杭瀬村へ行こう! その3
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ついに大木たち一行は忍術学園に着いた。
今は医務室までの廊下を歩いている。
「空さん、具合良くなったかな」
なんて、乱太郎たちが心配している声は大木の耳には届いていない。
腑抜けの状態から脱したとはいえ、未だ疑心暗鬼に陥っている。
(頼む……ちゃんと医務室にいてくれ……!)
とうとう医務室に到着した。
ドクドクドクドク……
緊張が高まる。
バクバクと心臓の音が大きくなる中、意を決して戸の取ってを掴む。
「どこんじょぉぉぉ!!!」
そう叫びながら、勢いよく戸を開けた。
室内には、丁度布団から起き上がろうとしていた空と、空を支えている伊作、それから少し奥で薬を用意している忍術学園の校医である新野の姿があった。
「「大木先生!?」」
予期せぬ来客。
三人が驚きの表情を向ける中、大木は空の元まで一直線。
じーっと空を凝視した。
「えぇ!?なに、なに、なに?」
「空……お前、具合が悪いのか?」
「は、はい」
「ほんとに、ほんっとうにだよな?」
「本当ですよ!第一、なんで私が大木先生に嘘つかないといけないんですか!?」
大木はふたたび空を観察する。
頬は青白く、目の下に窪みがあり、やや疲れた印象がある。
(いきなり来たかと思えば、一体なんなの!?)
訳が分からない。
混乱した空を察した伊作が、横から口を挟んだ。
「大木先生、空さんは今朝からひどい腹痛に悩まされて、ずっと横になっていたんですが……」
「そ、そうなのか」
伊作の口ぶりと態度、ひいては周りの様子からも嘘をついているとは思えない。
空の体調不良は本当だった。
つまりそれは、仮病を使うほど、空は大木のことを嫌っていないことを意味する。
そうわかると、皆の手前平静を取り繕っているが、腰が抜けるほど大木は安堵していた。
(やった、やったぞ……!!)
不安と言う名の雲は消失し、キラキラと一条の光が大木を照らす。
すがすがしい心地だった。
心配事がなくなった途端、気が大きくなったのか、いつものごとく意地悪な態度で空をいじり出した。
「それにしても、お前が腹痛とは珍しいな、ガッハッハッ。拾い食いでもしたのか?」
空がムッと顔を顰めた。
「失礼ですね、そんなことしません!」
「じゃあ、何だ?」
「え……?」
「自分の身体のことだ。腹痛を起こした原因に心当たりくらいあるだろう」
「ええっ!?」
空のことなら何でも知っておきたいのか、大木が追求していく。
これを受けて、空はみるみる顔が赤くなった。
隣にいる伊作や新野は焦ったような顔をしている。
「あん?」
自分の発言がどう周囲を困惑させてるのか、大木にはわからなかった。
見かねた食堂のおばちゃんが大木の耳を引っ張る。
誰にも聞こえぬよう小さな声で言った。
「大木先生、女の子は毎月いろいろ あるんです。男性と違って、繊細な身体なんですよ!」
大木の目が見開く。
鈍感な彼でも、どういう意味か理解出来たらしい。
「そっかそっか、わかったぞ!空、お前 月のもの に悩まされていたのか、月のもの に!」
「なっ……!?」
そう言われた瞬間、空の顔が羞恥で燃え上がった。
が、大木は構わず続ける。
「うんうん、そういうことだったのか。ああ、よかった、よかった!」
「な、何が『よかった』なんですか!信じらんないっ……もう、ほんとにデリカシーないんだから!」
許せない、と鬼の形相をした空が立ち上がろうとする。
しかし、脇腹に激痛がはしり、痛みに顔を歪めた。
「いたっ………!」
「おい、大丈夫か!?」
誰よりも先に空を支えたのは大木だった。
「いやぁ、すまんすまん。ほっとしたらつい、な……。とにかく、もうしばらく安静にしておけ」
「!?!?」
空が顔を上げると、自分のことを心配そうに見つめる大木がいる。
空からしてみれば、大木の心がさっぱりわからなかった。
疑いをかけてきたかと思えば、いつものようにちょっかいをかけてきたり。
それに、今驚くほどやさしげな態度で接してくる理由も。
(大木先生……?)
「ほら、早く横になるんだ」
大木に急かされて、ようやく空はあることに気が付いた。
自分が今、大木の腕の中にいる。
そして、伊作や新野、食堂のおばちゃんと乱きりしんの視線が自分たちに集中しているということに。
「……」
恥ずかしい。
布団に戻らなければ、と大木から離れようとした、そのときだった。
「失礼する。麗しき舞野君……身体の具合はいかがかな?」
入るやいなや、スチャ……と眼鏡を整えるのは、二年い組の担任、野村雄三だった。
手には花束を抱えている。
「ん?私以外にも見舞い客が来てたのか」
野村が見渡せば、手前には乱きりしんと食堂のおばちゃんがいる。
が、さらに後ろにいる人物を目に入れて、唖然とした。
「お、大木雅之助!貴様……一体、何をやってるんだ!?」
このとき、野村は完全に誤解してしまっていた。
大木が空にいかがわしいことをしようとしている、と。
「はぁ?お前、何を言ってるんだ?」
大木が聞き返す。
が、野村は聞く耳をもたず、
「か弱い女子に、とりわけ我が癒しの存在である舞野君に公衆の面前で破廉恥な行為をしようとは……外道め、許すまじ!」
と烈火のごとく怒っている。
「いっ?!何を勘違いしとるんじゃ、お前は!」
「黙れ、黙れ、黙れ!今日こそ完膚なきまでに叩きつぶしてやる……来い、大木雅之助!」
そう言うと、野村は医務室から飛び出し、中庭に出る。
懐から手裏剣を取り出し、構えた。
「ほ~う、面白い。受けて立つぞ!野村よ、返り討ちにしてくれるわ!」
臨戦態勢の野村を見て、大木も血の滾りが抑えられなくなったようだ。
すぐに野村の後を追いかけた。
今は医務室までの廊下を歩いている。
「空さん、具合良くなったかな」
なんて、乱太郎たちが心配している声は大木の耳には届いていない。
腑抜けの状態から脱したとはいえ、未だ疑心暗鬼に陥っている。
(頼む……ちゃんと医務室にいてくれ……!)
とうとう医務室に到着した。
ドクドクドクドク……
緊張が高まる。
バクバクと心臓の音が大きくなる中、意を決して戸の取ってを掴む。
「どこんじょぉぉぉ!!!」
そう叫びながら、勢いよく戸を開けた。
室内には、丁度布団から起き上がろうとしていた空と、空を支えている伊作、それから少し奥で薬を用意している忍術学園の校医である新野の姿があった。
「「大木先生!?」」
予期せぬ来客。
三人が驚きの表情を向ける中、大木は空の元まで一直線。
じーっと空を凝視した。
「えぇ!?なに、なに、なに?」
「空……お前、具合が悪いのか?」
「は、はい」
「ほんとに、ほんっとうにだよな?」
「本当ですよ!第一、なんで私が大木先生に嘘つかないといけないんですか!?」
大木はふたたび空を観察する。
頬は青白く、目の下に窪みがあり、やや疲れた印象がある。
(いきなり来たかと思えば、一体なんなの!?)
訳が分からない。
混乱した空を察した伊作が、横から口を挟んだ。
「大木先生、空さんは今朝からひどい腹痛に悩まされて、ずっと横になっていたんですが……」
「そ、そうなのか」
伊作の口ぶりと態度、ひいては周りの様子からも嘘をついているとは思えない。
空の体調不良は本当だった。
つまりそれは、仮病を使うほど、空は大木のことを嫌っていないことを意味する。
そうわかると、皆の手前平静を取り繕っているが、腰が抜けるほど大木は安堵していた。
(やった、やったぞ……!!)
不安と言う名の雲は消失し、キラキラと一条の光が大木を照らす。
すがすがしい心地だった。
心配事がなくなった途端、気が大きくなったのか、いつものごとく意地悪な態度で空をいじり出した。
「それにしても、お前が腹痛とは珍しいな、ガッハッハッ。拾い食いでもしたのか?」
空がムッと顔を顰めた。
「失礼ですね、そんなことしません!」
「じゃあ、何だ?」
「え……?」
「自分の身体のことだ。腹痛を起こした原因に心当たりくらいあるだろう」
「ええっ!?」
空のことなら何でも知っておきたいのか、大木が追求していく。
これを受けて、空はみるみる顔が赤くなった。
隣にいる伊作や新野は焦ったような顔をしている。
「あん?」
自分の発言がどう周囲を困惑させてるのか、大木にはわからなかった。
見かねた食堂のおばちゃんが大木の耳を引っ張る。
誰にも聞こえぬよう小さな声で言った。
「大木先生、女の子は
大木の目が見開く。
鈍感な彼でも、どういう意味か理解出来たらしい。
「そっかそっか、わかったぞ!空、お前 月のもの に悩まされていたのか、月のもの に!」
「なっ……!?」
そう言われた瞬間、空の顔が羞恥で燃え上がった。
が、大木は構わず続ける。
「うんうん、そういうことだったのか。ああ、よかった、よかった!」
「な、何が『よかった』なんですか!信じらんないっ……もう、ほんとにデリカシーないんだから!」
許せない、と鬼の形相をした空が立ち上がろうとする。
しかし、脇腹に激痛がはしり、痛みに顔を歪めた。
「いたっ………!」
「おい、大丈夫か!?」
誰よりも先に空を支えたのは大木だった。
「いやぁ、すまんすまん。ほっとしたらつい、な……。とにかく、もうしばらく安静にしておけ」
「!?!?」
空が顔を上げると、自分のことを心配そうに見つめる大木がいる。
空からしてみれば、大木の心がさっぱりわからなかった。
疑いをかけてきたかと思えば、いつものようにちょっかいをかけてきたり。
それに、今驚くほどやさしげな態度で接してくる理由も。
(大木先生……?)
「ほら、早く横になるんだ」
大木に急かされて、ようやく空はあることに気が付いた。
自分が今、大木の腕の中にいる。
そして、伊作や新野、食堂のおばちゃんと乱きりしんの視線が自分たちに集中しているということに。
「……」
恥ずかしい。
布団に戻らなければ、と大木から離れようとした、そのときだった。
「失礼する。麗しき舞野君……身体の具合はいかがかな?」
入るやいなや、スチャ……と眼鏡を整えるのは、二年い組の担任、野村雄三だった。
手には花束を抱えている。
「ん?私以外にも見舞い客が来てたのか」
野村が見渡せば、手前には乱きりしんと食堂のおばちゃんがいる。
が、さらに後ろにいる人物を目に入れて、唖然とした。
「お、大木雅之助!貴様……一体、何をやってるんだ!?」
このとき、野村は完全に誤解してしまっていた。
大木が空にいかがわしいことをしようとしている、と。
「はぁ?お前、何を言ってるんだ?」
大木が聞き返す。
が、野村は聞く耳をもたず、
「か弱い女子に、とりわけ我が癒しの存在である舞野君に公衆の面前で破廉恥な行為をしようとは……外道め、許すまじ!」
と烈火のごとく怒っている。
「いっ?!何を勘違いしとるんじゃ、お前は!」
「黙れ、黙れ、黙れ!今日こそ完膚なきまでに叩きつぶしてやる……来い、大木雅之助!」
そう言うと、野村は医務室から飛び出し、中庭に出る。
懐から手裏剣を取り出し、構えた。
「ほ~う、面白い。受けて立つぞ!野村よ、返り討ちにしてくれるわ!」
臨戦態勢の野村を見て、大木も血の滾りが抑えられなくなったようだ。
すぐに野村の後を追いかけた。