16.天井裏から来るアイツ
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
あれからジュンコは駆け付けた生物委員たちに捕獲された。
孫兵が感激の面持ちでジュンコに頬ずりしている。
「ジュンコ、よかった!!」
(んもう、私がいないとダメなんだから……!)
ジュンコは孫兵の頬を長い舌でペロッと舐める。
気は多いが、何だかんだで孫兵に最も親愛を寄せているジュンコであった。
ジュンコ騒動が終わったあと、空は半助と利吉とともに食堂へと来ていた。
三人は食卓に着いている。
ようやく泣きやんだ空がすまなさそうに二人に言った。
「あんなに取り乱してしまったところを見せてしまって、恥ずかしい……心配かけて、ご迷惑おかけしました」
「謝らないでください、寧ろ空さんは被害者なんですから」
「そうだよ、全く。だから、生徒が学園内で毒ヘビを飼うのは反対なんだ!」
二人の励ましに空はほんの少しだけ微笑みを見せる。
が、すぐに落ち込んだ表情になる。
余程ショックだったようだ。
「……」
その空の様子に、不謹慎にも半助と利吉は胸を疼かせていた。
泣き腫らした顔でしおらしそうに俯く空の姿は、男の庇護欲を駆り立てていく。
今すぐ抱きしめたくなるほどだった。
「毒ヘビってああやって脱走するんですね。どうしよう……今日の夜、部屋に一人でいるのが怖い……」
空がか細い声でそう言う。
それを聞いた二人は共通してあることを思ったが、行動へと移すのは利吉の方が一歩早かった。
利吉は空の手をぎゅっと握り取る。
「空さん、宜しければ私が一晩一緒にいて、部屋を見張っておきましょうか?」
「え……」
「私が一緒にいれば、毒ヘビなんかすぐに追い払えます。今夜は安心して眠りにつけますよ」
これを横で聞いていた半助は、先を越されてしまったと気が気じゃなかった。
空の口から否定の言葉が出るように、と心の中で何度も何度も念じる。
しかし、空の返事は意外なものだった。
「利吉さん、それなら今夜お願いしてもいいですか?私、本当に爬虫類はだめなんです。さっきみたいなことがもう一度あったら、わたし、わたし……」
あの巻き付かれた感触を思い出せば、その恐怖が一晩男性とともに過ごすという恥ずかしさを凌駕した。
それほど、空は不安定な状態だった。
「もちろん。絶対にあなたをお守りします!」
凛々しく決める利吉を見て、半助が慌てて二人の間に割り込んだ。
「ちょっと待った!それなら、私も一緒に部屋で見張るよ」
「え……?」
「一人より二人の方が尚更心強いからな、うんうん」
この半助の横やりに、利吉はムッとする。
「私一人で十分です!土井先生の手を煩わせることなんかいたしませんから」
「いや、利吉君一人では心配だな。ここに大人の私がいれば、もっと万全だ」
「土井先生!」
「利吉君!」
男二人が火花を散らす様を見て、一体何を争っているのかと空は次第に混乱し始める。
そこへ、ある人物がひょこっと顔を出した。
「あ、空さん、食堂にいた!」
「乱太郎君!」
乱太郎に引き続き、きり丸、しんべえが中へと入ってくる。
「空さん、虎若たちから聞きましたよ。ジュンコ、空さんの部屋に居たって」
「ジュンコに嚙まれなくて良かったですね!」
きり丸としんべえが空を気遣う。
その間もずっと、半助と利吉の睨み合いは続いていた。
乱太郎が空に聞く。
「あ、あの……土井先生と利吉さん、喧嘩でもしたんですか?」
「あ、えっと……実はね」
空はついさっきの一部始終を話した。
自分の部屋の見張りの件で二人が揉めているということを。
話を聞いた三人は、「なぁんだ、そんなことか」と呆れていた。
「っていうか、空さん、私たちの部屋に来ればいいんじゃないですか?」
「そうそう!一緒の布団で寝ちゃえば、ジュンコなんか全然怖くないっすよ!」
「ボク、空さんと夜一緒に過ごすの楽しみ!」
純真な子どもたちの姿と気遣いに、いつしか空も見張りをつけるより、三人の提案に乗った方がいい――そう考え直していた。
「そうだよね。見張りなんかつけちゃったら、利吉さんや土井先生が眠れないし……迷惑かけちゃう。よし!そしたら、今日は乱太郎君たちの部屋に行くね」
「やったぁ!」
三人は大喜びする。
「……」
横で結果を聞かされた半助と利吉は呆然としていた。
孫兵が感激の面持ちでジュンコに頬ずりしている。
「ジュンコ、よかった!!」
(んもう、私がいないとダメなんだから……!)
ジュンコは孫兵の頬を長い舌でペロッと舐める。
気は多いが、何だかんだで孫兵に最も親愛を寄せているジュンコであった。
ジュンコ騒動が終わったあと、空は半助と利吉とともに食堂へと来ていた。
三人は食卓に着いている。
ようやく泣きやんだ空がすまなさそうに二人に言った。
「あんなに取り乱してしまったところを見せてしまって、恥ずかしい……心配かけて、ご迷惑おかけしました」
「謝らないでください、寧ろ空さんは被害者なんですから」
「そうだよ、全く。だから、生徒が学園内で毒ヘビを飼うのは反対なんだ!」
二人の励ましに空はほんの少しだけ微笑みを見せる。
が、すぐに落ち込んだ表情になる。
余程ショックだったようだ。
「……」
その空の様子に、不謹慎にも半助と利吉は胸を疼かせていた。
泣き腫らした顔でしおらしそうに俯く空の姿は、男の庇護欲を駆り立てていく。
今すぐ抱きしめたくなるほどだった。
「毒ヘビってああやって脱走するんですね。どうしよう……今日の夜、部屋に一人でいるのが怖い……」
空がか細い声でそう言う。
それを聞いた二人は共通してあることを思ったが、行動へと移すのは利吉の方が一歩早かった。
利吉は空の手をぎゅっと握り取る。
「空さん、宜しければ私が一晩一緒にいて、部屋を見張っておきましょうか?」
「え……」
「私が一緒にいれば、毒ヘビなんかすぐに追い払えます。今夜は安心して眠りにつけますよ」
これを横で聞いていた半助は、先を越されてしまったと気が気じゃなかった。
空の口から否定の言葉が出るように、と心の中で何度も何度も念じる。
しかし、空の返事は意外なものだった。
「利吉さん、それなら今夜お願いしてもいいですか?私、本当に爬虫類はだめなんです。さっきみたいなことがもう一度あったら、わたし、わたし……」
あの巻き付かれた感触を思い出せば、その恐怖が一晩男性とともに過ごすという恥ずかしさを凌駕した。
それほど、空は不安定な状態だった。
「もちろん。絶対にあなたをお守りします!」
凛々しく決める利吉を見て、半助が慌てて二人の間に割り込んだ。
「ちょっと待った!それなら、私も一緒に部屋で見張るよ」
「え……?」
「一人より二人の方が尚更心強いからな、うんうん」
この半助の横やりに、利吉はムッとする。
「私一人で十分です!土井先生の手を煩わせることなんかいたしませんから」
「いや、利吉君一人では心配だな。ここに大人の私がいれば、もっと万全だ」
「土井先生!」
「利吉君!」
男二人が火花を散らす様を見て、一体何を争っているのかと空は次第に混乱し始める。
そこへ、ある人物がひょこっと顔を出した。
「あ、空さん、食堂にいた!」
「乱太郎君!」
乱太郎に引き続き、きり丸、しんべえが中へと入ってくる。
「空さん、虎若たちから聞きましたよ。ジュンコ、空さんの部屋に居たって」
「ジュンコに嚙まれなくて良かったですね!」
きり丸としんべえが空を気遣う。
その間もずっと、半助と利吉の睨み合いは続いていた。
乱太郎が空に聞く。
「あ、あの……土井先生と利吉さん、喧嘩でもしたんですか?」
「あ、えっと……実はね」
空はついさっきの一部始終を話した。
自分の部屋の見張りの件で二人が揉めているということを。
話を聞いた三人は、「なぁんだ、そんなことか」と呆れていた。
「っていうか、空さん、私たちの部屋に来ればいいんじゃないですか?」
「そうそう!一緒の布団で寝ちゃえば、ジュンコなんか全然怖くないっすよ!」
「ボク、空さんと夜一緒に過ごすの楽しみ!」
純真な子どもたちの姿と気遣いに、いつしか空も見張りをつけるより、三人の提案に乗った方がいい――そう考え直していた。
「そうだよね。見張りなんかつけちゃったら、利吉さんや土井先生が眠れないし……迷惑かけちゃう。よし!そしたら、今日は乱太郎君たちの部屋に行くね」
「やったぁ!」
三人は大喜びする。
「……」
横で結果を聞かされた半助と利吉は呆然としていた。