闘志を燃やせ?オニーサンスイッチ!
「不定期?開催!!ドキッとオニーサンスイッチ〜!!!」
北村の掛け声とともに、どこから入手してきたのかもわからないパーティーグッズで盛り上げた。
「おーおー仕切ってんなァ」
「楽しめよ〜」
もはや進行他人任せの浅桐と、腕組みをしている斎樹は堂々と椅子に座っている。完璧にやる気はないよう…に見えるが、不正をした奴を見逃さないという役割を与えられていた。正確には、ただ楽したいからその役割をつくった。である。詳しいルールは、浅桐が持っていた紙の続きに書かれていた。それを読んだ3年(武居は含むが矢後は含まない)は結構深刻そうな顔をして、もうやるしかねぇと思っているようだ。ちなみに、伊勢崎は楽しそうで身震いしそうと言いながら身震いをして、矢後はたまたま久森が持っていたクッションに頭を置いて、その光景を見ていた。
「矢後さん。とても重いので、せめて敷物に置かせて下さい」
と矢後の背後から言うと、
「別にいーだろ……zZ」
捨て台詞っぽいことを言った後、快適そうな睡眠をし始めた。クッションは久森のふくらはぎから足のところに置いてあり、その上から矢後headが押し付けられている為痺れてくるのだ。久森は、あっもう駄目だ諦めよう。と矢後の睡眠を見守ることにした。
久森と矢後の密かな闘いがあった中、3年突っ込み担当の戸上、志藤はゲーム内容を確認し合っている。
「各学校対抗で、風雲児と愛教はセットということか…なかなかのメンバーが揃ったな」
「……宗一郎、これは
そう言うと2人は互いの拳を合わせた。突っ込み担当になりたかった訳ではないが、真っ当するしか方法がないと考えたようだ。2人は進行を進めることにした。
「ルールについては
と言いながらくじ引きのあるテーブルへと向かった。まずは「誰が」から引いた。戸上は、紙を広げ読み上げた。
「三津木、佐海、透野…だそうだ」
それを聞いた佐海は、えっ…やだ……と顔に書かれていた。一方の三津木と透野は、一緒だ〜!とひよこでも撒き散らそうかと思うくらいの可愛らしさがあった。次に「五十音」を引き、読み上げると〝す〟としか書かれていなかった。五十音だから1文字で終わるのかと戸上は、1人納得している。戸上は読み上げた3人を呼び、何やらヒソヒソと話し合っている。それを聞いていた浅桐は、
「紙には書かれていないが、部分点1つ正解で1点だそうだ。文は自分達で考えろってよ」
「「……えっ…」」
戸上、佐海は驚きのあまり目を丸くしている。今言うのか?という顔で浅桐を見た。
「これも紙に書かれてないことだ」
さらっと追加情報を言う浅桐を見た2人は、
「浅桐。知能の高い低い関係なく、俺は文を作るのに適していないぞ?」
「浅桐さん、俺の語彙力知ってますよね?作ってくれませんか??」
とルール上ギリギリなラインを攻めてきた。それに対し浅桐は、そうだな作ってやろうかという雰囲気をつくり、
「断る!!!」
と言い放った。
2人はあ"ーっっっ!!!と漫画で見るシーンのように崩れ落ちた。
浅桐の追加情報にやられ、追い討ちをかけるように語彙力の壁が立ちはだかった4人だが、無事に文を作り上げた。部分点は
「宗一郎、これ持ってこの文読め」
浅桐の手には、元ティッシュ箱の機械風ボタンがあった。それを受け取った戸上は不意を突かれたかのように、また驚いた。何故ならティッシュ箱に備え付けられたボタンには、〝あ段、い段、う段、え段、お段〟という国語で習ったであろう文字が書かれていたからだ。さらに言うと、その文字を書いたのは浅桐である。
「なぜ国語用語が…」
「上級者向けにしたらしい。あ、ちゃんと五十音表あるから安心しろよ?」
テーブルの上に置かれた五十音表は、いかにも子ども向けのような可愛らしいものだった。戸上はその表を見て、普通に出してきた浅桐を見て、箱を見た。そして思わずこう言った。
「突っ込みが追いつかない!!!!」
「戸上さん生きて俺もいるから!!!」
佐海は戸上の思いを分かり必死のフォローをした。
三津木、佐海、透野にジェスチャーを伝えて、あとは戸上が、このボタンを押すだけなのだが、先程浅桐から提示された文章を読むのに少し抵抗があるよう。これを言わない限り事が進まないので、心を無にして言った。
「オニーサンスイッチ、『す』!!」
とう段ボタンを押した。が何も起こらなかった。それを聞いた他のメンバーは、ある意味公開処刑だ…と思ったようだ。彼らが考えた文は、「スイーツを食べる高校生」だそう。部分点はスイーツで、それを答えたら1点貰える仕組みである。三津木、佐海、透野は、本当にスイーツがあるように思えてくる演技をした。すると伊勢崎が何かひらめいたようで、元気よく手を挙げた。
「敬、解答してくれ」
伊勢崎はこれしかないと思い、ドヤ顔で解答した。
「どん◯衛食ってる1年!!!!」
「けーーーい!!!!!」
志藤はあまりにも衝撃的過ぎて、突っ込むよりも先に名前を叫んだ。伊勢崎はえっ何?と後ろを振り返った。
「なぜそうなった!?」
「だってあの手の仕草は、どう考えてもカップ麺だろ!!もしかしてペ◯ングの方だった!??」
浅桐と斎樹は、その元気だけは良かったと頷きながら×印ボタンを押した。
「えー当たってると思ったのになぁぁあいひゃい!!!」
武居は伊勢崎の頬をつねりながら言った。
「いやぜってーないからその解答!!」
その解答の一部始終を見ていた佐海は、なんで3年やってんの???と冷たい目で伊勢崎を見たのだった。
今度は久森が手を挙げた。矢後はこんなにうるさくしているにもかかわらず、まだ目を覚まさない。
「久森」
「えっと…甘いものを食べる男子?」
斎樹は惜しいなと言って×印ボタンを押した。
「うーん……?…そういえば、2度解答するのはアリですか?」
戸上は不正見逃さないマン達を見た。2人は声を出さずに○印ボタンを押した。2度解答は良いようだ。
「えっじゃあもう1回…」
「……ふぁあ…」
「!!」
久森が2度目の解答をする前に、矢後は快適睡眠から目を覚ました。そしてを見るなり、あぁと言った。どうやらこの状況を理解したらしい。
「何これ、答えて良いやつ?」
「答えて良いぞ」
「スイーツ食べてる奴ら」
浅桐と斎樹は正解文を見て、部分点のスイーツが入っているのを確認した。そして○印ボタンを少し強めに押した。2人は意外な奴が答えたな〜と話している。
「勇成に負けた…だと……!?」
「矢後さんパワー恐るべし…?」
矢後がまさかの正解を叩き出し、皆んなは驚いている。また、何故この状況を瞬時に理解できるんだとも思っているよう。これで風雲児・愛教チームに1点が入った。しかし、これは例題でありまだ1問目ではないのだが、今回は特別に例題にも1点付けるとのことになっている。例題も終わり、やっと1問目に入れると思った一同。これはまだ序盤にも過ぎなかった。