星降る夜に逢いましょう(前編)
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これで邪魔者はいなくなった。
予定より遅れてしまったが、空とともに裏山への道を歩いている。
ひんやりとした空の手が心地よい。
空がトホホ顔で言った。
「道理で今日は奇妙なことばかり起こると思ってました……鍋一杯につくったはずの料理が半分に減っているし、それに誰かに見られているような視線をずっと感じていて……」
「牧之介のヤツ……忍術学園に潜入してからずっと君を張ってたんだろうな……。二度とこういうことが起こらないよう、対処しておくよ」
あの小松田が騒がなかった以上、牧之介は入門票にサインして……と正攻法で中に入ったに違いない。
しかし、また空が被害に遭っては困る。
花房牧之介だけは今後無条件で出禁にしてくれと、明日事務の吉野に掛け合いに行こう。
他には……
と、デート中にもかかわらず、牧之介への対策に気を取られる自分がいる。
やっぱり、あいつに関わると碌なことがない。
今は目の前のことに全力投球しよう。
「空、ありがとう」
「え?何がですか?」
「今日、君からデートに誘ってもらえて、すごく嬉しかった。頂いた文は家宝にするよ」
そう言うと、騒動後の余韻を引きずっていた空気が潮を引いた。
空は不意を突かれたようで、頬が朱鷺 色に染まっている。
繫いだ手が熱かった。
「文……もう恥ずかしいです。あんなの、捨ててしまっていいですからっ……」
「捨てるなんてとんでもない!君から初めてもらった大切な文なんだ。毎日目を通して、肌身離さず持ち歩くよ」
「もう……勝手にしてくださいっ」
つっけんどんに言う割に、指はしっかり絡めたままで。
ちぐはぐなその仕草がたまらなく可愛い。
隣ではにかむ彼女に和んでいるうちに、目的の場所に着いていた。
「わぁ、すごいですね……!」
裏山で見る夜空は忍術学園で見たそれとは別物だった。
あたり一面草原が広がる大地に、煌めく満天の星々が降り注いでいる。
ほのかに草いきれが鼻に通う中、言葉を忘れるような絶景に胸を打たれていると、不意にあることを思いだした。
(そういえば、空に贈り物を送ったときも、こんな夜空だったっけ……)
あの日は緊張したな、と感慨に耽っていれば、示し合わせたかのように空と目が合った。
彼女は幸せそうに微笑んでいる。
「流石、学園長先生ですね!こんな素敵な夜空、なかなか見れないですもん。今日、半助さんとここに来れて本当に良かった……」
そう言って、空はすぐに視線を上に戻した。
けれど、半助はもう空から目を離せない。
今日の夜空は、確かに一見の価値はある。
けれど、星に見惚れる無邪気な空が可愛すぎて、星の観賞もそこそこに、昂る気持ちをぶつけたくなった。
デートの行きがけに想像した、息のとまるほどの深い接吻をこれから仕掛けたら、空はどんな顔をするだろうか。
――どんな星よりも君が綺麗だから……。
口付けを施したら、耳元でそう囁いて、更なる行為に繋げたい。
「空」
半助はとびっきりの甘い策略を用意して、何も知らない空を抱き寄せた。
予定より遅れてしまったが、空とともに裏山への道を歩いている。
ひんやりとした空の手が心地よい。
空がトホホ顔で言った。
「道理で今日は奇妙なことばかり起こると思ってました……鍋一杯につくったはずの料理が半分に減っているし、それに誰かに見られているような視線をずっと感じていて……」
「牧之介のヤツ……忍術学園に潜入してからずっと君を張ってたんだろうな……。二度とこういうことが起こらないよう、対処しておくよ」
あの小松田が騒がなかった以上、牧之介は入門票にサインして……と正攻法で中に入ったに違いない。
しかし、また空が被害に遭っては困る。
花房牧之介だけは今後無条件で出禁にしてくれと、明日事務の吉野に掛け合いに行こう。
他には……
と、デート中にもかかわらず、牧之介への対策に気を取られる自分がいる。
やっぱり、あいつに関わると碌なことがない。
今は目の前のことに全力投球しよう。
「空、ありがとう」
「え?何がですか?」
「今日、君からデートに誘ってもらえて、すごく嬉しかった。頂いた文は家宝にするよ」
そう言うと、騒動後の余韻を引きずっていた空気が潮を引いた。
空は不意を突かれたようで、頬が
繫いだ手が熱かった。
「文……もう恥ずかしいです。あんなの、捨ててしまっていいですからっ……」
「捨てるなんてとんでもない!君から初めてもらった大切な文なんだ。毎日目を通して、肌身離さず持ち歩くよ」
「もう……勝手にしてくださいっ」
つっけんどんに言う割に、指はしっかり絡めたままで。
ちぐはぐなその仕草がたまらなく可愛い。
隣ではにかむ彼女に和んでいるうちに、目的の場所に着いていた。
「わぁ、すごいですね……!」
裏山で見る夜空は忍術学園で見たそれとは別物だった。
あたり一面草原が広がる大地に、煌めく満天の星々が降り注いでいる。
ほのかに草いきれが鼻に通う中、言葉を忘れるような絶景に胸を打たれていると、不意にあることを思いだした。
(そういえば、空に贈り物を送ったときも、こんな夜空だったっけ……)
あの日は緊張したな、と感慨に耽っていれば、示し合わせたかのように空と目が合った。
彼女は幸せそうに微笑んでいる。
「流石、学園長先生ですね!こんな素敵な夜空、なかなか見れないですもん。今日、半助さんとここに来れて本当に良かった……」
そう言って、空はすぐに視線を上に戻した。
けれど、半助はもう空から目を離せない。
今日の夜空は、確かに一見の価値はある。
けれど、星に見惚れる無邪気な空が可愛すぎて、星の観賞もそこそこに、昂る気持ちをぶつけたくなった。
デートの行きがけに想像した、息のとまるほどの深い接吻をこれから仕掛けたら、空はどんな顔をするだろうか。
――どんな星よりも君が綺麗だから……。
口付けを施したら、耳元でそう囁いて、更なる行為に繋げたい。
「空」
半助はとびっきりの甘い策略を用意して、何も知らない空を抱き寄せた。
