いっぱいの花をあなたに!
名前変更
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「じゃあ行ってきますね、実弥さん!」
「……やっぱやめとくかァ?」
「だーかーらー、ちっちゃい子どもじゃないんで、お使いくらいできますって!」
「けどなァ」
もう何度目の押し問答か。
出かける直前になって渋り続ける実弥さんに、私は手にした包みを持って抗議する。
何故こんな状況になっているのかというと。
お話は2時間ほど前に遡る。
「あれ、今日来られないんですか?」
「風邪引いたそうだ。チッ、まいったぜェ」
「??」
いつもお手伝いに来てくれているお世話係の人が、どうやら体調不良でお休みらしい。
今は気温が変わりやすいし、きっとそれで風邪をひいたんだろう。いつも私にも良くしてもらっているし、あとでお見舞いに行こうかな。
なんてことを考えていれば、何か困っている風な実弥さんは、「烏飛ばしてずらしてもらうかァ……?でもなァ……」と踏ん切りがつかない様子。いつも即断即決なのに、珍しいなと思って、何が起きているのか聞いてみることにした。
「困ったさんです?」
「…………」
「えっなんでそんな目で見るんですか!」
じっとりとした目でこちらを見た実弥さんは、ひとつ、盛大にため息をついた。
「……今日、藤の家紋の家に届けるモンがあったんだわ。それをあの人に頼んでいたんだが……こうなってしまうと、俺が任務の間に駆けるしかねェわなァ」
「えっ、なんでですか。目の前に代わりの人いるじゃないですか」
「ハァ?隠だって今いねぇだろォ」
「えっ嘘私のこと見えてない……??」
ハッとして恐る恐る自分の手を見つめる。
確かに自分は存在しているよね?挨拶されたならともかく、隠の方がいるかどうかなんて、私にはわからないことこの人知ってるよね??
「冗談だァ。しっかしお前……場所わかんのかァ?」
「わかんないけど、地図があれば辿り着けますよ!」
「方向音痴が何言ってんだァ」
「……??
あっ、私最近気付いたんですよ!思った方向がいつだって真反対なら、逆に違うんじゃないかと思った方向に行けばいいのだと!」
「そういうところが阿呆だっつってんだろォ!!!」
「きゃんっ!」
くわっと目を見開いて怒鳴る実弥さんに、つい頭を守るように防御態勢をとってしまう。
驚くもの、許して欲しい。
「あーー、悪ィ。
つってもなァ、#なまえ#テメェ普段から同じ店にしか行かねェだろィ。地図でわかるのかァ?」
「実弥さんのメモってわかりやすいし、大丈夫だと思うんですけど……。もしかして距離遠かったりします??」
「いや、俺の担当区域の中でも近いところだァ」
「ならきっと大丈夫!
今はまだ昼前ですし、日が暮れてしまいそうになったら、そのまま藤の家紋の家に泊まらせていただきます!
あっ、でもお家出るとき、方角だけ確認していいです??」
ぐっと眉をしかめた実弥さんは、「本当だなァ?」ともう一度私に念を押した。
それを安心させるように、彼の手を握って、「もちろん!」と頷き返しておく。
人の体温には安心感を与える効果があるのだ。
「……ちょっと待ってろォ」
「はーい」
自室へと進む実弥さんの後をついて、部屋の入り口のあたりで大人しく座しておく。
実弥さんは筆をもって、迷いなく動かしていく。
さりさりと紙をなぞる音は、優しい音。
目を瞑って、それを聞くことにしたのです。
「……やっぱやめとくかァ?」
「だーかーらー、ちっちゃい子どもじゃないんで、お使いくらいできますって!」
「けどなァ」
もう何度目の押し問答か。
出かける直前になって渋り続ける実弥さんに、私は手にした包みを持って抗議する。
何故こんな状況になっているのかというと。
お話は2時間ほど前に遡る。
「あれ、今日来られないんですか?」
「風邪引いたそうだ。チッ、まいったぜェ」
「??」
いつもお手伝いに来てくれているお世話係の人が、どうやら体調不良でお休みらしい。
今は気温が変わりやすいし、きっとそれで風邪をひいたんだろう。いつも私にも良くしてもらっているし、あとでお見舞いに行こうかな。
なんてことを考えていれば、何か困っている風な実弥さんは、「烏飛ばしてずらしてもらうかァ……?でもなァ……」と踏ん切りがつかない様子。いつも即断即決なのに、珍しいなと思って、何が起きているのか聞いてみることにした。
「困ったさんです?」
「…………」
「えっなんでそんな目で見るんですか!」
じっとりとした目でこちらを見た実弥さんは、ひとつ、盛大にため息をついた。
「……今日、藤の家紋の家に届けるモンがあったんだわ。それをあの人に頼んでいたんだが……こうなってしまうと、俺が任務の間に駆けるしかねェわなァ」
「えっ、なんでですか。目の前に代わりの人いるじゃないですか」
「ハァ?隠だって今いねぇだろォ」
「えっ嘘私のこと見えてない……??」
ハッとして恐る恐る自分の手を見つめる。
確かに自分は存在しているよね?挨拶されたならともかく、隠の方がいるかどうかなんて、私にはわからないことこの人知ってるよね??
「冗談だァ。しっかしお前……場所わかんのかァ?」
「わかんないけど、地図があれば辿り着けますよ!」
「方向音痴が何言ってんだァ」
「……??
あっ、私最近気付いたんですよ!思った方向がいつだって真反対なら、逆に違うんじゃないかと思った方向に行けばいいのだと!」
「そういうところが阿呆だっつってんだろォ!!!」
「きゃんっ!」
くわっと目を見開いて怒鳴る実弥さんに、つい頭を守るように防御態勢をとってしまう。
驚くもの、許して欲しい。
「あーー、悪ィ。
つってもなァ、#なまえ#テメェ普段から同じ店にしか行かねェだろィ。地図でわかるのかァ?」
「実弥さんのメモってわかりやすいし、大丈夫だと思うんですけど……。もしかして距離遠かったりします??」
「いや、俺の担当区域の中でも近いところだァ」
「ならきっと大丈夫!
今はまだ昼前ですし、日が暮れてしまいそうになったら、そのまま藤の家紋の家に泊まらせていただきます!
あっ、でもお家出るとき、方角だけ確認していいです??」
ぐっと眉をしかめた実弥さんは、「本当だなァ?」ともう一度私に念を押した。
それを安心させるように、彼の手を握って、「もちろん!」と頷き返しておく。
人の体温には安心感を与える効果があるのだ。
「……ちょっと待ってろォ」
「はーい」
自室へと進む実弥さんの後をついて、部屋の入り口のあたりで大人しく座しておく。
実弥さんは筆をもって、迷いなく動かしていく。
さりさりと紙をなぞる音は、優しい音。
目を瞑って、それを聞くことにしたのです。