第3話 喧嘩の原因
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「オイ、アデリナ。エルヴィンが連れてきた3人の様子はどうだ」
「フラゴン分隊長…。3人とも筋は悪くないです。少しずつですが確実に知識も実技も物にしていっています。特にリヴァイは持ち前の身体能力の高さが発揮されているように思います。ただ、やはり協調性もあまりありませんし、団体行動に馴染めないようで。その点で言うと陣形への影響は多祥なりと気になりますが、腕の良さである程度はカバーはできるかと」
リヴァイ達の事はアデリナに押し付けてばかりのフラゴンが久方ぶりに声をかけたのは恐らく団長への報告の義務があったからだ。
普段から見ていれば分かる程度の事をいちいち伝達しなければならないのかとアデリナは心の中で悪態をついた。
「フン、そうか。とにかく規律を叩き込め!勝手な行動は慎むよう念を押しておけ」
「はい」
やや取っつきにくい所はあるがフラゴンも本当は仲間を大切にする立派な兵士だ。
だが、正規のルートを通ってきていない、しかも犯罪者である彼らへの反発が表立っていた。
面倒だな、と思いながらもアデリナはきっちりと拳を左胸に添えた。
向きを変えて去って行くフラゴンを静かに見送ってから、小さくため息をつく。
「そんなところに隠れていないで出て来なさい」
アデリナが前を見据えたまま、腰に手を当て言った。
「いやーバレてたんすね」
アデリナの背後からアハハ…と頭をかきながら出てきたファーラン。
「本気で隠れる気なんてなかった癖に。私が気がつかないと思ったのかしら?」
「…それもバレてたのか」
あからさまにしまった、という表情をしたファーランに思わずアデリナの頬が緩む。
ファーランを目を瞬かせると怒られるかと思った、と口にした。
「別に怒ったりはしないわ。これが重要会議とか機密事のお話ししている最中だったら怒ってたかも」
「あー……そうっすね…」
「どうして隠れたりしたの?私の後をつけてたのか、フラゴン分隊長から隠れたかったのか、何か盗み聞きをしようとしてたのか…」
アデリナはわざとらしく頬に指を当て考えるような仕草をした。
バツが悪そうにファーランが目をそらすと、アデリナはスッと近づき今度はファーランの頬に手を当てて自分の方向を見させた。
すぐそこにアデリナの顔がありピクリと肩が跳ねた。
「っ、」
見れば見るほど端正な顔立ちをしているな、とファーランは思った。
だが、身長の都合でファーランが見下ろしている筈なのに、何故かアデリナに上から見下ろされ、この人には逆らっては行けないと思わせる何かを感じる。
色々な意味でゾクリとさせれる。
「あ、あの…っ」
「どうしたの?」
「その、少し近いなぁ、と…」
「誤魔化そうとしたからでしょう」
アデリナは目を細めると、そっと手を離した。
「そのー、別に後を着けてたとかじゃなくてたまたま通りかかったら班長達が俺たちの話をしてたんで気になっちゃって。班長が俺たちの事、どう、思ってるのかなー…なんて」
「ふーん。あなたもそんなこと気にするのね」
納得したように頷くとファーランは少しだけですよ!と笑うがこれは嘘であるとアデリナは感じていた。
恐らく自分達の悪行がバレていないかどうか探りをいれていたのだろう。
「ちょっと、対人格闘術の稽古に付き合ってくれない?」
「え?」
ニコッと笑うアデリナにファーランは訳が分からず目を見開く。
「最近むしゃくしゃしてて。だけど誰も私の相手してくれないからつまらないの」
「えー、っと……それって、俺は一方的にやられるやつですか…?」
「あはは!まさか。それじゃあただの虐めみたいじゃない」
理不尽極まりないですよねーとは言えず、笑って誤魔化そうとするファーランにアデリナも笑う。
「本気で掛かってきてくれていいのよ。どうなっても怒ったりしないし殺す気で来てくれていいわ。むしゃくしゃしてる時は体を動かすのがいいのよ」
「あー、はい……。いいっすけど、俺、ちゃんとした対人格闘習ってないし、我流っすよ…?」
「構わないわ。型にはめられたやり方よりずっと実践的で素敵」
リヴァイには敵わないながらも地下街ではそれなりに手荒いこともやってきた。
訓練でしかやったことのない兵士が掛かってきたところで勝つ自信しかない。
それも、自分よりも小柄な女だ。
「確か、木製のナイフを持ってするんでしたっけ?」
「そうね。先に武器を取り上げた方が勝ちって言うのでどう?」
「分かりました」
アデリナとファーランは訓練場へと向かった。