いっぱいの花をあなたに!
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「それでは、お世話になりました!」
「……」
「お世話に、なり、ました!」
無言でそっぽを向いている獪岳くんの腕を掴んで正面を向かせたあと、そんな彼の腕を引いたまま、私はおんなじ言葉を繰り返した。
目の前のおじさんは、あいも変わらずにこにこと微笑んでいる。
「では、お気をつけて。鬼狩りさまにおきましては、ご武運を」
カチカチと火打ち石を鳴らしてくれたおじさんは、そのあと、私たちが見えなくなるまで見守ってくれていた。なんと良い人なのか。こころがほっこりとする。
そんなこんなで藤の家紋の家を出発した私と獪岳くんは、どうやら途中まで方向が一緒だったようで、共に道を歩いている。
方向が一緒だと伝えた時、獪岳くんは、面倒くさそうに、眉を寄せていたけれど、私としては帰り道の話し相手がいるので万々歳である。
「それで?獪岳くんは、このあとすぐにお仕事なの?」
「まぁ、そうだな」
「わぁ、やっぱり鬼狩りのお仕事って多忙なんだね。実弥さんもいつも大変そうだもの」
「……風柱のことか?
そりゃあ、柱ともなれば俺とは仕事の量も鬼の強さも違うだろうな」
「うん、そう。
実弥さんもそうだけどさぁ、獪岳くんも、ひどい怪我しない様に気をつけてくれたら嬉しいな」
怪我をせずに鬼を仕留めるなんて、よっぽどじゃないと難しいだろうから。
そう思って、言葉を漏らせば、獪岳くんは、「うるせぇよ」と小さくこぼした。
しばらく沈黙が続く。どうやら、獪岳くんは口数が多い方じゃないらしい。うーん、気まずい。
これは鬼殺隊に入った経緯とか聞くべき?でも、実弥さんからも聞いたことないしなぁ。どうしよう。
そう思い悩んでいると、「そういえば」と獪岳くんが口を開いた。
正直、話題を振ってもらえたのは嬉しかったので、自分の声も思ったより大きく出てしまった。
それに対して、獪岳くんはウワッとでもいうように、眉根を寄せる。
彼の眉毛は正直だなぁと、見当違いのことが脳裏をよぎった。
「なにかな!」
「テメェ、なんで風柱のところにいるんだ。雇われてんのか?」
「あぁ、そのことかぁ。単純に、実弥さんがわたしを助けてくれて、そのまま引き取って…?雇って…? うーんと、家に置いてくれるようになったんだよ」
「釈然としねぇ」
獪岳くんは、もっと説明の仕方あったろう、とでもいい上げに口を尖らせる。
と言っても、話すと長くなるし、その割には簡単な理由なんだよね。
お館さまの鶴の一声、そして実弥さんの優しさというか。
うーん、とわたしが言葉を考えていれば、分かれ道に差し掛かった。
獪岳くんは、無言で左側の道へと進んでいく。
私はというと右方向に帰らなくてはいけないので、慌ててその背中に呼びかける。
「またね、獪岳くん!
次はゆっくり会えたら、今度はお団子食べようね!」
獪岳くんからは返事がなかった。
私は、右方面へと足を踏み出した。
風柱邸へと帰ると、玄関のところに見慣れた隊服姿の人が立っていた。もちろん、家主の実弥さんである。
彼は私に気づいたようで、こちらへと歩いてきた。
私もぱたぱたと駆け寄る。
「実弥さん!ただいまです~!」
「遅いぞ鈍間ァ」
「うふふ、でも私、お友だちできました」
「ハァ?なにしに行ったんだよテメェはァ。
……まぁいい、俺はこれから任務に行く。だから、#なまえ#はそのまま家帰って待ってろォ」
「む、それはいってらっしゃいませ」
一瞬だけ会えたのは、任務前に実弥さんが待っていてくれたからだ。
手短に藤の家紋の家の方々の様子をお伝えしてそして今度は私が実弥さんを見送った。
風柱らしく、実弥さんはすぐに背中が見えなくなった。
本当に忙しい方だなぁと、思いながら、私は屋敷の扉をあけるのだった。
「……」
「お世話に、なり、ました!」
無言でそっぽを向いている獪岳くんの腕を掴んで正面を向かせたあと、そんな彼の腕を引いたまま、私はおんなじ言葉を繰り返した。
目の前のおじさんは、あいも変わらずにこにこと微笑んでいる。
「では、お気をつけて。鬼狩りさまにおきましては、ご武運を」
カチカチと火打ち石を鳴らしてくれたおじさんは、そのあと、私たちが見えなくなるまで見守ってくれていた。なんと良い人なのか。こころがほっこりとする。
そんなこんなで藤の家紋の家を出発した私と獪岳くんは、どうやら途中まで方向が一緒だったようで、共に道を歩いている。
方向が一緒だと伝えた時、獪岳くんは、面倒くさそうに、眉を寄せていたけれど、私としては帰り道の話し相手がいるので万々歳である。
「それで?獪岳くんは、このあとすぐにお仕事なの?」
「まぁ、そうだな」
「わぁ、やっぱり鬼狩りのお仕事って多忙なんだね。実弥さんもいつも大変そうだもの」
「……風柱のことか?
そりゃあ、柱ともなれば俺とは仕事の量も鬼の強さも違うだろうな」
「うん、そう。
実弥さんもそうだけどさぁ、獪岳くんも、ひどい怪我しない様に気をつけてくれたら嬉しいな」
怪我をせずに鬼を仕留めるなんて、よっぽどじゃないと難しいだろうから。
そう思って、言葉を漏らせば、獪岳くんは、「うるせぇよ」と小さくこぼした。
しばらく沈黙が続く。どうやら、獪岳くんは口数が多い方じゃないらしい。うーん、気まずい。
これは鬼殺隊に入った経緯とか聞くべき?でも、実弥さんからも聞いたことないしなぁ。どうしよう。
そう思い悩んでいると、「そういえば」と獪岳くんが口を開いた。
正直、話題を振ってもらえたのは嬉しかったので、自分の声も思ったより大きく出てしまった。
それに対して、獪岳くんはウワッとでもいうように、眉根を寄せる。
彼の眉毛は正直だなぁと、見当違いのことが脳裏をよぎった。
「なにかな!」
「テメェ、なんで風柱のところにいるんだ。雇われてんのか?」
「あぁ、そのことかぁ。単純に、実弥さんがわたしを助けてくれて、そのまま引き取って…?雇って…? うーんと、家に置いてくれるようになったんだよ」
「釈然としねぇ」
獪岳くんは、もっと説明の仕方あったろう、とでもいい上げに口を尖らせる。
と言っても、話すと長くなるし、その割には簡単な理由なんだよね。
お館さまの鶴の一声、そして実弥さんの優しさというか。
うーん、とわたしが言葉を考えていれば、分かれ道に差し掛かった。
獪岳くんは、無言で左側の道へと進んでいく。
私はというと右方向に帰らなくてはいけないので、慌ててその背中に呼びかける。
「またね、獪岳くん!
次はゆっくり会えたら、今度はお団子食べようね!」
獪岳くんからは返事がなかった。
私は、右方面へと足を踏み出した。
風柱邸へと帰ると、玄関のところに見慣れた隊服姿の人が立っていた。もちろん、家主の実弥さんである。
彼は私に気づいたようで、こちらへと歩いてきた。
私もぱたぱたと駆け寄る。
「実弥さん!ただいまです~!」
「遅いぞ鈍間ァ」
「うふふ、でも私、お友だちできました」
「ハァ?なにしに行ったんだよテメェはァ。
……まぁいい、俺はこれから任務に行く。だから、#なまえ#はそのまま家帰って待ってろォ」
「む、それはいってらっしゃいませ」
一瞬だけ会えたのは、任務前に実弥さんが待っていてくれたからだ。
手短に藤の家紋の家の方々の様子をお伝えしてそして今度は私が実弥さんを見送った。
風柱らしく、実弥さんはすぐに背中が見えなくなった。
本当に忙しい方だなぁと、思いながら、私は屋敷の扉をあけるのだった。
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