第1話 杖の導き
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それからハグリッドと一緒に教科書を買い、大鍋や望遠鏡など入学に必要なものを買い揃えていった。
買い忘れがないかと隣で呟いているハグリッドの横を何かが横切った気がしたがハグリッドは何も気がついていない様子だ。
何かが通りすぎたであろう先を見ると、明るいダイアゴン横丁と一変して薄暗くじめっとした通りがあった。
「よし。全部揃ったな。おい、どうした?」
リョウが見つめる先に気がつきハグリッドは顔をしかめた。
「そこはノクターン横丁だ。あんまええところじゃあねぇ。近づくんじゃねぇぞ。わかったな?」
「……あ、うん…」
帰り道に向かって歩き出したハグリッドの背を追った。
あれが……
予言の………
「ただいま戻りましたですぜ、校長先生」
「ただいま」
ハグリッドと買い物をすませ、ハグリッドにつれてこられるがままに大きなガーゴイルを抜け、螺旋階段を上がったところにある校長室へとやってきた。
「お帰り。ハグリッドありがとう。すまなんだ」
ダンブルドアが半月型眼鏡の奥で微笑むと、ハグリッドは満足そうにして部屋を後にした。
「あ、ありがとう、ハグリッド!」
リョウが扉の外に出ていく背に向かって慌ててお礼を言うと、ハグリッドは片手を掲げた。
「賑やかなところじゃったろう?」
「はい、とても。本当に異国の地に来てしまったんだな、とやっと少し実感した気がします…」
「受け入れがたい事実であることは確かじゃ。わしらとて頭を抱えて
いる状況じゃからの。しかし、あまり考えたところでどうしようもないことも確かじゃ。無理に悩まず今の状況を楽しんでみるのも良かろう?」
茶目っ気たっぷりの顔でダンブルドアが言うので、思わずリョウも笑う。
「そうですね。ちょっと気楽に構えてみます」
「もうすぐ夕飯なのじゃが、そこで組分けをしてもらおう。寮が決まればその仲間と共に協力し、助け合い高めあって知恵を身に付けるのじゃ」
「はい」
リョウは深く頷く。
「ところで、先に荷物が届いておる。制服も紛れているようじゃから先に着替えてもらおうかの」
ダンブルドアが向けた視線の先にはリョウの腰辺りまで積み上げられた荷物が校長の机の横に置かれていた。
「……あんなに買ってたんだ…」
荷物の山の中から制服が入っているであろう箱を引っ張りだし、ダンブルドアが指をさす方向へ向かう。
カーテンで遮られたそこで着替えろと言う意味らしい。
カーテンの置くで中身を広げる。
白いブラウスとダークグレーのスカート、真っ黒のローブ。
組分け前のネクタイはローブと同じ真っ黒でホグワーツの紋様だけが刺繍されている。
「この制服に腕を通す日が来るだなんて…」
ハリポタファンには溜まらないのだが、複雑な気持ちになる。
「嬉しいけど…家にも帰りたいし、本のままだとしたら生き残れる自信ないよ……」
"ハリーポッター"と言えば戦いもあるし、結構サバイバルだよね、と心の中で不安が募る。
ただの一般人が到底生き残れるとは思えない。
1人になると考えることもマイナスへ傾いていく。
気楽に考えますなんて言ったが、簡単にはいかないらしい。
着替え終えたリョウはカーテンの外に出る。
「よう、似合っておる」
「ありがとうございます」
ふわりと揺れたローブの裾を気にしながらリョウは頭を下げた。
……お金も出してもらってるし。
「さて、そろそろ行こうかの。もう腹ペコじゃ。腹の虫が鳴いてしまいそうじゃ」
「はい」
ダンブルドアに誘導されるように校長室を後にし、大勢の生徒が集められた大広間へ歩いていくのだった。
第1章 了
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