闘志を燃やせ?オニーサンスイッチ!
朝ご飯も食べ後片付けも終えた時に、浅桐は大きくも小さくもないダンボール箱を抱えて、一歩一歩丁寧に階段を降りていた。その光景をまじまじと見ている武居は多分、滑って落ちろと思っているのだろう。
「……っと」
浅桐は抱えていたダンボール箱を、皆んなの集まるテーブルの上へと置いた。その場にいた三津木、佐海、透野、北村は箱の中身を覗いてみた。中身を見た佐海は、未確認生物でも見たかのような顔をして箱を指差した。
「え、これ、なんですか…?」
「見ての通りだ」
「…え?」
「ん?」
佐海はもう一度ダンボール箱の中身を見て、浅桐を見た。そして、
「……アンテナっぽいのと押しボタン付けた機械風空き箱って何ですか!?」
と若干キレ気味で言った。三津木、透野はなんかすごそうだね〜そうだね〜とゆるっとした空気が流れていた。一方北村は、もう出しても良いですかアピールを続けていた。アピールに気付いた浅桐は、出さないことには始まらなさそうだなと悟り、北村に声をかけた。
「…北村、出して良いぞ」
「え!やったぁ!じゃあ遠慮なく出しますね!!」
北村はダンボール箱の中身をドサドサと容赦なく出した。テーブルに出された中身は佐海の言った通り、空き箱だがアンテナとボタン付きという機械風になっている。あとは、くじ引きが2個あるくらいだった。皆んなは言葉を失ったかのように、その物体を見ていた。
「この物体はなんだ…?」
この沈黙の中、志藤はただただ疑問をぶつけた。浅桐はポケットに入れていた四つ折りの紙を見せ、
「これで分かるだろうよ」
と紙を開けそこに書かれた文章を音読し始めた。
〝やぁ!皆んなご存知の指揮官だよ!テーブルに置いた紙、見てくれたんだね。堂々と真ん中に置いて正解だったよ〜。ということは、機械風元ティッシュ箱も見たのかな?実はあれで遊ぶんだよ〜!自分が見てた某テレビ番組でやってたのを思い出してね、やってみたいな〜って思ったのがきっかけなんだ。名付けてオニーサンスイッチ!!ルールは、くじ引きから、「誰が」と「五十音」が書かれたのを1枚ずつ引き、五十音に沿ったのをジェスチャーし当てる…簡単に言うとジェスチャーゲーム(ちょっと面倒バージョン)だね!頑張って親睦深めてね!!!指揮官〟
浅桐が読み終わると、全体の3分の2が内容が入ってなさそうに見えた。何故なら、あのアンテナとボタン付き機械風空き箱が、まさかティッシュ箱なのだということに衝撃しているからだ。ちなみに残りの3分の1メンバーは聞く耳を持たない子達である。あまりにも衝撃だったのか、伊勢崎は口に手を当て震えていた。
「おっ…恐ろしいk…」
伊勢崎が何か言いかけた時、またまた志藤は「敬、stayだstay」
と犬をなだめるかのように止めた。多分突っ込みなのだろう。そんな会話をしても、周りはまだ衝撃が抜けていないようだ。すると決心でもついたのか頼城は
「折角だ、一度やってみないか?」
とこの場には、とても嬉しい気の利く言葉を全体に言った。そこで我に返ったのか、皆んなはうんうんと頷いた。