18.疑似家族の土井家 (前編)
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夕食を囲みながら、空、半助、きり丸は談笑中だ。
「乱太郎君んちのお父さんとお母さん、とても仲が良かったよ」
「俺も時々泊まるけど、乱太郎んちの母ちゃん、飯美味いんだよな!乱太郎の父ちゃんも優しいし」
「うん!二人とも本当によくしてくれて……色んな事教わったよ。乱太郎のお父さんから、わら細工まで習っちゃった」
「ほうほう……ということは空さんの内職の幅が広がったということで、この仕事もあの仕事も頼めそうですね」
これを聞いて、空がきり丸に冷ややかな視線を送っている。
「きりちゃん……私のこと、姉として尊敬してないでしょ。はいはい、どうせ私はただの労働力ですよ」
「え!?無料 ?」
「きりちゃん、そっちの「ただ」じゃない!もう!」
まるで本当の姉弟のようなやりとりに、横で聞いていた半助の口許は緩みっぱなしだ。
「空、しんべヱの家ではどう過ごしてた?」
「しんべヱ君とカメ子ちゃんと、堺の港に行きましたよ。その際しんべヱ君のパパと南蛮人のカステイラさんにも会って……」
「へぇ」
「輸入した胡椒がなくなった、って大騒ぎで。でも、みんなで探して何とか見つけることができました。それ以降、しんべヱ君のパパに随分目をかけられるようになって……はは。でも、とても楽しかった」
空がしみじみと言う。
急に半助が不安そうに尋ねた。
「ちなみに、しんべヱ食べ過ぎてなかったか?新学期開けてすぐ、一年は組はマラソンの実習を予定しているからな。休み中、油断しないようにとは念入りに注意したけど」
「あ、それは、」
空が何とも言えない表情をする。
それだけで、きり丸は「やっぱりね」という顔をつくり、半助は頭を痛めていた。
***
食事を終えた三人は、後片付けの途中だった。
いつもより夕飯の時間が遅かったことに加え、空の来訪や隣のおばちゃん対策で気を揉んだきり丸は瞼が弛んでいる。
「きりちゃん、もう寝た方がいいんじゃない?」
「そうっすね……明日のバイト、早いんで……」
空に促され、きり丸は布団の準備を始める。
うつらうつらな状態でありながらも、ご丁寧に半助と空の人数分きっかり敷いていた。
これに二人は絶句する。
「わ、私は別の部屋で寝ようか?」
コホンと咳払いをした半助が、きり丸と空にそう申し出る。
が、きり丸は断固として許さなかった。
「ダメっす、先生も……おれ、絶対に三人で寝たいんです……」
逃すまい、と布団に入ったきり丸が半助の手を掴む。
半助は空と目が合った。
空は合図を送るように、小刻みに頷いた。
「わかったよ、きり丸。皆で寝るから、もう休みなさい」
その言葉に安心したのか、きり丸は一瞬笑顔をつくると、そのままストンと眠りに落ちた。
きり丸の寝顔を見ながら、空はこんなことを思っていた。
(きりちゃん、甘えたいんだろうな……半助さんと私に。ずっと家族がいなかったもんね……)
自分と半助に愛情を求めるきり丸を見ていると、どうしても心が動かされてしまう。
半助と同じ部屋で寝るのは恥ずかしいが、それ以上にきり丸の気持ちに寄り添いたかった。
「きりちゃん、よく眠ってる」
「今日君がここ来るの、心待ちにしていたからな。いつもよりうんと早起きして、ずっとそわそわしていたよ、こいつ」
「そうだったんですね……」
このとき、半助は思っていた。
すやすやと眠っているきり丸とそれを愛おしげに見つめる空、二人の姿は本当の姉弟のようだ、と。
半助は徐に立ち上がった。
「さてと、残っている片付け、後は私がやるからいいよ、空も今日は早めに休むといい。疲れただろう」
「そんな……あと少しですから、片付け私も一緒にやります!」
半助の返事を聞く前に、空は炊事場まで歩き出す。
それを見て、半助は嬉しそうに空の後を追った。
「乱太郎君んちのお父さんとお母さん、とても仲が良かったよ」
「俺も時々泊まるけど、乱太郎んちの母ちゃん、飯美味いんだよな!乱太郎の父ちゃんも優しいし」
「うん!二人とも本当によくしてくれて……色んな事教わったよ。乱太郎のお父さんから、わら細工まで習っちゃった」
「ほうほう……ということは空さんの内職の幅が広がったということで、この仕事もあの仕事も頼めそうですね」
これを聞いて、空がきり丸に冷ややかな視線を送っている。
「きりちゃん……私のこと、姉として尊敬してないでしょ。はいはい、どうせ私はただの労働力ですよ」
「え!?
「きりちゃん、そっちの「ただ」じゃない!もう!」
まるで本当の姉弟のようなやりとりに、横で聞いていた半助の口許は緩みっぱなしだ。
「空、しんべヱの家ではどう過ごしてた?」
「しんべヱ君とカメ子ちゃんと、堺の港に行きましたよ。その際しんべヱ君のパパと南蛮人のカステイラさんにも会って……」
「へぇ」
「輸入した胡椒がなくなった、って大騒ぎで。でも、みんなで探して何とか見つけることができました。それ以降、しんべヱ君のパパに随分目をかけられるようになって……はは。でも、とても楽しかった」
空がしみじみと言う。
急に半助が不安そうに尋ねた。
「ちなみに、しんべヱ食べ過ぎてなかったか?新学期開けてすぐ、一年は組はマラソンの実習を予定しているからな。休み中、油断しないようにとは念入りに注意したけど」
「あ、それは、」
空が何とも言えない表情をする。
それだけで、きり丸は「やっぱりね」という顔をつくり、半助は頭を痛めていた。
***
食事を終えた三人は、後片付けの途中だった。
いつもより夕飯の時間が遅かったことに加え、空の来訪や隣のおばちゃん対策で気を揉んだきり丸は瞼が弛んでいる。
「きりちゃん、もう寝た方がいいんじゃない?」
「そうっすね……明日のバイト、早いんで……」
空に促され、きり丸は布団の準備を始める。
うつらうつらな状態でありながらも、ご丁寧に半助と空の人数分きっかり敷いていた。
これに二人は絶句する。
「わ、私は別の部屋で寝ようか?」
コホンと咳払いをした半助が、きり丸と空にそう申し出る。
が、きり丸は断固として許さなかった。
「ダメっす、先生も……おれ、絶対に三人で寝たいんです……」
逃すまい、と布団に入ったきり丸が半助の手を掴む。
半助は空と目が合った。
空は合図を送るように、小刻みに頷いた。
「わかったよ、きり丸。皆で寝るから、もう休みなさい」
その言葉に安心したのか、きり丸は一瞬笑顔をつくると、そのままストンと眠りに落ちた。
きり丸の寝顔を見ながら、空はこんなことを思っていた。
(きりちゃん、甘えたいんだろうな……半助さんと私に。ずっと家族がいなかったもんね……)
自分と半助に愛情を求めるきり丸を見ていると、どうしても心が動かされてしまう。
半助と同じ部屋で寝るのは恥ずかしいが、それ以上にきり丸の気持ちに寄り添いたかった。
「きりちゃん、よく眠ってる」
「今日君がここ来るの、心待ちにしていたからな。いつもよりうんと早起きして、ずっとそわそわしていたよ、こいつ」
「そうだったんですね……」
このとき、半助は思っていた。
すやすやと眠っているきり丸とそれを愛おしげに見つめる空、二人の姿は本当の姉弟のようだ、と。
半助は徐に立ち上がった。
「さてと、残っている片付け、後は私がやるからいいよ、空も今日は早めに休むといい。疲れただろう」
「そんな……あと少しですから、片付け私も一緒にやります!」
半助の返事を聞く前に、空は炊事場まで歩き出す。
それを見て、半助は嬉しそうに空の後を追った。
