第1話 出会いと始まり
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「で、何があったんだ?」
風とリボーンは二階に上がり先ほどの話の続きをしようとしていた。
場所はツナの部屋だが、リボーンがツナを追い出して占領したのだ。
ツナは「オレの部屋だぞ!」と言いながらもリボーンのギラリと光る目にそそくさと部屋を後にした。
「別に何があったというわけでは…」
「じゃあ、何を考えていたんだ」
珍しく歯切れの悪い風にリボーンが首をかしげた。
リボーンは読心術を心得ていたが風には通用しない。
そのため風が自ら語りだすまでその真意はつかめない。
「ある、少女のことを思い出していました」
「イーピンのことではなさそうだな」
愛弟子であるイーピンのことを思っているのは常のこと。
しかしそういうものとは違っていた。
「…ええ。今日出会った方です。困っていた私を助けてくれたのです。…木登りは得意なのだと…」
「その女が忘れられないんだな?」
「はい。こんなことは初めてですよ。しかし、私としたことが彼女に名前を聞くことすら忘れてしまったのです…」
風はリボーンと沢田家に訪れるまでの出来事を思い出し、その少女の笑顔を探り出していた。
「恋だな」
「こ、い…ですか?」
聞きなれない言葉に風は困惑の色を見せる。
たった一度会っただけの少女に恋をした?
恋愛と言うものからかけ離れた生活をしてきた風にとって恋という言葉の意味を十分に理解できていなかった。
「私が…恋をした、と?」
「オレにはそう見えるぞ」
イーピンはもちろんこれまでに出会ってきた友人たちに愛や信頼など様々な感情は持っている。
しかし一人の異性に対し特別な感情を抱いたことはない。
好きだとか愛しているだとか、愛おしいだとか…あまり良くわからない。
「その…恋とは……どういうものなのですか?」
「難しい質問だな。相手のことを考えると苦しくなったり心温まったりする、とも言われるな。その相手がいい意味で頭から離れないってのもな」
つまり感覚的なものだな、とリボーンは言う。
イタリア育ちの気質なのか恋愛体質のリボーンからすればその感覚は身に染み付いてしまっているため言葉にして伝えるのはなかなか骨が折れる。
こればかりは自分で体験するしかない。
「そう、なのですか?自分の気持ちが良くわかりません」
「まあ、徐々にわかればいいんじゃねぇか?」
「はあ……。でも、もう一度会いたいです…」
風はあの時撫でられた頭にそっと触れた。
「その女に心当たりはねぇのか?」
「心当たりですか?」
風は記憶の道を辿っていく。
「並盛学園の制服を着ていましたね。黒髪の綺麗な方です」
「並盛学園って言ったら有名なお嬢様学校だぞ」
日本でも有数のお嬢様学校(現在は共学だが)で今でも名門校として有名なお金持ちの才女が集まる高等学校だ。
「この学校は私学だから遠方から通っている可能性も考えられるな」
「ええ…」
絞るのが大変だとリボーンも腕を組む。
「……##NAME1##。そう、##NAME1##と呼ばれていました!一度聞いただけですが…確かにそう」
「並盛学園の##NAME1##って言ったらあいつしかいねぇぞ」
「し、知っているんですか!?」
風が身を乗り出してリボーンを見た。
「ああ。意外とすぐそこにいるかも知れねぇぞ」
「ああ!あなたの顔の広さに感謝しなければ!」
リボーンの言葉に風の目は希望に輝いていた。
第1話 了