早く行かなきゃならないだろ」
すっぱりと言われ、返す言葉も無い。むう、と小さく呻りながら、ロイドの言葉に甘えて荷台に横に乗った。
その一連の流れを見て、ロイドは笑う。
それに照れたようにコレットも笑い返して、ロイドの肩にゆっくりと手を置いた。
「ちゃんと掴まってろよ」
「うん、だいじょぶ」
ちらりと後ろを確認して、ロイドは自転車を漕ぎ出した。
蝉の鳴き声が周りを満たし、きいきいと少し錆びた自転車から音が聞こえる。
その音と、肩からほのかに伝わるコレットの手の体温に、どこか照れくさいような気がして、少しスピードを速める。
それに驚いたようだ。
コレットが小さく、わぁっ、と悲鳴を上げた。
それが何故かおかしくて、大声で笑った。
学校までの道のりは、あと、ほんの少し。
家の門をかしゃんと閉め、振り返り挨拶する。
みんみんと煩わしい蝉の声を聞きながら、まだ人も少ない住宅地をコレットは一人学園へと歩いていく。
「コレットー!」
その時、静寂に包まれた住宅地の雰囲気を壊すような大きな呼び声が響いた。
その呼び声に、コレットは足を止めて振り返る。
そんなコレットの隣に並ぶように、赤い自転車が耳障りなブレーキの音を響かせて止まった。
「おはよう、ロイド」
「……おは、おはよコレット」
にっこりと笑うコレットとは別に、ロイドはどこかぐったりした様子で返事を返す。
しばらくロイドは荒い息を吐き、それから持ち直すように深呼吸する。
「コレットは今日も早いな」
「私は徒歩だから、早くに出ないと間に合わないかなって」
「それにしたって、こんな時間」
「私ね、今日日直だから」
その言葉に、ロイドは合点が言ったようにああ、と相槌を打った。
が、直ぐに首を傾げる。
「……日直に、朝の仕事なんかあったか?」
「えっとね、私が早く行って掃除したりしたら、皆綺麗に過ごせるかなあって」
少し照れながらそう言うコレットに、ロイドはへー、と感嘆の声を出した。
そして、自転車の荷台をぽんと叩いた。
「そう言うことなら、乗ってけよ!」
「ええっ、良いよお。ロイド、部活があるんでしょう?早く行かなきゃ」
「コレットだって早く行かなきゃならないだろ」
すっぱりと言われ、返す言葉も無い。むう、と小さく呻りながら、ロイドの言葉に甘えて荷台に横に乗った。
その一連の流れを見て、ロイドは笑う。
それに照れたようにコレットも笑い返して、ロイドの肩にゆっくりと手を置いた。
「ちゃんと掴まってろよ」
「うん、だいじょぶ」
ちらりと後ろを確認して、ロイドは自転車を漕ぎ出した。
蝉の鳴き声が周りを満たし、きいきいと少し錆びた自転車から音が聞こえる。
その音と、肩からほのかに伝わるコレットの手の体温に、どこか照れくさいような気がして、少しスピードを速める。
それに驚いたようだ。
コレットが小さく、わぁっ、と悲鳴を上げた。
それが何故かおかしくて、大声で笑った。
学校までの道のりは、あと、ほんの少し。