第1話 調査兵団
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「見本、見ててね」
パシュ
立体起動へ移ったアデリナは木々の間を飛び回り、巨人模型のうなじを削ぎ落とす。
大型の模型にアンカーを刺すと、足を削ぎそしてうなじを落とす。
3体ほど見本を見せたところで、木に足をかけてぶら下がる形でリヴァイ達を見下ろす。
「まぁ、こんな感じかな。実際は巨人はじっとしてないし動きを避けながらになるのだけど」
「……やはり憲兵団共とは動きは違うらしい」
リヴァイが静かに言葉を発した。
ヒュン――
「何だ?あの構え…」
アデリナは右手の刃を回転させ上下逆さまに構える。
「あれじゃあ、操作が出来ねぇぞ…」
アデリナは口角を上げると、ヒュッと立体起動に移り急旋回すると体を捻り全身の回転共に刃を振り落とす。
「…なんだ、あの動き…速い」
「それに、さっきのと全然斬り込みの深さが違ぇ!」
「…ほう、やるじゃねぇか」
リヴァイの前に着地したアデリナはやりたくなってきた?と笑った。
「今のは基本的な操作からは逸脱してるのだけど、こういうやり方もある、ってことで。他の人に見られたら嫌われちゃうから今はやらないでね」
「お前は良いのか」
「上司に向かってお前はひどい。…まぁ、班長だし。誰も文句言えない。それにこれ、出来るの私しかいないの」
操作装置を仕舞いながらアデリナは微笑んだ。
リヴァイはアデリナの真似をし右の刃を逆手持ちする。
「こらこら、今言ったとこでしょ。何事も基本を熟知してから。文句言われなくなったら自己流でも何でも編み出せば良いわ」
「……チッ」
舌打ちしたリヴァイだったが、アデリナは別段気にするでもなく笑顔を浮かべたまま行きましょう、と言った。
「訓練兵と合流してあなた達も巨人を倒す練習をしましょう」
「貴様!なんだその持ち方は!…壁外で真っ先に死にたいのか!」
訓練兵達と合流し、リヴァイ達にもやってみろとアデリナが言った。
近くにいた調査兵達もその様子を覗きに来る。
もちろんその中にはフラゴンも含まれていた。
だが、リヴァイはアデリナの言葉を聞かず例の逆手持ちをし、結果フラゴンに怒鳴られる事となった。
「お前ならそうなるかもな。要は巨人のうなじが削げりゃ良いんだろう」
「お前だなアデリナ!!妙な持ち方を教えたのは!!」
「あら…私は駄目よ、って教えたのよ」
だが、言うことを聞く気は全くないらしいリヴァイはそのまま巨人模型に斬りかかる。
アデリナがやってみせた回転切りとほとんど同じ動きをしていた。
「なっ!!」
「やるわね、リヴァイ。何人も私の真似をした人を見てきたけど、あなたほど上手にやってのけた人は初めてだわ」
凄いわ、と拍手を贈るアデリナ。
「リヴァイのやつ…変なとこ負けず嫌いだからな」
「兄貴すっげぇ!!」
歓喜するイザベル、ファーラン、それらを呆然と見守る兵士達。
「彼は訓練兵団に行っていたの?」
「いえ、そんなはずは…」
「ハンジとモブリット。あなたたちも見に来ていたの?エルヴィンったら凄いの見つけてきたわよね」
「いやあ!ほんとだよ!興奮するなぁ!アデリナが教育係何だろ!?さらに面白くなりそうじゃないか!!」
一度正規の持ち方に変えたリヴァイは絶妙にアンカーの射出方向を調整し、森を飛ぶ。
リヴァイの軌道の途中に兵士が標的を仕込む。
「ゴロツキが…にわか仕込みで巨人が倒せるか!!」
だが、それもあっさりとくぐり抜け、木を利用し体の向きを変えると、右の刃を逆手に持ち変える。
そしてさらに加速し逆手持ちのままうなじを落とす。
「なんて速さだ…」
「これがエルヴィンの言う変革か…」
この腕を見てしまっては流石のフラゴンも認めざるを得ない。
「はい、3人は戻ってきてー。次行くわよー」
「ええ!?もうかよ!?ちょっとは休ませてくれよ!もう日暮れだぜ!?」
手招きをするアデリナにイザベルが文句を言いながら歩いてくる。
「駄目よ。あまり時間がないんだから。それと、呼ばれたら走ってくること。私達は一人一人が自由に動いて良いわけではないのよ。仲間と協力して行動しなくてはならないの。だから規律と言うものが存在するんだからね。それが出来ない者は、自分も仲間も殺すことになるわ」
分かったら文句言わずに着いてきなさい。とアデリナは歩きだした。