TOS
会って話がしたい。
俺の話を聞いてほしい、そして、いつものように少し困ったような笑い顔で俺のことを
イセリアを出ていってから、もう随分たった。
太陽が昇れば歩き出し、沈めば野宿。
日にちの感覚はつく。
方角を見ればおよその時間帯も割り出せるが、それよりも気がかりなのは。
「……コレット」
呟いて、溜め息を吐きつつ剣を鞘へ収めた。
もう夜も深い。
古びた小屋を陣取っていることもあり、明かりは焚火と崩れかけた屋根から除く月明かりしかなかった。
炎が飛び火して小屋を焼かない様に、しっかりと調整をする。
「……コレット」
もう一度呟いて、抱えこんだ膝に顔を埋めた。
村を追い出されてから、考える時間が増えないように、常に戦いに明け暮れた。
ぎりぎりまで戦って、休むところを見つけるとそこで泥のように眠る。
そんなことを繰り返していたから、自分の疲労が取れた感じがいまひとつしない。
そんな中、それに合わせているジーニアスの負担は一体どれほどのものだろうか。
「……悪いな」
相変わらず騒々しい寝息を立てているジーニアスは、もちろんロイドの謝罪にも気づかず眠り込んでいる。
それをしばし見つめた後、焚き火を消して床へと倒れこむ。
床に敷いた布は、お世辞にも良いとは言いがたい。
埃っぽい空気を吸いながら、ロイドは思い出す。
あの太陽のように美しい髪の色と、優しい笑顔を。
(……会って、話がしたい)
自分は許されたいのだろう。
寄りかかるには小さすぎるその肩に、自らの罪を預けること。
これが彼女にとってどれほと辛いことなのか。
(……絶対に、追いついてみせる)
何の為に?
世界再生の神子の護衛の為?
それとも、自らの罪を
(今は、何も考えたくない)
明日もまた早いだろう。
一刻も早く追いつかなければ。
思って、ロイドは硬く目を閉じた。
徐々に意識を闇が包んでいき、そうして眠りに落ちた。