もうひとつの家族
今日も僕たち体育委員会は、いつも通り裏裏山まで走っています。僕は体力があるわけじゃないし、走るのも特別好きなわけじゃない。
でも僕は、体育委員会が大好きです。
ぜぇぜぇと息を切らしながら、頑張って皆についていく。汗が流れて喉はカラカラ。脇腹も痛くなってきた。
「ほら四郎兵衛!早くしないと置いていくぞ~!」
七松先輩は、大声で笑いながら僕の前を風のように、ピューっと駆け抜けていく。本当に風になってしまうんじゃないかと思うほど速い。大きな背中はどんどん小さくなってしまう。慌てて追いかけるも、疲労から足が思わずもつれてしまった。
「四郎兵衛、大丈夫か?」
転けそうになり、体が地面に着く寸前で、滝夜叉丸先輩が僕の体をひょいっと抱えてくれた。
「七松先輩!もうちょっとゆっくり走ってくださいよ!」
滝夜叉丸先輩は怒鳴りながら、そっと僕をおろすと七松先輩の元へ再び走り出した。
普段は自慢ばかりして僕たちを困らせるけど、本当は優しい先輩だって僕は知ってるんだ。
流れる汗を拭い、再び走り出す。すると、先程まで一緒に走っていた次屋先輩が急に進行方向とはまったく逆に走り出した。これはいけない、と慌てて裾を掴み引っ張って正しい道へと修正する。
「せ、先輩!こっちです!」
「ん、そっちか。」
のんびりとこちらを見ると、正しい方向へと走り出した。僕を追い越す時に先輩は笑顔で、ありがとなって言ってくれた。お礼を言われるほどじゃないのに、と恥ずかしいが、どこか嬉しくもある。
「金吾、大丈夫??」
息を切らしてつらそうに走る金吾に声をかけるが、正直自分もしんどかった。だが頑張っている後輩の前で弱音は吐けない。
「はっ、はいっ!」
泣き出しそうな、だけど、ぐっと我慢をした表情で金吾は返事をする。
泣かないって決めたんです!
委員会が始まる前に金吾は僕に話してくれた。委員会に入った頃は毎日泣いては皆を心配させていた。丁度一年前の自分みたいに思えて、精一杯慰めた。
でも金吾は僕が思ってるよりも、ずっと、ずっと強かった。
僕も頑張らなくちゃって思った。
「よーし皆帰ってきたな!」
七松先輩以外は皆ぐったりとしていて、立っていられなかった。水を皆に配って、一人ひとりに声をかけている。
僕の元にやってくると、大きな手でガシガシと頭を撫でてくれた。
「四郎兵衛、よく頑張ったな!偉いぞ!」
ニコッと笑顔で僕を撫でる七松先輩は、太陽みたいで僕の心を暖かくさせる。
「よーし、夕飯食べにいくか!」
「はいっ」
僕は体力があるわけじゃないし、走るのも特別好きなわけじゃない。
でも僕はやっぱり、体育委員会が大好きです。
でも僕は、体育委員会が大好きです。
ぜぇぜぇと息を切らしながら、頑張って皆についていく。汗が流れて喉はカラカラ。脇腹も痛くなってきた。
「ほら四郎兵衛!早くしないと置いていくぞ~!」
七松先輩は、大声で笑いながら僕の前を風のように、ピューっと駆け抜けていく。本当に風になってしまうんじゃないかと思うほど速い。大きな背中はどんどん小さくなってしまう。慌てて追いかけるも、疲労から足が思わずもつれてしまった。
「四郎兵衛、大丈夫か?」
転けそうになり、体が地面に着く寸前で、滝夜叉丸先輩が僕の体をひょいっと抱えてくれた。
「七松先輩!もうちょっとゆっくり走ってくださいよ!」
滝夜叉丸先輩は怒鳴りながら、そっと僕をおろすと七松先輩の元へ再び走り出した。
普段は自慢ばかりして僕たちを困らせるけど、本当は優しい先輩だって僕は知ってるんだ。
流れる汗を拭い、再び走り出す。すると、先程まで一緒に走っていた次屋先輩が急に進行方向とはまったく逆に走り出した。これはいけない、と慌てて裾を掴み引っ張って正しい道へと修正する。
「せ、先輩!こっちです!」
「ん、そっちか。」
のんびりとこちらを見ると、正しい方向へと走り出した。僕を追い越す時に先輩は笑顔で、ありがとなって言ってくれた。お礼を言われるほどじゃないのに、と恥ずかしいが、どこか嬉しくもある。
「金吾、大丈夫??」
息を切らしてつらそうに走る金吾に声をかけるが、正直自分もしんどかった。だが頑張っている後輩の前で弱音は吐けない。
「はっ、はいっ!」
泣き出しそうな、だけど、ぐっと我慢をした表情で金吾は返事をする。
泣かないって決めたんです!
委員会が始まる前に金吾は僕に話してくれた。委員会に入った頃は毎日泣いては皆を心配させていた。丁度一年前の自分みたいに思えて、精一杯慰めた。
でも金吾は僕が思ってるよりも、ずっと、ずっと強かった。
僕も頑張らなくちゃって思った。
「よーし皆帰ってきたな!」
七松先輩以外は皆ぐったりとしていて、立っていられなかった。水を皆に配って、一人ひとりに声をかけている。
僕の元にやってくると、大きな手でガシガシと頭を撫でてくれた。
「四郎兵衛、よく頑張ったな!偉いぞ!」
ニコッと笑顔で僕を撫でる七松先輩は、太陽みたいで僕の心を暖かくさせる。
「よーし、夕飯食べにいくか!」
「はいっ」
僕は体力があるわけじゃないし、走るのも特別好きなわけじゃない。
でも僕はやっぱり、体育委員会が大好きです。
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