第1話 出会いと始まり
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「ただいまー」
「お帰りなさーい」
「チャオッス、ツナ」
「お邪魔してます」
ツナ、もとい沢田綱吉は母親と赤ん坊2人にリビングで迎え入れられため息を吐いた。
「久しぶりだね風」
「久しぶりですね、沢田綱吉」
ツナはリビングにちょこんと座る風に挨拶した。
「修行のほうは順調ですか?」
「順調というか…」
「相変わらずダメダメのダメツナだぞ」
「うるさいよ!」
ツナは自分の家庭教師であるリボーンに講義の声を上げた。
「今日はかわいらしいお客さんが着てくれたからちょっと張り切っちゃた」
お玉を握ったままツナの母親、奈々が3人に明るく笑った。
「たくさん作ったからいっぱい食べてね。あ、つっくんビアンキちゃん呼んできてくれる?」
風の存在に他のことが目に入ってなかったが、テーブルの上には普段以上に並んだ料理にツナは愕然とした。
食卓に今夜沢田家にいる全員がそろい晩餐が始まる。
子どもが2人いないだけでこんなに静かなのかと思った。
ちょっと前まではオレと母さんだけだったのに…と平和な日々を思い出していた。
ツナの家には4人の居候がいるのだ。
「リボーン、あーん」
居候の一人、ビアンキが自分の愛するリボーンにいちいち食事を口へ運んでいる。
「うまいな」
もきゅもきゅと口を動かすリボーンにビアンキ悶絶する。
そんなビアンキはリボーン曰く4番目の愛人らしい。
「そういえば風はイーピンの様子を見に?」
「ええ、そうです。楽しくやってますか?」
「うん。ランボと何やかんだ楽しくしてるよ」
「そうですか、良かった」
イーピンもランボも居候で今日は友人の家に泊まりに行ってる。
ちなみにイーピンは風の弟子だ。
自分がいては甘えてしまうからとイーピンには内緒で不定期に日本に着てはこっそりと様子を伺っていた。
ツナは日本に来たときくらい会ってやればいいのにと心では思っていたが、スパルタなわが家庭教師に蹴り飛ばされるのがオチだと口にはしなかった。
「おい風。ママン特製麻婆豆腐があるぞ。激辛のな」
にやりとリボーンの口角が上がり、風の顔色は悪くなる。
「そうなの!おいしく出来たと思うんだけど、お口に合うかしら?」
「い、いただきます…」
にこやかに進めてくる奈々に固唾を飲む。
風は気合を入れると麻婆豆腐を口に入れた。
「うぅ~…おい、しい…です……」
涙を流しながら麻婆豆腐を食べていた。
「無理しないほうが…」
ツナは心配そうに風を見つめた。
嫌いなわけではない。
むしろ大好物なのだが、赤ん坊の口には辛すぎたようだった。
「大丈夫です…この程度修行と思えば……」
「修行って…」
「泣くほど喜んでくれるなんて!嬉しいわ!」
涙の真意を知らない奈々が大いに喜んだ。
「ところで風。どうしたんだ?」
「何がでしょう?」
「上の空じゃねぇか」
「え!?」
ツナからすればどこが!?と言いたくなるほど風が上の空には全く見えなかった。
おしゃぶりを与えられし赤ん坊はアルコバレーノと呼ばれ、最強な赤ん坊7人のことを指す。
そんな風だからこそ自身に隙を作らず、他人には平然を装うことが出来、一方でリボーンはそんな風の僅かな変化を読み取るかとが出来たのだ。
「後でじっくり聞かせてもらうぞ」
そう言ったリボーンの目は新しいおもちゃを見つけたときのような楽しげな瞳だった。