18.疑似家族の土井家 (前編)
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「静かに……二人とも。誰か来た!」
半助が人の気配に気付く。
家の戸口に人の影が見えたのだ。
まるでタイミングを見計らったのように、例の隣のおばちゃんが半助たちを訪ねてきたのだ。
「半助ぇ!いるの?」
(あれが隣のおばちゃん……)
戸を開け、暖簾をくぐってきたおばちゃんを空が見る。
風貌からして半助たちから聞いた通りの、おせっかいで噂話が好きそうな、よくいるおばちゃんだった。
「ん?」
隣のおばちゃんは、未だかつてない違和感にすぐ気づいた。
むさくるしい男二人の所帯の中、可憐に咲く一輪の花の存在に。
「まぁ、まぁ、まぁ!」
同性から見ても、非凡な美しさと愛らしさを持つ空に思わず目を見張る。
隣のおばちゃんは空に近づき、360度、ありとあらゆる方向から空を凝視している。
「半助、この娘は一体だれなの?」
「え、えーっと……彼女は、」
半助が紹介する前に、きり丸が声高らかに叫んだ。
「よくぞ聞いてくれました、隣のおばちゃん!実はこの人、おれの生き別れた姉ちゃんなんだぜ!」
「まあ!」
「そしてそして……驚くなかれ。姉ちゃんと土井先生は最近恋人になったばっかりなんだ!絶賛ラブラブ中でぇす!」
「な、なんですって!」
立て続けに衝撃がはしる隣のおばちゃんに、空が一歩前に出て深々とお辞儀をした。
「初めまして。空と申します。先ほど弟から紹介があったとおりです。半助さんとは同じ職場で働くうちに……親しくなりました」
「そうなんだ。隣のおばちゃん。というわけで、空共々改めてよろしく」
「決まった……!」と半助たち一同は心の中で歓喜に沸く。
が、意外にも隣のおばちゃんは半助と空の仲を怪しんでいた。
「ラブラブと言った割に、半助と空ちゃん……だっけ?二人なんかよそよそしいわね?」
見れば半助と空の距離は一メートルほど空いている。
さらに二人ぎこちない。
突然の隣のおばちゃんの登場に、二人して照れが出てしまったのだ。
誰よりも人生経験豊富な隣のおばちゃんは、この綻びを見逃さなかった。
(げ、まずい!)
きり丸の目が泳ぎ出す。
無論、こう思ったのはきり丸だけでない。
空と半助もだ。
(ど、どうしよう……)
(まずいぞ……なんとかしないと……)
三人に動揺する中、誰よりも動いたのは空だった。
(えーい、ままよ!)
やぶれかぶれ気味に、半助の腕に絡みついた。
「そんなことないですよ。普段はこんな風に半助さんに甘えています。よそよそしかったのは、久しぶりに顔を合わせたから、恥ずかしかっただけで……ね、半助さん?」
咄嗟にそう言って、頬を染めた空が首を傾げ、半助に同意を促す。
半助の方はというと、急に感じた柔らかい感触とその甘えたな表情に心臓がバクバクしていたが、何とか切り返した。
「空の言う通りだよ。隣のおばちゃん。普段はこうやって空と一緒にいるんだから。流石に人目があると恥ずかしいよ、な、空」
半助が照れながら、微笑む。
演技とは思えないほどの甘さを含んだ微笑みに、空は胸がキュンとする。
顔を真っ赤にするほどの迫真の演技を見せる二人に、隣のおばちゃんの疑いは晴れたようだ。
完全に信じきっている。
さらに、この甘い雰囲気に充てられて、興奮すら覚えていた。
「ちょっと、ちょっと、なによ!?も~う、ラブラブじゃないの。お二人さん。半助ったら、こんな可愛い娘 をいつの間にたらしこんで、」
「『たらしこんで』てどういう意味ですか、おばちゃん!」
「おほほほほ……だって、あの半助に恋人ができるなんて、ねぇ。とにもかくにもお祝いしなきゃね!」
「お祝いですか……?」
「当たり前じゃないの!半助に恋人ができたのよ、もう一大事じゃないの!そうと決まったらいつにしましょう……あ、明日の大晦日の夜がいいわね!」
「明日の夜ですね……わかりました」
「もうすぐにでも色々と話を聞きたいんだけど、来たばかりでしょう?水入らずに悪いからねぇ」
おばちゃんが空を見ていやらしく笑う。
思わず空の背筋に冷たいものが走り抜けた。
「んふふ、また明日来るわね。腕に寄りをかけて料理をつくるから。あとそれから半助……」
おばちゃんが半助だけにこっそり耳打ちする。
「今晩、しっかり晩御飯を食べて精力つけとくのよ……あっちの方はきっと激しくなること間違いなしだから。ああ、若いっていいわねぇ……!」
半助の顔が一気に真っ赤になる。
それだけ言い残して、隣のおばちゃんはスキップで去っていった。
半助が人の気配に気付く。
家の戸口に人の影が見えたのだ。
まるでタイミングを見計らったのように、例の隣のおばちゃんが半助たちを訪ねてきたのだ。
「半助ぇ!いるの?」
(あれが隣のおばちゃん……)
戸を開け、暖簾をくぐってきたおばちゃんを空が見る。
風貌からして半助たちから聞いた通りの、おせっかいで噂話が好きそうな、よくいるおばちゃんだった。
「ん?」
隣のおばちゃんは、未だかつてない違和感にすぐ気づいた。
むさくるしい男二人の所帯の中、可憐に咲く一輪の花の存在に。
「まぁ、まぁ、まぁ!」
同性から見ても、非凡な美しさと愛らしさを持つ空に思わず目を見張る。
隣のおばちゃんは空に近づき、360度、ありとあらゆる方向から空を凝視している。
「半助、この娘は一体だれなの?」
「え、えーっと……彼女は、」
半助が紹介する前に、きり丸が声高らかに叫んだ。
「よくぞ聞いてくれました、隣のおばちゃん!実はこの人、おれの生き別れた姉ちゃんなんだぜ!」
「まあ!」
「そしてそして……驚くなかれ。姉ちゃんと土井先生は最近恋人になったばっかりなんだ!絶賛ラブラブ中でぇす!」
「な、なんですって!」
立て続けに衝撃がはしる隣のおばちゃんに、空が一歩前に出て深々とお辞儀をした。
「初めまして。空と申します。先ほど弟から紹介があったとおりです。半助さんとは同じ職場で働くうちに……親しくなりました」
「そうなんだ。隣のおばちゃん。というわけで、空共々改めてよろしく」
「決まった……!」と半助たち一同は心の中で歓喜に沸く。
が、意外にも隣のおばちゃんは半助と空の仲を怪しんでいた。
「ラブラブと言った割に、半助と空ちゃん……だっけ?二人なんかよそよそしいわね?」
見れば半助と空の距離は一メートルほど空いている。
さらに二人ぎこちない。
突然の隣のおばちゃんの登場に、二人して照れが出てしまったのだ。
誰よりも人生経験豊富な隣のおばちゃんは、この綻びを見逃さなかった。
(げ、まずい!)
きり丸の目が泳ぎ出す。
無論、こう思ったのはきり丸だけでない。
空と半助もだ。
(ど、どうしよう……)
(まずいぞ……なんとかしないと……)
三人に動揺する中、誰よりも動いたのは空だった。
(えーい、ままよ!)
やぶれかぶれ気味に、半助の腕に絡みついた。
「そんなことないですよ。普段はこんな風に半助さんに甘えています。よそよそしかったのは、久しぶりに顔を合わせたから、恥ずかしかっただけで……ね、半助さん?」
咄嗟にそう言って、頬を染めた空が首を傾げ、半助に同意を促す。
半助の方はというと、急に感じた柔らかい感触とその甘えたな表情に心臓がバクバクしていたが、何とか切り返した。
「空の言う通りだよ。隣のおばちゃん。普段はこうやって空と一緒にいるんだから。流石に人目があると恥ずかしいよ、な、空」
半助が照れながら、微笑む。
演技とは思えないほどの甘さを含んだ微笑みに、空は胸がキュンとする。
顔を真っ赤にするほどの迫真の演技を見せる二人に、隣のおばちゃんの疑いは晴れたようだ。
完全に信じきっている。
さらに、この甘い雰囲気に充てられて、興奮すら覚えていた。
「ちょっと、ちょっと、なによ!?も~う、ラブラブじゃないの。お二人さん。半助ったら、こんな可愛い
「『たらしこんで』てどういう意味ですか、おばちゃん!」
「おほほほほ……だって、あの半助に恋人ができるなんて、ねぇ。とにもかくにもお祝いしなきゃね!」
「お祝いですか……?」
「当たり前じゃないの!半助に恋人ができたのよ、もう一大事じゃないの!そうと決まったらいつにしましょう……あ、明日の大晦日の夜がいいわね!」
「明日の夜ですね……わかりました」
「もうすぐにでも色々と話を聞きたいんだけど、来たばかりでしょう?水入らずに悪いからねぇ」
おばちゃんが空を見ていやらしく笑う。
思わず空の背筋に冷たいものが走り抜けた。
「んふふ、また明日来るわね。腕に寄りをかけて料理をつくるから。あとそれから半助……」
おばちゃんが半助だけにこっそり耳打ちする。
「今晩、しっかり晩御飯を食べて精力つけとくのよ……あっちの方はきっと激しくなること間違いなしだから。ああ、若いっていいわねぇ……!」
半助の顔が一気に真っ赤になる。
それだけ言い残して、隣のおばちゃんはスキップで去っていった。
