五年生+αのちょっと愉快な(⁉)座談会
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勘右衛門「はぁ、今日の実習はしんどかったなぁ。六年生の先輩方容赦ないんだもん……て、おや?急に誰かの視線を感じるぞ?」
兵助「当然だよ。だって、またいつぞやの後書きのごとく管理人が座談会形式で小説書いてるもん」
勘右衛門「(汗ジト)道理で……」
八左ヱ門「(呆れて)この前の短編「Never let you go....?」の最終ページで完全に味をしめたと見える」
雷蔵「面倒くさがらずにちゃんと地の文書け、て話だよね」
三郎「ほんとほんと。でもさ、会話形式とはいえ折角出番がもらえたんだし、ここは一つ前向きに考えてみないか」
しんべヱ「そうそう、鉢屋先輩の言う通りですよ~!」
勘右衛門「(ぎょっとして)な、なんでしんべヱがここにいるんだ!?」
しんべヱ「え、だって今日は久々知先輩に美味しい豆腐料理をご馳走してもらうことになっているんです~」
兵助「そうだった、そうだった。でも、ごめん。先にこっちを済ませてからでもいい?」
しんべヱ「は~い!」
八左ヱ門「しんべヱが来たのは予想外だったとはいえ……とにかく話を進めよう。話の内容は……どうしようか?」
雷蔵「今後どんな夢小説を書いて欲しいか、を語るのはどう?」
三郎「それでいいんじゃない?じゃあ、早速だけど……みんなはどんな夢小説を書いてもらいたいの?」
勘右衛門「はいはいはーい!」
三郎「はい、勘右衛門」
勘右衛門「やっぱり王道も王道、甘い話がいいと思いまーす!例えばこんな感じで……」
――――――――――――――――――――――――――――
骨ばった男の指がもどかしそうに晒 を解く。
「だ、だめっ……」
口ではそう言うものの、医務室の布団の上で頬を赤らめる空は勘右衛門を押し戻そうともしない。
そうこうするうちに、四つん這いの勘右衛門の眼前には眩いばかりの白い肢体が現れた。
歓びの溜息が勘右衛門の口から零れる。
「空さんの身体、すっげー綺麗……」
「勘右衛門君、やっぱりこんなことは……卒業まで待つって言ったじゃないっ」
「だーめ。もう俺が無理。うかうかしていたら、あの飢えた土井先生や利吉さんに搔っ攫われるもん……一刻も早く俺のものにしたいんだ」
「勘右衛門君ったら……あっ」
あえかな声がふたりきりの医務室に響く。
勘右衛門が胸の膨らみに手を伸ばしてきたのだ。
大きな掌に包まれた乳房が、餅のようにひしゃげていく。
「あっ……やぁ…ん……」
「やばい。感じてる空さん、可愛すぎて滅茶苦茶興奮してきた。もっと早くこうしておけばよかった……」
「あんっ……もう、勘右衛門君ったら……がっついちゃって可愛い♡」
「可愛いのは俺じゃなくて空さんだよ。ねぇ、空さん。世界で一番愛しているから、俺だけのものになって」
甘い声でそう囁けば、空は蕩けた顔で頷いた。
唇が重なる。
舌と舌が激しく絡み合うごとに、胸を弄くる手つきも猥褻になり――
――――――――――――――――――――――――――――
SE「バキッ、グシャッ、ドカッ」
勘右衛門「(ボロボロ)ぐえぇぇぇ……」
兵助&八左ヱ門「「(がっつり赤面して)この色ガキ!」」
雷蔵「(やっぱり赤面して)甘いは甘いけど、ここは短編なんだから裏はNG!」
三郎「(雷蔵と同じくらい赤面して)これじゃあ、いつもと変わらないじゃないか。全く、嘆かわしい」
しんべヱ「(一人興味津々に)あの~、続きはどうなるんですか~?」
一同「「「「「しんべヱ!」」」」」
兵助「全く……甘い夢小説は大いに賛成なんだけど、もっと健全でいかないと。例えばこんな風に……」
――――――――――――――――――――――――――――
そう、それで俺は作ったんだ!
麻婆豆腐だろ、炒り豆腐だろ!
あと田楽豆腐に豆腐スープ、豆腐そぼろと肉豆腐。きのこの豆腐あんかけ、豆腐グラタンに豆腐チャンプルーも!
それから、湯豆腐や揚げ出し豆腐に高野豆腐。
おっと、忘れちゃいけないのが、豆腐ステーキに豆腐ハンバーグ。
豆腐のお好み焼きに、豆腐たこ焼き、豆腐もんじゃもね!
まだまだあるぞ~!
煮豆腐、白菜と豆腐のうま煮に豆腐とほうれん草の白和え。
冷ややっこ、豆腐サラダ、豆腐ナゲット、豆腐チゲに温奴!
豆腐茶碗蒸し、豆腐つくねも!
さらにさらに、スイーツにだって挑戦したんだ!
杏仁豆腐に豆腐ドーナツ。豆腐ティラミスに豆腐クッキー、豆腐アイス、豆腐パンナコッタ、豆腐プリンに豆腐チョコレート、豆腐くずもちに豆腐わらびもち、豆腐みたらしに豆腐団子!
続いて、厚揚げを使って作ったのは――
――――――――――――――――――――――――――――
一同「「「「いいかげんにしろ!」」」」
兵助「あれれ、何がいけないの?」
勘右衛門「これは単にお前が作った豆腐料理を列挙してるだけじゃないか。ヒロインすら登場していないし、そもそも小説の体 を成していない!」
しんべヱ「(ニコニコ)でも、どの料理もとっても美味しそうでしたよ~!」
八左ヱ門「(呆れて)しんべヱ……ともかく、こんなの全然ダメッ!兵助は失格だな」
雷蔵「じゃあ、今度は僕が!」
三郎「ら、雷蔵が!?」
勘右衛門「なんか、結果が見えているような気がするけど……我らが雷蔵君、一応どうぞ」
雷蔵「勘右衛門、ありがとう。僕の理想はこんな感じかな?ちなみに設定は現パロだよ」
――――――――――――――――――――――――――――
(散々迷ったけど、走る羽目になるなら上着なんていらなかったな)
柔らかくそよぐ春風の中、僕は学校まで急いでいる。
朝方までオンラインゲームに耽っていたのだから、寝坊したのは自業自得なのだけど。
ともあれ。
あと五分で八時を告げるチャイムが鳴る。
それまでに校門へ駆けこまないと、遅刻扱いになってしまう。
(急げ!急げ!)
高い塀の多い迷路のような通学路を抜ければ、僕の高校へと通じる幅広の一本道に出る。
視界が徐々に開けてきて、うんざりするほどのブロック塀たちにようやく別れを告げようとしたときだった。
ドカッ
横から飛び出した黒い影にぶつかり、その拍子に僕は後ろによろけ、尻もちをついてしまう。
「いったぁ……」
目線の下がった世界には、僕と同い年ぐらいの女の子が地べたに倒れている。
傍らにはこんがりときつね色に焼けたトーストが落ちていた。
「ご、ごめん。大丈夫かい?」
僕が慌てて声をかけると、女の子は痛みに呻きながら、きっと睨み返してきた。
「ったく、なんなのよぉ!ちゃんと前見て歩いてよね!」
それを聞いて、僕はムッとする。
齧った跡のあるトーストを見れば、食べながら走っていたのは一目瞭然。
お互い様である。
文句の一つでも言い返してやろうと視線を彼女に戻したときだった。
「あ」
僕はあるものに目が釘付けになる。
白い三角州――それはめくれたスカートの下に隠されていた女の秘めやかな下着だ。
カーっと顔の体温が上昇する。
見てはいけないと慌てて視線を逸らすが、もう遅い。
「何見てんのよ!あんたってサイッテー!!!」
女の子が叫ぶ。
さっきまで痛みに歪んでいた顔を林檎色に染め上げたかと思えば、次の瞬間には勢いよく立ち上がり、一睨みしてから走り去っていった。
「な、なんなんだよ、朝から……サイッテーって。それはこっちの台詞だよ」
僕は不貞腐れながら、制服についた砂埃をひと払いし――
――――――――――――――――――――――――――――
一同「「「「「(絶句)……」」」」」
雷蔵「ど、どうかな?結構自信作なんだけど」
三郎「いや、ツッコミどころ満載だよ。今時、出会い頭にトースト咥えたヒロインと衝突……てありえない!」
勘右衛門「全くだ。ボーイミーツガールは恋愛の基本だとしても、これはちょっと、いや、かなりひどいぞ。はっきし言って、ダサすぎる!」
兵助・八左ヱ門「「うんうん」」
雷蔵「(愕然と)そ、そんなぁ……」
しんべヱ「(慌てて)ボクは読んでて楽しかったですよ~。強いて言えば、ヒロインさんの落としたトースト、ボクが食べてあげたかったです~!」
雷蔵「しんべヱ、フォローになってないっ!」
勘右衛門「うぅぅ……とにかく、管理人にはどんな形であれ、一日でも早く五年生夢を書いてもらわないといけないな」
兵助「(落ち込んで)無理だよ。だって初恋泥棒三人組メインサイトだし……」
八左ヱ門「いや、そんなことはないぞ。五年生と言えば十四歳。アドレセントな年齢にしか出せない魅力があるはずだ!」
勘右衛門「(嬉々として)そういえばそうだよな!土井先生なんか二十五で、俺らからすればオジサンだもん!」
雷蔵「(勘右衛門の背後に立つ人物にぎょっとして)お、おい、勘右衛門……オジサンっていうのはちょっと言い過ぎじゃないか?」
勘右衛門「(無視して)いやいや、どう考えてもオジサンでしょ。オジサンで思い出したけど、この前更新された夢、雑渡さんって……公式ガイドブックによれば三十六歳じゃんか!ぷぷ……オジサンもオジサンだよ。ああ、安心した~俺らにはフレッシュな若さがあるもんね!」
兵助&八左ヱ門&雷蔵&三郎「「「「(さらに現れた人物を見て)あわわわわわ……」」」」
勘右衛門「そうだよな、そうだよな。俺たちって全然若いじゃん!十四だぜ、十四。先は明るいじゃないか。ナハハハハッ」
強い視線を感じて勘右衛門が振り返ると、そこには――
勘右衛門「(顔面蒼白で)げっ……土井先生!それに雑渡さんまで!!」
土井先生「(額に血管を浮き上がらせて)誰がオジサンだって?」
雑渡さん「(目つきを険しくしながら)土井殿はまだいい。私なんか『オジサンもオジサン』と言われてしまったよ」
勘右衛門「え、いやぁ……その……つい言い間違えちゃって。本当は成熟した大人の男って言いたかったんですよ!」
土井先生&雑渡さん「「(ジト目)……」」
勘右衛門「(揉み手をしながら)ホントですよ、ホント。そういえば、お二人とも、映画の影響で人気はうなぎ上りじゃないですか!羨ましいなぁ。私たちにもその人気を分けてくださいよ、な~んて。アハ、アハハハハ……」
土井先生&雑渡さん「「(ドスの利いた声で)尾浜(君)……!」」
勘右衛門「じゃ、じゃあ、俺は急用を思い出したからこの辺で……………………って、逃げよ」
土井先生&雑渡さん「「逃すかぁぁ!!!」」
韋駄天走りに逃げる勘右衛門を追いかける大人二人――
兵助「(遠巻きに見つめて)あ~あ、言わんこっちゃない」
八左ヱ門「自業自得だな」
雷蔵&三郎「「そだね」」
しんべヱ「ねぇねぇ、久々知先輩。ボクもうお腹ぺっこぺこですっ。早く豆腐料理食べさせてくださぁい!」
兵助「そうだね!あ、みんなもどう?」
雷蔵「うん、久しぶりに兵助の豆腐頂こうかな。実習とさっきのお喋りで僕もお腹が空いちゃった」
三郎「雷蔵が行くなら俺も」
八左ヱ門「俺も!」
兵助「よっし。それじゃあ、みんなで食堂に行こう!」
八左ヱ門&雷蔵&三郎&しんべヱ「「「「おー!」」」」
かくして、兵助たち一行は勘右衛門抜きで美味しい豆腐料理を満喫するのだった。
勘右衛門「わぁぁぁ、みんな俺だけ置いていかないでよ~!」
土井先生&雑渡さん「「待てー!徹底的に懲らしめてやる!」」
勘右衛門のその後は……。
プロ忍、しかも最恐クラスの二人からは逃れられなかった、とだけは伝えておこう。
兵助「当然だよ。だって、またいつぞやの後書きのごとく管理人が座談会形式で小説書いてるもん」
勘右衛門「(汗ジト)道理で……」
八左ヱ門「(呆れて)この前の短編「Never let you go....?」の最終ページで完全に味をしめたと見える」
雷蔵「面倒くさがらずにちゃんと地の文書け、て話だよね」
三郎「ほんとほんと。でもさ、会話形式とはいえ折角出番がもらえたんだし、ここは一つ前向きに考えてみないか」
しんべヱ「そうそう、鉢屋先輩の言う通りですよ~!」
勘右衛門「(ぎょっとして)な、なんでしんべヱがここにいるんだ!?」
しんべヱ「え、だって今日は久々知先輩に美味しい豆腐料理をご馳走してもらうことになっているんです~」
兵助「そうだった、そうだった。でも、ごめん。先にこっちを済ませてからでもいい?」
しんべヱ「は~い!」
八左ヱ門「しんべヱが来たのは予想外だったとはいえ……とにかく話を進めよう。話の内容は……どうしようか?」
雷蔵「今後どんな夢小説を書いて欲しいか、を語るのはどう?」
三郎「それでいいんじゃない?じゃあ、早速だけど……みんなはどんな夢小説を書いてもらいたいの?」
勘右衛門「はいはいはーい!」
三郎「はい、勘右衛門」
勘右衛門「やっぱり王道も王道、甘い話がいいと思いまーす!例えばこんな感じで……」
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骨ばった男の指がもどかしそうに
「だ、だめっ……」
口ではそう言うものの、医務室の布団の上で頬を赤らめる空は勘右衛門を押し戻そうともしない。
そうこうするうちに、四つん這いの勘右衛門の眼前には眩いばかりの白い肢体が現れた。
歓びの溜息が勘右衛門の口から零れる。
「空さんの身体、すっげー綺麗……」
「勘右衛門君、やっぱりこんなことは……卒業まで待つって言ったじゃないっ」
「だーめ。もう俺が無理。うかうかしていたら、あの飢えた土井先生や利吉さんに搔っ攫われるもん……一刻も早く俺のものにしたいんだ」
「勘右衛門君ったら……あっ」
あえかな声がふたりきりの医務室に響く。
勘右衛門が胸の膨らみに手を伸ばしてきたのだ。
大きな掌に包まれた乳房が、餅のようにひしゃげていく。
「あっ……やぁ…ん……」
「やばい。感じてる空さん、可愛すぎて滅茶苦茶興奮してきた。もっと早くこうしておけばよかった……」
「あんっ……もう、勘右衛門君ったら……がっついちゃって可愛い♡」
「可愛いのは俺じゃなくて空さんだよ。ねぇ、空さん。世界で一番愛しているから、俺だけのものになって」
甘い声でそう囁けば、空は蕩けた顔で頷いた。
唇が重なる。
舌と舌が激しく絡み合うごとに、胸を弄くる手つきも猥褻になり――
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SE「バキッ、グシャッ、ドカッ」
勘右衛門「(ボロボロ)ぐえぇぇぇ……」
兵助&八左ヱ門「「(がっつり赤面して)この色ガキ!」」
雷蔵「(やっぱり赤面して)甘いは甘いけど、ここは短編なんだから裏はNG!」
三郎「(雷蔵と同じくらい赤面して)これじゃあ、いつもと変わらないじゃないか。全く、嘆かわしい」
しんべヱ「(一人興味津々に)あの~、続きはどうなるんですか~?」
一同「「「「「しんべヱ!」」」」」
兵助「全く……甘い夢小説は大いに賛成なんだけど、もっと健全でいかないと。例えばこんな風に……」
――――――――――――――――――――――――――――
そう、それで俺は作ったんだ!
麻婆豆腐だろ、炒り豆腐だろ!
あと田楽豆腐に豆腐スープ、豆腐そぼろと肉豆腐。きのこの豆腐あんかけ、豆腐グラタンに豆腐チャンプルーも!
それから、湯豆腐や揚げ出し豆腐に高野豆腐。
おっと、忘れちゃいけないのが、豆腐ステーキに豆腐ハンバーグ。
豆腐のお好み焼きに、豆腐たこ焼き、豆腐もんじゃもね!
まだまだあるぞ~!
煮豆腐、白菜と豆腐のうま煮に豆腐とほうれん草の白和え。
冷ややっこ、豆腐サラダ、豆腐ナゲット、豆腐チゲに温奴!
豆腐茶碗蒸し、豆腐つくねも!
さらにさらに、スイーツにだって挑戦したんだ!
杏仁豆腐に豆腐ドーナツ。豆腐ティラミスに豆腐クッキー、豆腐アイス、豆腐パンナコッタ、豆腐プリンに豆腐チョコレート、豆腐くずもちに豆腐わらびもち、豆腐みたらしに豆腐団子!
続いて、厚揚げを使って作ったのは――
――――――――――――――――――――――――――――
一同「「「「いいかげんにしろ!」」」」
兵助「あれれ、何がいけないの?」
勘右衛門「これは単にお前が作った豆腐料理を列挙してるだけじゃないか。ヒロインすら登場していないし、そもそも小説の
しんべヱ「(ニコニコ)でも、どの料理もとっても美味しそうでしたよ~!」
八左ヱ門「(呆れて)しんべヱ……ともかく、こんなの全然ダメッ!兵助は失格だな」
雷蔵「じゃあ、今度は僕が!」
三郎「ら、雷蔵が!?」
勘右衛門「なんか、結果が見えているような気がするけど……我らが雷蔵君、一応どうぞ」
雷蔵「勘右衛門、ありがとう。僕の理想はこんな感じかな?ちなみに設定は現パロだよ」
――――――――――――――――――――――――――――
(散々迷ったけど、走る羽目になるなら上着なんていらなかったな)
柔らかくそよぐ春風の中、僕は学校まで急いでいる。
朝方までオンラインゲームに耽っていたのだから、寝坊したのは自業自得なのだけど。
ともあれ。
あと五分で八時を告げるチャイムが鳴る。
それまでに校門へ駆けこまないと、遅刻扱いになってしまう。
(急げ!急げ!)
高い塀の多い迷路のような通学路を抜ければ、僕の高校へと通じる幅広の一本道に出る。
視界が徐々に開けてきて、うんざりするほどのブロック塀たちにようやく別れを告げようとしたときだった。
ドカッ
横から飛び出した黒い影にぶつかり、その拍子に僕は後ろによろけ、尻もちをついてしまう。
「いったぁ……」
目線の下がった世界には、僕と同い年ぐらいの女の子が地べたに倒れている。
傍らにはこんがりときつね色に焼けたトーストが落ちていた。
「ご、ごめん。大丈夫かい?」
僕が慌てて声をかけると、女の子は痛みに呻きながら、きっと睨み返してきた。
「ったく、なんなのよぉ!ちゃんと前見て歩いてよね!」
それを聞いて、僕はムッとする。
齧った跡のあるトーストを見れば、食べながら走っていたのは一目瞭然。
お互い様である。
文句の一つでも言い返してやろうと視線を彼女に戻したときだった。
「あ」
僕はあるものに目が釘付けになる。
白い三角州――それはめくれたスカートの下に隠されていた女の秘めやかな下着だ。
カーっと顔の体温が上昇する。
見てはいけないと慌てて視線を逸らすが、もう遅い。
「何見てんのよ!あんたってサイッテー!!!」
女の子が叫ぶ。
さっきまで痛みに歪んでいた顔を林檎色に染め上げたかと思えば、次の瞬間には勢いよく立ち上がり、一睨みしてから走り去っていった。
「な、なんなんだよ、朝から……サイッテーって。それはこっちの台詞だよ」
僕は不貞腐れながら、制服についた砂埃をひと払いし――
――――――――――――――――――――――――――――
一同「「「「「(絶句)……」」」」」
雷蔵「ど、どうかな?結構自信作なんだけど」
三郎「いや、ツッコミどころ満載だよ。今時、出会い頭にトースト咥えたヒロインと衝突……てありえない!」
勘右衛門「全くだ。ボーイミーツガールは恋愛の基本だとしても、これはちょっと、いや、かなりひどいぞ。はっきし言って、ダサすぎる!」
兵助・八左ヱ門「「うんうん」」
雷蔵「(愕然と)そ、そんなぁ……」
しんべヱ「(慌てて)ボクは読んでて楽しかったですよ~。強いて言えば、ヒロインさんの落としたトースト、ボクが食べてあげたかったです~!」
雷蔵「しんべヱ、フォローになってないっ!」
勘右衛門「うぅぅ……とにかく、管理人にはどんな形であれ、一日でも早く五年生夢を書いてもらわないといけないな」
兵助「(落ち込んで)無理だよ。だって初恋泥棒三人組メインサイトだし……」
八左ヱ門「いや、そんなことはないぞ。五年生と言えば十四歳。アドレセントな年齢にしか出せない魅力があるはずだ!」
勘右衛門「(嬉々として)そういえばそうだよな!土井先生なんか二十五で、俺らからすればオジサンだもん!」
雷蔵「(勘右衛門の背後に立つ人物にぎょっとして)お、おい、勘右衛門……オジサンっていうのはちょっと言い過ぎじゃないか?」
勘右衛門「(無視して)いやいや、どう考えてもオジサンでしょ。オジサンで思い出したけど、この前更新された夢、雑渡さんって……公式ガイドブックによれば三十六歳じゃんか!ぷぷ……オジサンもオジサンだよ。ああ、安心した~俺らにはフレッシュな若さがあるもんね!」
兵助&八左ヱ門&雷蔵&三郎「「「「(さらに現れた人物を見て)あわわわわわ……」」」」
勘右衛門「そうだよな、そうだよな。俺たちって全然若いじゃん!十四だぜ、十四。先は明るいじゃないか。ナハハハハッ」
強い視線を感じて勘右衛門が振り返ると、そこには――
勘右衛門「(顔面蒼白で)げっ……土井先生!それに雑渡さんまで!!」
土井先生「(額に血管を浮き上がらせて)誰がオジサンだって?」
雑渡さん「(目つきを険しくしながら)土井殿はまだいい。私なんか『オジサンもオジサン』と言われてしまったよ」
勘右衛門「え、いやぁ……その……つい言い間違えちゃって。本当は成熟した大人の男って言いたかったんですよ!」
土井先生&雑渡さん「「(ジト目)……」」
勘右衛門「(揉み手をしながら)ホントですよ、ホント。そういえば、お二人とも、映画の影響で人気はうなぎ上りじゃないですか!羨ましいなぁ。私たちにもその人気を分けてくださいよ、な~んて。アハ、アハハハハ……」
土井先生&雑渡さん「「(ドスの利いた声で)尾浜(君)……!」」
勘右衛門「じゃ、じゃあ、俺は急用を思い出したからこの辺で……………………って、逃げよ」
土井先生&雑渡さん「「逃すかぁぁ!!!」」
韋駄天走りに逃げる勘右衛門を追いかける大人二人――
兵助「(遠巻きに見つめて)あ~あ、言わんこっちゃない」
八左ヱ門「自業自得だな」
雷蔵&三郎「「そだね」」
しんべヱ「ねぇねぇ、久々知先輩。ボクもうお腹ぺっこぺこですっ。早く豆腐料理食べさせてくださぁい!」
兵助「そうだね!あ、みんなもどう?」
雷蔵「うん、久しぶりに兵助の豆腐頂こうかな。実習とさっきのお喋りで僕もお腹が空いちゃった」
三郎「雷蔵が行くなら俺も」
八左ヱ門「俺も!」
兵助「よっし。それじゃあ、みんなで食堂に行こう!」
八左ヱ門&雷蔵&三郎&しんべヱ「「「「おー!」」」」
かくして、兵助たち一行は勘右衛門抜きで美味しい豆腐料理を満喫するのだった。
勘右衛門「わぁぁぁ、みんな俺だけ置いていかないでよ~!」
土井先生&雑渡さん「「待てー!徹底的に懲らしめてやる!」」
勘右衛門のその後は……。
プロ忍、しかも最恐クラスの二人からは逃れられなかった、とだけは伝えておこう。
