杭瀬村へ行こう! その3
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「い、一体なんだったの……?」
すぐ外を見れば、因縁の二人が死闘を繰り広げている。
呆然とする空の元へ、乱太郎・きり丸・しんべえ、それにおばちゃんが集まった。
「空さん、体調大丈夫ですか?」
「うん、なんとか。朝よりは痛みも引いてきてて」
「あの、」
「何、乱太郎くん?」
「さっき大木先生がおっしゃってた『月もの』て何なんですか?」
「あ、おれも気になる」
「!?」
またもや空は絶句する羽目になった。
「乱太郎、きり丸、しんべえ!それは……お前たちがもうちょっと大人になったら、自然とわかるようになるから。今は気にしなくていいんだ、うん」
慌ててフォローした伊作の顔は何故かほんのりと赤らんでいた。
「でも、よかったっすね。空さん、朝より調子良さそう」
「心配かけてごめんね、みんな」
ぼーっとしていたしんべヱが不意に空の前へ躍り出た。
「空さん、これ~」
「わぁ……綺麗な花。しんべヱ君が摘んでくれたの?」
10秒ほどの思案のあと、しんベヱが答えた。
「いえ~。これはお見舞いに、て大木先生が摘んだんです~」
「大木先生が……?」
空が目を白黒させる。
(あれ?何でしんべヱのやつ……)
乱太郎ときり丸が思わずしんべヱを手繰り寄せる。
きり丸が小声で訊いた。
「おい、あの花ってしんべヱが摘んだ花だろ?」
「うん。だけど、大木先生が摘んだってことにしておいた方がいいと思って~。なんとなく~」
空は信じられないと言いたげな顔つきで花を見つめていて、三人組のやりとりに気づいていない。
だが、食堂のおばちゃんには聞こえていたようで、
「そうね。そうしたほうがいいわね」
と意味ありげに呟いた。
***
翌朝。
新野の煎じた薬がしっかりと効いたようで、あれから空の腹痛はおさまった。
今、空は走っている。
食堂に出向けば、ついさっき前に大木が発ったことを食堂のおばちゃんから知る。
今ならまだ間に合うわよと言われ、慌てて入門へ向かっていた。
「大木先生~!!」
空が叫んだ。
大木は小松田の差し出した出門表にサインしている。
「おお、空。もう生理痛は良くなったのか?」
「はい……てか、そんなにハッキリとおっしゃらないでください!」
「がっはっは、すまんすまん!しかし、女子 は大変だな、毎月のことだしのう!」
そう言って、大木が空の頭をわしゃわしゃとかいた。
(もぉう、本当に女心がわかってないんだから!)
呆れる空だったが、ここに来た理由を思い出して話を続ける。
「もう帰られるんですね……昨日の夕方来たばかりなのに」
「生憎、今日は村の大事な行事があるんだ。係を任せられてるから、わしがおらんと皆が困る。できる男はあちこちから引っ張りだこだからのう」
それを聞いて、空の心に温かいものが広がっていく。
翌日予定があるにもかかわらず、わざわざ遠いところから駆け付けてくれたことがたまらなく嬉しかった。
「体調がもどったとはいえ、無理するんじゃないぞ」
「はい。あの……」
「ん?」
空は何かを言い出せないようでもじもじしている。
しばらく待っていると、やがて改まった様子で語り出した。
「き、昨日はその……ありがとうございました。わざわざお見舞いに来て頂いて」
「!?い、いや別に……」
お見舞いという言葉に、大木の心がズキリと痛んだ。
元はと言えば、ここに来た目的は空に嫌われていないか確認するため。
自分の身を心配を心配してきてくれたと信じて疑わない空に罪悪感が生じたのだ。
が、そんなことを知る由もない空は大木そっちのけで続けた。
「あと、花束まで頂いてしまって……」
「え?花束!?」
「もうこんなときにまでしらばっくれないでください!しんべヱ君から聞きましたよ。大木先生が用意したんだ、って」
「……」
「大木先生?」
「ああ、そうだった。そうだった。こう見えて、ワシは女心を十分理解しておるからのう、わっはっは!」
実際は花束なんぞ知らないし、しんべヱがそう言った意図もわからない。
だが、ここは話を合わせておいた方がいいと、大木は空気を読んだ。
「私、大木先生のこと誤解していました。意地悪だし、威圧的でちょっと怖いし……」
「なんだと!?」
空の発言に眉をしかめる大木だったが、次の瞬間驚愕の表情に変わる。
空が微笑んでいたからだ。
驚くほどの親しみを込めて。
「大木先生って、意外とやさしいところがあるんですね」
「……」
「あ、いっけない!そろそろ食堂の仕事を始めないと。長々と引き留めて、すみませんでした。また杭瀬村で!」
空はペコリと一礼し、急いで食堂に戻っていく。
「……」
しばらく黙って空の背を見つめていた大木だったが、やがてボンッと爆発したように顔を赤くした。
「お、大木先生、大丈夫ですか!?」
と心配する小松田の声は右から左へ抜けていく。
蕾が花開いたような空の笑顔に、男心をくすぐられてしょうがなかった。
(か、可愛い……可愛すぎる!!しかも、『また杭瀬村で!』って言ってくれた……!)
次に再会するときはもう少し空に優しくしよう。
そう固く心に誓ってから、大木は緩みきった顔で杭瀬村までの道を歩き出した。
すぐ外を見れば、因縁の二人が死闘を繰り広げている。
呆然とする空の元へ、乱太郎・きり丸・しんべえ、それにおばちゃんが集まった。
「空さん、体調大丈夫ですか?」
「うん、なんとか。朝よりは痛みも引いてきてて」
「あの、」
「何、乱太郎くん?」
「さっき大木先生がおっしゃってた『月もの』て何なんですか?」
「あ、おれも気になる」
「!?」
またもや空は絶句する羽目になった。
「乱太郎、きり丸、しんべえ!それは……お前たちがもうちょっと大人になったら、自然とわかるようになるから。今は気にしなくていいんだ、うん」
慌ててフォローした伊作の顔は何故かほんのりと赤らんでいた。
「でも、よかったっすね。空さん、朝より調子良さそう」
「心配かけてごめんね、みんな」
ぼーっとしていたしんべヱが不意に空の前へ躍り出た。
「空さん、これ~」
「わぁ……綺麗な花。しんべヱ君が摘んでくれたの?」
10秒ほどの思案のあと、しんベヱが答えた。
「いえ~。これはお見舞いに、て大木先生が摘んだんです~」
「大木先生が……?」
空が目を白黒させる。
(あれ?何でしんべヱのやつ……)
乱太郎ときり丸が思わずしんべヱを手繰り寄せる。
きり丸が小声で訊いた。
「おい、あの花ってしんべヱが摘んだ花だろ?」
「うん。だけど、大木先生が摘んだってことにしておいた方がいいと思って~。なんとなく~」
空は信じられないと言いたげな顔つきで花を見つめていて、三人組のやりとりに気づいていない。
だが、食堂のおばちゃんには聞こえていたようで、
「そうね。そうしたほうがいいわね」
と意味ありげに呟いた。
***
翌朝。
新野の煎じた薬がしっかりと効いたようで、あれから空の腹痛はおさまった。
今、空は走っている。
食堂に出向けば、ついさっき前に大木が発ったことを食堂のおばちゃんから知る。
今ならまだ間に合うわよと言われ、慌てて入門へ向かっていた。
「大木先生~!!」
空が叫んだ。
大木は小松田の差し出した出門表にサインしている。
「おお、空。もう生理痛は良くなったのか?」
「はい……てか、そんなにハッキリとおっしゃらないでください!」
「がっはっは、すまんすまん!しかし、
そう言って、大木が空の頭をわしゃわしゃとかいた。
(もぉう、本当に女心がわかってないんだから!)
呆れる空だったが、ここに来た理由を思い出して話を続ける。
「もう帰られるんですね……昨日の夕方来たばかりなのに」
「生憎、今日は村の大事な行事があるんだ。係を任せられてるから、わしがおらんと皆が困る。できる男はあちこちから引っ張りだこだからのう」
それを聞いて、空の心に温かいものが広がっていく。
翌日予定があるにもかかわらず、わざわざ遠いところから駆け付けてくれたことがたまらなく嬉しかった。
「体調がもどったとはいえ、無理するんじゃないぞ」
「はい。あの……」
「ん?」
空は何かを言い出せないようでもじもじしている。
しばらく待っていると、やがて改まった様子で語り出した。
「き、昨日はその……ありがとうございました。わざわざお見舞いに来て頂いて」
「!?い、いや別に……」
お見舞いという言葉に、大木の心がズキリと痛んだ。
元はと言えば、ここに来た目的は空に嫌われていないか確認するため。
自分の身を心配を心配してきてくれたと信じて疑わない空に罪悪感が生じたのだ。
が、そんなことを知る由もない空は大木そっちのけで続けた。
「あと、花束まで頂いてしまって……」
「え?花束!?」
「もうこんなときにまでしらばっくれないでください!しんべヱ君から聞きましたよ。大木先生が用意したんだ、って」
「……」
「大木先生?」
「ああ、そうだった。そうだった。こう見えて、ワシは女心を十分理解しておるからのう、わっはっは!」
実際は花束なんぞ知らないし、しんべヱがそう言った意図もわからない。
だが、ここは話を合わせておいた方がいいと、大木は空気を読んだ。
「私、大木先生のこと誤解していました。意地悪だし、威圧的でちょっと怖いし……」
「なんだと!?」
空の発言に眉をしかめる大木だったが、次の瞬間驚愕の表情に変わる。
空が微笑んでいたからだ。
驚くほどの親しみを込めて。
「大木先生って、意外とやさしいところがあるんですね」
「……」
「あ、いっけない!そろそろ食堂の仕事を始めないと。長々と引き留めて、すみませんでした。また杭瀬村で!」
空はペコリと一礼し、急いで食堂に戻っていく。
「……」
しばらく黙って空の背を見つめていた大木だったが、やがてボンッと爆発したように顔を赤くした。
「お、大木先生、大丈夫ですか!?」
と心配する小松田の声は右から左へ抜けていく。
蕾が花開いたような空の笑顔に、男心をくすぐられてしょうがなかった。
(か、可愛い……可愛すぎる!!しかも、『また杭瀬村で!』って言ってくれた……!)
次に再会するときはもう少し空に優しくしよう。
そう固く心に誓ってから、大木は緩みきった顔で杭瀬村までの道を歩き出した。